 
TfLは、実施から約半年間の賦課金制度の効果と影響について、2003年10月23日に報告書 Congestion Charging:6 Months On を発表した。以下、報告書の概要を紹介するが、その内容は、混雑賦課金制度は概ね成功であると高く評価するものとなっている。
導入の効果
混雑賦課金制度は、ロンドンの交通の最大の課題であった4つの点(道路の渋滞の解消、バスの運行状況の改善、自動車による移動所要時間の信頼性の構築、持続可能で効率的な物とサービスの提供の確保)に直接取り組む手法であり、期待通りの効果とさらに市当局に収入をもたらしている。
リビングストン市長は、「混雑賦課金制度は長い間問題となっていた交通状況に対する過激な解決方法であったが、ロンドンの交通を活性化するのに大いに寄与した。ロンドンは、世界の大都市で実質的に市内の交通混雑を減少させた初の都市である」と述べている。
交通量の減少と渋滞の解消
導入後6カ月の平均で、ゾーン内乗り入れ車両数は1日当たり5万台減少し、その大半は公共交通機関、自転車、スクーター、カーシェアリングなどにシフトしており、ゾーン内へ入る人数の減少は4000人弱とみられている。公共交通は利用者の増加によく対応し、バスの運行状況は賦課金の効果により改善されている。また、市民の50%以上が制度を支持しており、反対者は30%程度である。
ゾーン内の渋滞状況は、80年代後半以降で現在が最も良好である。自動車の台数は16%減少し、自動車の平均走行速度が改善され、交通事故も減少している。具体的には、ゾーン外からゾーン内への所要時間が従来は往復80分であったものが、10分程度短縮された。また、TfLのゾーン内の移動時間短縮目標値は20%から30%であったが、30%という最も高い目標値が達成されている。
公共交通機関の対応も極めて適切である。TfLでは、朝の通勤ピーク時には1万5000人の乗客増加に対応できるようバスの運行を増やした。さらに、交通量減少の効果で、バスの運行状況が改善され、バス停での待ち時間は約3分の1短縮された。運行距離の機会損失は60%減少した。タクシーの乗り入れは20%の増加で、これはTfLの予測を上回るものである。ローリーやヴァンは10%減少、自転車は30%の増加であった。
ゾーン周辺の交通量は7%の減少から7%の増加までで、予測の範囲内の影響を受けているが、ゾーン内からその周辺への深刻なレベルのしわ寄せは認められない。
ゾーン内の賦課時間帯における交通事故は、前年同期比で20%減と計算されている。二輪車による事故の増加が危惧されていたが、その事態は起きていない。
経済への影響
賦課金の経済活動への悪影響に関する危惧は的外れに終わったと見られる。小売店への客足のインデックスである「フットフォール」によれば、ゾーン内への買い物客は前年同期比で7%減少している。2002年春の時点で、1日160万人がゾーン内へ入っていたが、その85%から90%は公共交通を利用していたと見られるため、自動車利用者の減少はほとんどこれには影響していないと考えられる。賦課金の影響は、買い物客の減少数のうちの5%から7%程度を占めるに過ぎないと見られている。さらに、交通の遅滞の解消、走行時間の短縮によって、燃料消費量の減少、業務効率の向上などのプラスの経済効果も上がっている。
賦課金収納事務の改善
導入当初より賦課金の収納については円滑に行われてきたが、TfLでは当初から支払い者への意見聴取を行ってさらに改善に努めている。2003年8月には事務委託先との契約に変更を加え、事務委託先において賦課金取り扱い要員を増員し、ITサービスのレベルを向上させることを求めた。2004年4月末までには事務委託先のサービスの改善はすべて達成される予定である。TfLでは事務の運用面についても緊密な監視を続け、必要とされる改善を逐次行っていく予定である。
コールセンターへの照会は、発足当初、週当たり16万7000件だったのが、現在では7万件まで減少している。この数字の減少は、賦課金制度が市民に浸透したことによる。
賦課金の不払いに対する罰金については、6カ月の平均で、週当たり10万6200件の支払い通知が発行されている。9月末時点で不服申し立ては累計1万4200件であったが、このうち現在までに1万600件が処理され、約4000件が審査中である。不服申し立て件数は、月を追うごとに減少してきており、罰金発生件数に占める割合も62%から16%にまで減少した。
収益
混雑賦課金スキームから今年度発生する収益は6800万ポンドと見積もられ、これは交通の改善に投資されることになっている。2003年秋以降の事務改善に伴って、さらに収入は増加すると見込まれており、近い将来の1年当たりの収益は8000万から1億ポンドが見込まれている。収益が当初予測より低くなったのは、ゾーンへ乗り入れる自動車台数の減少が当初の見込みより大きかったことと、賦課金免除対象の数が当初の見込みより多かったことによるものである。
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