HOMECLAIR 刊行物クレア海外通信(海外事務所だより)ソウル事務所|韓国の教育熱が招いた住宅投機
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韓国の教育熱が招いた住宅投機


ボタン 人口集中とアパート選好

ボタン 江南の開発と教育熱
ボタン 住宅市場の安定対策

   


ボタンフランス自治体における概況

 韓国の面積は、日本の約4分の1であり、人口は4802万人で、首都圏に集中している。つまり、ソウル特別市1026万人、仁川広域市256万人、京畿道954万人(2002年3月1日行政自治部資料)であるので、全人口の約47%が首都圏に住んでいる計算である。ソウル特別市の人口は1997年の1039万人をピークに緩やかな減少傾向にあるが、その周辺の京畿道と仁川広域市の人口は爆発的に増加している。水原市は2002年4月、100万人を突破した。2001年の全国の市、郡、区のうち、外地流入による人口増加率の上位10位は全て首都圏の都市であり、2002年上半期をみても、全国各地からの流入によって京畿道の人口増加幅は16万人を突破、12年ぶりに最高を記録している。

 統計庁の「2000年人口住宅総調査」によると総住宅数約1096万戸のうち、もっとも多いのは単独住宅(日本の1戸建てに相当)で49.6%を占める。一方、アパート(日本のマンションに相当)は36.6%にすぎない。しかし、連立住宅(日本のアパートに相当)や多世代住宅に住む世帯をあわせると全体の半数以上が共同住宅に住んでいる。1970年には、アパートに住む世帯は0.7%に過ぎず、単独住宅に住む世帯数が95%だったことを考えると驚異的な伸びである。韓国リサーチの調査によると、単独住宅よりもアパートを選好する比率は65%と極めて高い。これは、女性にとって生活便宜施設の利用がしやすいからだといわれている。現在、1970年代に立てられたアパートの建替え時期に当たり、再建築が進められている。

 特にソウル特別市の場合、1962年の麻浦アパートを皮切りにアパートができはじめ、1970年代の後半からは汝矣島、江南(カンナム(ソウル市を東西に流れる川、漢江(ハンガン)の南側)にアパートが建てられ、少しずつ新しい住居形式としての位置を占めていった。1970年のソウルの共同住宅比率は10%に過ぎなかったが、1980年には26%、1990年には48%、2000年には71%となっている。人口流入による首都圏への一極集中が、新たな住宅需要を生み出している。




ボタン各自治体のコンテンツの内容と取組み例

(1) 金利低下と住宅投機発生

 97年のIMF危機当時、銀行預金の利回りは16%に達する高利回りだったが、経済が安定するにつれて4%台まで下がった。行き場を失った余剰資金は条件のいい江南の不動産へと動いた。例えば、江南区大峙洞の高級アパートの価格は1坪当たり2000万ウォンに迫っている。そして、江南の不動産価格の高騰は、韓国の教育熱の高さに由来するといわれている。

(2)進学率の上昇

 韓国の教育制度は、日本と同様、初等学校(日本の小学校に相当)6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年である。義務教育期間については、1984年の教育法改定により、初等学校中学校計9年とされたが、財政上の理由から全国1律に実施できなかった。1985年から1994年までの間に離島、邑・面地域(農漁村地域に相当)の中学3年生までが義務教育となり、2002年に都市地域の中学校1年生を対象に導入、2003年には2年生までに拡大、2004年度には全学年を対象に義務教育となる予定となっている。しかし、進学率は高い。大学進学率(短大を含む)をみると80年代までは30%程度だったが、90年代に急激に上昇し、現在70%を超えている。

(3)中学・高校の平準化政策

 60年代に中学受験競争の過熱に伴って、放課後の受験対策授業、教師による塾でのアルバイト、一流校への生徒の一極集中などの問題が発生した。この問題を解決するために学校群制が採用された。しかし、それは学校群内の「一流校」への一極集中という現象を新たに発生させただけだった。そこで、政府は、69年から中学の「平準化政策」をとった。これは公立・私立を含めた中学校入試を廃止し、抽選によって振り分けるというもので、これにより中学受験競争は沈静化した。

 ところが、高校受験でより一層の競争が行われるようになった。そこで74年からソウル・釜山地域の高校で平準化が実施された。1975年には仁川広域市・大邱広域市・光州広域市に拡大するなど毎年広がり続け、少数の非平準化地域を除き、全国各市地域で実施されるようになった。まず、学校群内の志望校に抽選で割り当て、志望校に割り当てられなかった学生は、同学校群の近距離の学校に割り当てるものである。公立、私立に関係なく平準化し、私立の高校も公立と同じ水準の授業料となった。私立といっても日本のようにエスカレーター式に無試験で大学に進学できない。受験のチャンスが大学入試ほぼ1回に絞られてしまったため、大学受験競争がより熾烈になっていった。

(4)江南の開発と教育熱

 江南地区の開発は、1967年京釜高速道路(ソウルー釜山間)計画の区画整備事業から始まる。70年代には、狎亭洞(アックジョンドン)などに新興住宅地としてアパートが立ち並びはじめ、75年には江南区となった。しかし、ソウル大学や延世大学など、いわゆる名門大学に多くの学生を進学させる高校が江北に集中していたため、教育問題を懸念してそれほど移住が進まなかった。そこで、政府は江南開発を活性化させるために江北にある名門高校を強制的に移転させた。

 80年代以降、江北の名門高校が移転するに伴い、教育環境が整っていった。更に、アパート分譲権の転売禁止処置が行われると、江南に富裕層と優秀な生徒が集まり始めた。優秀な生徒が集まるにつれて新興の名門校も出てきた。しかし、大学受験で内申書が重視されるようになると、江南の人気も沈静化すると思われた。

 ところが、98年に高校入試で連合試験がなくなり、中学での内申書のみで高校受験選抜が行われるようになり、大学受験では、修学能力試験(日本のセンター試験に相当する共通大学入学試験)に各種の特技適性教育が強調されるなど、教育政策が変わることによって、学校ではカバーできない芸術や体育などの特技学習のための塾が江南に増え始めた。

 学校は平準化されているため、優秀な学生は塾に通い始めた。江南は富裕層が多く、教育購買力が高いので、優秀な講師を抱えた塾が相次いで江南区に開業した。今度は、進学率の高い名門高校ではなく、進学に有利な塾を求めて、江南に教育熱心な親たちが集まるようになった。

 また、江南のアパート価格を急騰させた主因のひとつとして、京畿道の盆唐(ブンダン)、一山(イルサン)などの新都市にある高校が、2002年から平準化に転じたことも挙げられている。

 更に、有名大学が内部で高校等級制を内密に適用し、内申書による不利益が減ったという情報や随時募集の合格者が増えているということを理由に、外国語高校に進学するための塾が人気を集めている。

 「202指標(2001年基準)で見た大韓民国」(韓国貿易協会)によると、韓国のGDPに占める学校外教育費の割合は2.96%とOECD加盟国の中で第1位となっている。




ボタン高速ネットワークの導入状況

 韓国政府は、2002年に入り4度、財政経済部次官をはじめとする関係部処次官会議を開き、「住宅市場の安定対策」を発表している。

 江南の教育問題に関係する部分をみると8月の第3回会議では、教育部が今まで推進してきた江南地域にある塾に対する取り締まり(深夜営業の禁止など)を強化しながら、江南地域への偽装転入を持続的に予防することとした。また、修学能力試験の難易度において一貫性を維持すると同時に、科学高校、外国語高校などの特殊目的高校の設立の拡大などを通じ、高校平準化施策を補完できる対策を進めていくとした。

 また、江南地域の場合、再建築推進アパートを中心に投機過熱現象が見られるので、資金出所の調査を行ったり、基準時価の調整を行ったりすることにより、投機を抑制しながら、再建築における手続きを大幅に強化し、無分別な再建築の推進を防ぐこととした。

 9月の第4回会議では、江南の教育需要を分散させるため、特殊目的高校などをソウル以外の首都圏に積極的に誘致することとした。

 ソウルの一部地域のアパート価格が急騰しているのは、何よりも住宅供給の不足によるものとみて、ソウルの江南の高級居住需要を分散させる「第2の江南」といえる新都市2、3カ所を開発する方針であるとした。

 なお、政府は、住宅価格が短期間に急騰、すなわち、直前の月の住宅売買価格の上昇率が全国の消費者物価上昇率を30%以上上回った地域などを投機地域に指定し、実際の取引価格を基準にして譲渡所得税を賦課するなど積極的に対応するとしている(10月末現在)。


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