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去る5月6日の木曜日に、北アイルランドとロンドンを除く各地域の地方議会議員選挙と、新たに設立されるスコットランド、ウェールズの両議会議員選挙が行われた。 今回の選挙は、現労働党政権にとって、1997年に保守党から世間を奪取して2年目のいわゆる中間選挙で、今後の政局を占うものとして、また、野党保守党のウィリアム・ヘイグ党首の進退を見極めるものとして、その成り行きが注目されていた。 なお、スコットランド、ウェールズ両議会の議員選挙については、イギリスの選挙史上初めて比例代表制が導入されたこともあって、特に投票率に強い関心が集まった。
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地方議会議員選挙 |
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スコットランドおよびウェールズ議会議員選挙 |
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政治的潮流 |
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イングランドによって約300年前に併合されたスコットランドは、独自の教育・司法制度をもち、北海油田という経済的基盤を背景に独立を求める声が高まってきている。一方、ウェールズのイングランドとの連合は、それよりもさらに500年ほど前にさかのぼるが、独自の文化形態を維持して今日に至っている。現労働党政権は、このような事情をもとに、発足直後、両地域に対して国の権限の一部委譲を提案し、その具体的な方法として両地域に地域単位の議会を設置することとし、住民投票での賛意を経て今回の選挙となった。 スコットランド議会は、一定の立法権と上下3%の域内税率変更権を有し、名称も国会と同じParliamentとなっている。今回選挙の最大の目玉は、同地域における保守党の失地回復がなるか否かという点であった。 結果は表-2のとおりであるが、スコットランドの独立を標榜するスコットランド民族党(SNP)の参入もあって激しい選挙戦が展開された。結果的には、増税をしないこと等を公約に揚げた労働党が第一党の地位を占めたが、SNPの躍進もあって、どの政党も過半数の議席を確保することができなかった。特に、SNPは議席数の4分の1強を占め、いろいろな局面で相当発言力をもつことになろう。一方、保守党は、小選挙区で一議席も取れず、導入に反対していた比例代表制によって議席を得るという皮肉な結果に終わった。
一方、ウェールズ議会については、スコットランド議会に認められた独自の立法機能も、また域内税率変更権ももたず、その名称もAssemblyとなるなど、住民の関心を高揚させるだけの魅力に欠けた。しかも、これといった争点がなかったこと、ウェールズ出身の国会議員の多くが労働党員であることなどもあって、当初から労働党の有利が伝えられていた。 選挙結果は表-3のとおりであるが、当地においても、労働党は議席の過半数を占めることができなかった。反面、ウェールズ国民党であるプライド・カムリの集票力は、事前の予想をしのぎ、労働党の地番であるウェールズ南部地域で勝利を収めるなど大躍進した。約3分の1議席を占める一大勢力となった同党の今後の政治的反応が、大いに注目される。
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昨今、欧州全体を流れる大きな政治的潮流として「地域主義Regionalism」がある。中央政府と地方自治体の中間に相当の面積と人口を有する地域政府を設け、そこに国の権限を委譲しようというもので、スコットランド、ウェールズ両議会は、これを具現化させたものである。将来的な連邦制への敷衍の可能性を秘めた両議会の評価は当分先になるが、その成否は、広く欧州諸国の地方自治の将来的な方向に大きな影響を及ぼすものである。 今回の統一地方選挙のあと、6月10日に行われた欧州議会議員選挙で、政治の軸が、イギリスの労働党やドイツの社会民主党を核とする中道左派から中道右派に振りかわったこともあり、地方自治の動向、わけても「地域主義Regionalism」の潮流から、当分の間、目が離せない。
ロンドン事務所次長
三枝 健二 |
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