HOMECLAIR 刊行物海外の地方自治体オセアニア一覧|アデレード市
海外の地方自治体
(財)自治体国際化協会シドニー事務所


アデレード市は、南オーストラリア州の州都であり、起伏の多いシドニーと異なり、平坦な土地に碁盤の目のように区画された町並みが四方を公園に取り囲まれるようにして建設された美しい街である。偶数年には、世界の一流芸術家を招いてアデレード・フェスティバルが、また奇数年には、市近郊のボロッサ・バレーでワイン祭りが開催され、荒涼たる砂漠地帯の印象がある南オーストラリアの中で緑のオアシス地域となっている。



概要

アデレード市のある南オーストラリア州は、日本の約2.5倍の面積をもつが、全州の半分は海抜150m以下、80%以上は300m以下の平坦な地形であるとともに、オーストラリアの中で最も降雨量の少ない乾燥した州である。内陸部の多くは原野または砂漠であるのに対し、アデレード市は、ロフティ山脈とセント・ビンセント湾の間に挟まれた海外近くに位置し、周辺には田園地帯が広がり、地中海性気候で年中過ごしやすい。市の人口は、約1万2000人、面積は16平方kmであり、他の多くの州都と同様、自治体としては小さな都市であるが、周辺を含めたアデレード都市圏でみれば、州の約7割の人口を占める100万都市圏である。



歴史



市の組織・予算


21世紀に向けて







歴史

 1834年にイギリスで「南オーストラリア州植民地化法」が成立したが、他の州と異なり、囚人の植民が認められず、当時、オーストラリア唯一の自由民だけによる植民がなされた州であった。1836年に最初の移民団が、アデレード近くのカンガルー島に上陸した。翌年、ウイリアム・ライト大佐がアデレードの調査を終え、アデレード市の都市計画を作成し、建設が開始された。1840年には、アデレード市がオーストラリアで初めて、自治体として設立された。

 アデレード市および周辺は、イギリス系の移民のほか、初期のころから、ドイツ出身の移民(当時プロシアで教会統一に反対したルター派の新教徒)が移り住んできたのも特徴的であり、こうしたドイツ系の移民が、今日、南オーストラリア州をオーストラリア最大のワイン生産地にしている理由の1つとなっている。




市の組織・予算

 アデレード市は、議会、主席行政職員(Chief Executive Officer)、4つの部から構成される。議会のメンバーは、市長(Lord Mayor)および15人の議員であり、議員は、市を5つの選挙区に分割してそれぞれの選挙区で選出される10人のcouncillorと全市域を1つの選挙区として選出される5人のaldermanに分かれ、任期は2年である。議員が、無報酬(ただし、費用弁償として年間2500豪ドル支給される)のボランティアであるのに対し、市長には、年間約6万豪ドル(市長夫人は約1万豪ドル)が支払われる。議会には4つの常任委員会があり、これらの委員会で審議された後、隔週月曜の夜に本会議が開催される。市民は、前週の金曜日には議題書が入手でき、興味があれば、だれでも自由に議会を傍聴できる。

 主席行政職員は、議会から任命され、議会に対し責任を負っている。その下に、4つの部注1があり、それぞれの部長(General Manager)は、主席行政職員に対し責任を負う。職員の数は、710人である。

 1997-8年の市の予算規模は、総額約9300万豪ドルで、収入の主なものは、固定資産税(rates)が約3500万豪ドルと、それと同規模の使用料収入である。アデレード市では、ここ2年ほど組織をスリム化するなどの行財政改革に努めており、1994-5年に約3400万豪ドルあった負債を1995-6年には2500万豪ドルに削減している。




21世紀に向けて

 南オーストラリアは、ワイン・大麦等の農業、自動車・家電製品等の製造業の比重が高い経済構造をもつ州であるが、全オーストラリアに比較して、経済成長率が低く、失業率が高い。州経済は、長期的には停滞傾向にあり、同州経済の上でも大きな比重を占めてきた自動車製造業についても自動車の関税の引下げ計画から先行き不透明感を高めている。

 こうした中、アデレード市では、州政府、連邦政府、民間と協力して、21世紀に向け、観光、芸術、文化、学術、情報通信産業等の分野に力を入れている。以下では、観光、芸術の面を紹介したい。

 アデレード市にとって、最大のイベントであるアデレード・フェスティバルは、1960年に始まり、偶数年の2月の末ごろから3週間にわたって、トレンス川沿いにある音響効果の優れたフェスティバル・センターを中心にして開催される。1996年に開催されたフェスティバルでは、22か所で422のイベントが実施され、1200人の芸術家が国内外から招待された。開催予算は、約1100万豪ドルで、アデレード市は、約60万豪ドルを補助し後援している。フェスティバルは、州芸術省のアデレード・フェスティバル・センター基金が中心となり、様々な機関、団体が関与している。経済効果を探る調査結果によれば、期間中の来訪者は、70万人を超え、10人に1人はヨーロッパ、アメリカ、日本等の海外からの観光客であった。海外からの観光客は、南オーストラリア州に平均17.7日滞在し、うちアデレード滞在は、15.0日であった。こうした内外からの訪問者の期間中の支出額は、約1600万豪ドルであった。1998年のフェスティバルは、2月27日〜3月15日の日程で開催される予定である。

 また、奇数年には、アデレード市近郊のバロッサ・バレーで、ワイン祭りが開催される。アデレード市から車で北東に1時間ほどのところに位置し、日帰りで訪れることが可能であることから、アデレード市は、この観光の起点となっている。ドイツ系移民の田園地域で、50程度のワイナリーがあり、立派な屋敷も多く残されている。この地域で、イースターの連休にブドウの豊作を祝って、歌や踊りなどのイベントが開催される。また、近くには、ドイツ風の田舎町が保存されているハーンドルフなどもあり、観光客を魅了している。

 そのほか、野生のアシカやコアラ等を間近で観察できるカンガルー島や、おしゃれなビーチ街のグレネルグが近郊にあるなど、アデレード市は南オーストラリアの観光の起点となっている。

 アデレード市は、州の顔であり、観光・イベントのアクセスの中心的役割を果たしている責任を認識し、市の景観向上のため主要な並木通り等のリニューアル工事の実施、駐車場の整備・最先端の駐車場管理システムの導入、市の再生を目指して州政府と共同での「マーケティング委員会」の設置等、街の魅力増進に努め、21世紀の発展に向けて、現在、果敢に挑戦しているところである。

(注1)
4つの部は、以下の通り。
1 CIVIC AND EXECUTIVE SERVICES DIVISION
市長・主席行政職員・議員等の秘書、監査等を行う。
2 COMMUNITY AND DEVELOPMENT SERVICES DIVISION
総合計画の作成、図書館・プールの運営、開発許可、コミュニティー支援(保健・福祉関係)、姉妹都市業務等を行う。
3 CORPORATE SERVICES DIVISION
財政、人事、法令、公文書等を扱う。
4 URBAN SERVICES DIVISION
環境影響評価、建築規制、清掃、ゴミ収集等を行う。

アデレード市(City of Adelaide)
連絡先:Mr.Tony Hitchin Manager, Communications City of Adelaide GPO BOX 2252, Adelaide SA 5001
TEL (08)8203-7280



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