HOMECLAIR 刊行物わがまちの国際交流|女医発祥の地からシーボルト誕生の地へ
わがまちの国際交流

愛媛県宇和町
女医発祥の地からシーボルト誕生の地へ
UWA国際交流協会


■ はじめに
■ 歴史を生かした町づくり
■ UWA国際交流協会設立
■ 中高生感動のホームステイ
■ ドイツにおける日本年に参加
■ 来年10月ミュージカル派遣
■ 留学生ホームステイ事業



■ はじめに


 宇和町は愛媛県の南西部に位置し、昭和29年、6カ町村が合併して生まれた。当時の人口は約2万4000人、現在は1万8000人である。面積は133hで植林が行き届き、名木宇和桧を産出するほか、約1500haの水田が広がり、古くから穀倉地帯として栄えてきた。

 町の中央を国道56号線やJR予讃線が走り、交通の要衡として発展しており、来年4月には、周辺4町と合併して人口4万7000人の西予市(新市名称)が誕生する運びとなっている。宇和町は新市誕生に伴い、新市の本庁舎が置かれることになっており、西予市の中心地としての発展が約束されている。合併とともに高速道路も完成し、松山市と40分で結ばれることになり、来年はさまざまなイベントが計画されている。



■ 歴史を生かした町づくり


 宇和町は鎌倉時代中期に公家大名西園寺氏の領地となり、宇和荘の中心地として栄え、南伊予を長らく支配したが、豊臣氏に滅ぼされてからは伊達氏が支配するようになり、宇和島藩の宿場町としてにぎわった。幕末には、長崎鳴滝塾でシーボルトに学んだ蘭方医、二宮敬作が藩主伊達宗城公の命により医業を開業し、22年間にわたって仁術を尽くした。敬作は恩師シーボルトの約束通り、長崎で14歳になっていた娘イネを卯之町に呼び寄せて五年間教育、後に楠本イネは日本初の女医へと育った。美しいおイネさんが男装して敬作からさまざまなことを学んだ様子が今も語り継がれている。

 宇和町の先哲として開明思想を弟子に教えた二宮敬作亡き後、弟子たちは近くの大師堂に儒学者を招き、さらに申義堂を建て、明治初期には開明学校(国重要文化財)へと受け継がれ、今日、明治・大正・昭和時代に建てられた学校群の残る町として聞こえている。幕末の町並みの残る県指定文化の里では、二宮敬作やイネの活躍した時代から後に育まれた英傑たちも共に偲ぶ先哲供養や文化の里まつりを通じて、二宮敬作や楠本イネの顕彰を続けている。



■ UWA国際交流協会設立


 日本各地で進み始めた国際交流の気運がわが町でも膨らみ、平成五年四月、町の支援により、町民有志がUWA国際交流協会(愛称:ペガサス)を発足させ、約200人の会員を集めて設立総会を開催した。ペガサスの主な事業は、中高生の海外派遣事業と国際交流の推進事業である。

 学校ぐるみの協力や国際派町長の理解により、第1回派遣生をドイツ・ヴュルツブルク市へ派遣することが決まった。ヴュルツブルク市のシーボルト協会からホームステイを歓迎する旨のFAXが届き、中高生及び随行員14人が、おイネさんに代わって父シーボルトの生誕地を表敬訪問した。町の歴史を生かした中高生のシーボルト生誕地探訪は話題を呼び、以後順調に進み、町民の理解も浸透していった。



■ 中高生感動のホームステイ


 シーボルト協会のクライン・ラングナー理事長夫妻の卓越したリーダーシップにより、ヴュルツブルク市での中高生ホームステイ事業では、シーボルト協会事務所のあるシーボルト博物館でホストファミリーと対面して、5日間のホームステイを楽しんでいる。別れるときには涙を流すシーンが毎年見られ、生徒たちにとって最も感激し「成人してからまた来ます」と決意する瞬間でもある。



■ ドイツにおける日本年に参加


 人口1万8000人の小さな町から毎年11人の中高生を送り続ける宇和町。しかも、シーボルトの娘イネが育った町から。ヴュルツブルク市シーボルト協会のクライン・ラングナー理事長は99年、熱心なUWA国際交流協会に1つのプレゼントを発した。「ドイツにおける日本年に参加する形で、シーボルト博物館でイベントをやらないか」という提案だった。

 早速、協会は町と検討して宇和町展覧会を計画、学芸員を派遣して展示の準備を進める一方、町民100人がオープニングセレモニーに出席し、郷土芸能五ッ鹿踊や牛鬼パレードなど、市街に繰り出して宇和町展をPRした。シーボルト博物館での宇和町展覧会式典では、参加した宮司2人が古式ゆかしい白装束で神事を挙行。二礼四拍手一拝の出雲式玉串奉典をするヴュルツブルク市長も緊張気味だった。



■ 来年10月ミュージカル派遣


 中高生の派遣を通じて深まった交流の輪はさらに広がりを見せ、「来年10月にはヴュルツブルク市誕生1300周年にミュージカルをぜひに」との要請が届いている。ヴュルツブルク市からはこれまでわが町に2度の市民訪問団、シーボルトの子孫や高校生ら約70人が訪れており、当協会ではクライン・ラングナー氏の期待に応えてミュージカル「オランダおイネ一番星咲いた」(松山市・みかん一座)の派遣を決定するとともに、来年10月、約100人以上の参加者を募集してミュージカルツアーを送ることにしている。



■ 留学生ホームステイ事業


 ペガサスでは欧州への中高生派遣事業のほかに、これまでにマレーシア青年やブラジル青年のホームステイ、メキシコ自治大学生による環境美術展開催など、さまざまな交流を展開して町の外務省的役割を担っている。毎年4月末に行われる町最大のイベント「れんげ祭り」に合わせて、愛媛大学の留学生を1泊ホームステイに招待して町民との接触の機会をつくっており、約30人の世界各国からの留学生が宇和町へやって来る。

 当協会は平成14年度世界に開かれたまち総務大臣表彰の栄誉に浴したが、その祝賀会ならびに10周年記念式典の席上、来賓出席したクライン・ラングナー氏は「宇和の青少年を通じた国際交流への投資は決して間違っていません。なぜなら、このような交流事業が全世界で行われたら、戦争は起きないでしょう」と力説した。

 これまで10年間で海外派遣した青少年は140人余り。成人したOBの中には協会の理事となって貢献する者も増え、協会の未来は明るい。




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