HOMECLAIR 刊行物クレア海外通信(海外事務所だより)ソウル事務所|大韓民国第15代大統領選挙
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大韓民国第15代大統領選挙

 1997年12月18日大韓民国第15代大統領選挙が実施され、野党候補の金大中(キム・デジュン)氏が四度目の挑戦の末当選を果たした。開票結果は別表の通りであるが、二位李会昌(イ・フェチャン)氏との差はわずか39万557票(得票率にして1.6ポイント差)であった。経済危機等難しい局面を迎え、韓国国民は建国以来初の政権交代を選択したのである。



ボタン 韓国の大統領制
ボタン 選挙までの経緯
ボタン 金大中氏の勝因
ボタン 連邦最高裁、個別条項拒否権法に対する訴え棄却 


ボタン韓国の大統領制

 今回の選挙を紹介する前に韓国の大統領制について簡単に整理する。

 韓国は権力構造的には一時期議院内閣制をとったことがあるが、建国以来ずっと大統領制をとってきた。しかし、現在のスタイルになったのは、盧泰愚(ノ・テウ)前々大統領が当選した13代大統領選挙(1987年12月)からである。このときから任期が5年で一期のみとなり、また国民による直接選挙も復活した。それまでは時の権力者(=大統領)によりたびたび制度が変えられてきた。この50年の間に9度の改憲が実施されているほどである。




ボタン選挙までの経緯

 選挙までの経緯について主要候補を中心に振り返ってみる。

 1997年5月:野党第一党であった新政治国民会議の金大中氏が党の大統領候補に選出され、有力候補の中でトップをきって名乗りを上げた。

 
6月: 野党第二党であった自由民主連合の金鍾泌(キム・ジョンビル)氏が党の大統領候補に選出された。

 
7月: 与党であった新韓国党の大統領候補選出選挙が行われ、李会昌氏が京畿道知事であった李仁済(イ・インジェ)氏との決選投票の末、大統領候補に選出された。なお、この直後の世論調査では同氏の支持率は50%近くあったが、月末に二人の息子の兵役免除問題(同氏の二人の息子が体重不足で兵役免除されたことについて疑惑が提起された)が発生してから急速に落ち込んだ。

 
8月: ソウル市長であった趙淳(チョ・スン)氏が民主党からの大統領選挙出馬要請を受諾し、出馬宣言を行った。

 
9月: 先の新韓国党大統領候補選出選挙で敗れた李仁済氏が、同党を脱党し再び名乗りを上げた。これによりこの時点で、5人の有力候補が出そろった。

11月: 公示を前にして二つの候補者調整が行われた。まず国民会議と自民連が候補者一本化で合意し、金大中氏が統一候補となり金鍾泌氏は出馬しないこととなった。次に新韓国党と民主党は合併に合意し、新しくハンナラ党が結党され、同党の大統領候補に李会昌氏が選出された。結果、趙淳氏は辞退することになった。また、李仁済陣営は国民新党を結党し、同氏を同党の大統領候補に選出した。これにより実質的には有力3候補による選挙戦となった。なお、3人のほか4人が立候補し、立候補者は計7人であった。
 




ボタン金大中氏の勝因

 わずかの差ではあったが、金大中氏が当選を果たした。同氏の勝因について、選挙後マスコミ各社が分析しているが、要約すると次の通りである。

 
(1) 与党候補の分裂
  与党系の李会昌氏と李仁済氏の二人が立候補したため、保守票が割れる結果となった。

(2) 兵役免除問題
  前にも紹介したが、この問題の発生以降李会昌氏の支持率は急降下し、最終的に金大中氏に届かなかった。

 
(3) 経済危機
  IMF支援を受けなければならない経済危機の状況により国民は変化(政権交代)を選択した。

 
(4) メディア戦争
  これは今回の選挙の特徴の一つでもあるが、集会的な選挙運動は減少し、メディア、特にテレビを通じて支持者を増やすことができた。


  

 


ボタン日本の火災調査との相違点

 当選を果たした金大中氏は、政権末期の金泳三(キム・ヨンサム)大統領が国政処理能力を失っているため、当選の喜びもつかの間数々の課題に取り組まなければならない。また、これらの課題を解決していくことが国民への期待にこたえることである。

 金大中新大統領に課せられた課題と対応についてまとめてみる。

<政治分野>
自民連との共同政権:連立基盤を早期に固めなければならない。
少数与党:国会においては少数与党となるため、多数党であるハンナラ党の協力が必要。
大統領権限の縮小と内閣制の採用:選挙公約にも掲げていたが、政経癒着の根元は大統領に権限が集中しているためであるとし、権限の縮小、改憲を伴う内閣制の採用を提唱した。

<外交分野>
北朝鮮との関係:南北合意書(91・12)の遵守による段階的統一を目指す。
経済外交:経済危機支援のため早急な関係各国首脳等との会見が必要である。

<行政分野>
 各分野の中でも特に国民の関心と期待がある分野であり、大統領就任前から取り組む必要がある。
政府組織の改編:重要かつ困難な問題に即応し、IMF合意に基づく行政支出の削減を図る。
 

<経済分野>
 経済危機克服のため特に早期に取り組まなければならない。
外貨不足の解消:IMF、日米等の支援をスムースに実現しなければならない。
金融システムの改革:外国人投資家の信用回復を図るため抜本的な金融改革が望まれる。
企業の構造調整:財閥企業の過剰重複投資、過度な借り入れ経営、タコ足式の業務拡張等の経営形態にメスを入れなければならない。
  

<その他>
地域問題:今回の選挙結果にも表れたが、60年代以降の経済発展の不均衡と官僚徴用上の地域偏重に起因する嶺南地域(慶尚北・南道)と湖南地域(全羅北・南道)間の地域格差問題がある。金大中氏も当選会見の冒頭で触れているほどデリケートな問題である。以上のように問題が山積の状態を抱え、金大中第15代大韓民国大統領は、1998年2月25日誕生した。

(別表) 
大韓民国第15代大統領選挙投票結果
有権者数 32,290,416
投票者数 26,042,633
投票率 80.7%
有効投票数 25,642,438
無効票 400,195

候補者別投票結果一覧表

候補者名 得票数 得票率
金 大中 10,326,275 40.3%
李 会昌 9,935,718 38.7%
李 仁済 4,925,591 19.2%
権 泳吉 306,026 1.2%
申 正一 61,056 0.2%
金 漢植 48,717 0.2%
許 京寧 39,055 0.2%

 

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