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今年は日本と韓国の国交正常化40周年にあたり、日韓両国の政府は今年を「日韓友情年2005」と位置付け、「進もう未来へ、一緒に世界へ」のキャッチフレーズのもと、文化・経済・社会などあらゆる分野における交流を促進することとしている。この1年間が、真に日韓両国民の友情を育む年となるためには、両国民の幅広い参加が不可欠であることから、「日韓友情年2005」記念事業として、今年中に両国で480を超える交流事業が実施される予定である。
福島県においても、この「日韓友情年2005 」を記念した「うつくしま−韓国文化交流事業」が5月6日、7日の2日間にわたり開催された。
開催にあたり、福島県側では県の国際交流の推進母体である当協会を始め、経済団体、学術文化団体、報道機関等の各界からなる実行委員会(須佐由起子委員長)が組織され、県民が一体となって事業を推進する体制が整えられた。
また、事業を展開するためのパートナーとして、(社) ウェルカム トゥ コリア市民協議会(以下、WTK)が韓国側主催者となった。
WTKは、韓国のイメージ向上と、韓国国内への観光誘客を図るために組織された団体であり、その会員には韓国の芸能・芸術・スポーツ界の著名人が名を連ねている。会長のチェ・ブラム氏は、「韓国のお父さん」と呼ばれ、韓国では知らない人がいないほどの国民的俳優である。
福島県とWTKとの交流のきっかけは、チェ会長が2001年に当県で開催された「うつくしま未来博」に招待されたことに始まる。その後、WTKの協力により、福島と韓国の地方市民による日韓ウォーキング大会を毎年開催するなど、市民参加型の交流が着実に進められてきた。そのような交流を経て、日韓友情年の今年、WTK側からの提案により、同会の会員でもあるデザイナー、アンドレ・キム氏のファッションショーを中心とする大型交流事業が、当県で開催される運びとなったものである。
事業前日の5月5日、WTKチェ会長をはじめ、ファッションショーに出演する韓国俳優、モデル、スタッフ等の一行約120名がチャーター機で福島空港に到着すると、これまでウォーキング大会などの交流事業に参加してきた県民ら約800名が、一行を温かく出迎えた。
翌6日に会津若松市の鶴ヶ城で開催されたプレイベントでは、来日した韓国側出演者らが古城をバックに記者会見を行い、その後、城内の茶室「麟閣」で茶道も体験。冬ソナでパク・ヨンハの父親役を演じたチョン・ドンファン氏は、茶室に掲げられた「千里同風」という掛け軸を見て、「距離は離れていても心は1つにしたい」と語り、周りにいた方々の共感を呼んだ。
その夜に行われた日韓交流夕食会では、一般参加者100人を募集したところ、全国から実に5300人もの応募があり、韓流ブームの勢いをあらためて感じさせられた。
翌7日は、郡山市の「ビッグパレットふくしま」を会場とし、日韓交流シンポジウムや、日韓伝統芸能競演、韓国ファッション体験など、さまざまな交流イベントが開催された。
シンポジウムの基調講演では、韓日社会文化フォーラム代表のチョ・ギュチョル氏が、「韓日民間交流の深化・拡大のための提言」と題して講演し、「両国間の外交的な問題を市民同士の信頼関係で乗り越えれば、その後の関係はもっと固いものになる」と述べ、会場を埋め尽くした多くの市民から賛同の拍手を得た。
続いて行われた日韓友情対談では、佐藤栄佐久福島県知事とチェ・ブラム会長が対談を行った。前半は2人の幼い頃の話や家族のことなど個人的な話題で進み、通常の「公的」な対談とは明らかに異なるスタイル。コーディネーターを務めた福島韓国語・韓国文化ネットワークの鄭玄実氏は、「このようなプライベートな面を出し合うことが韓国式の付き合い方であり、公式的な付き合いだけでは本当の深い付き合いはできない」と語る。確かに対談を通して、2人が心を許し合い、固い信頼と友情で結ばれた間柄であることが聴き手にも伝わってきた。
対談の中で、チェ会長は、「21世紀の都市化はどこも同じ。しかし、文化や歴史など伝統的な地方の芸術は異なる。外国の地方文化を理解するのは難しい反面、面白くて魅力的だ」と地方への思いを語り、佐藤知事は「アンドレ・キム氏のファッションショーが大都市ではなく地方で行われるということが今回の交流事業の大きなテーマ。市民レベルの交流、地方同士の交流を一層深めていきたい」と応えた。
最後にチョン氏が「どんな交流にも個人と個人との関係が土台にある。そのような個人的なつながりが大きな交流に発展する」と結ぶと、観客はあらためて対談に込められたメッセージを理解し、会場は温かい拍手に包まれた。
交流事業のフィナーレは、韓国を代表する世界的なデザイナー、アンドレ・キム氏によるファッションショーであった。アンドレ・キム氏は、これまでにパリやワシントン、上海などでファッションショーを開催し、各国の文化・芸術勲章を受章している。ユニセフ韓国委員会親善大使にも任命されている彼は、常に収益を社会に還元する姿勢を持ち、今回のファッションショー開催にあたっても、日韓の友情促進のために貢献したいという思いから、損得勘定を一切抜きにして引き受けていただいた。
彼のファッションショーは東洋的な色彩と仏教感を反映した独特の衣装の数々により繰り広げられる神秘的なステージで、ショーそのものがまさに芸術作品である。また、彼のファッションショーは韓国のトップスターをモデルとして起用することで知られており、今回のショーでは、チ・ソン(NHK「オールイン」に出演)や、キム・ソヨンといった男女トップスターが出演し、男女の恋愛と別離をテーマにしたショーを見事に演じ、県内外から訪れた約3000名の観客を魅了した。
そのスターたちと、交流会の席で語る機会があったが、何よりまず彼らの礼儀正しさに感銘を受けた。先輩俳優の前では決してお酒を口にしない姿勢には、今の日本で忘れかけられている儒教の精神が、韓国の若者の間に脈々と受け継がれていることを実感させられた。
今回の交流事業の企画準備段階において、竹島問題や教科書検定等の問題で日韓関係は大いに揺れた。全国的に交流事業の中止も相次いだ中、一時は事業を開催できるのだろうかとの懸念が関係者の間をよぎったが、このような時期だからこそ、市民レベルの文化交流を継続していくことこそ重要だとの考えで福島県側と韓国側主催者の考えが一致し、政治情勢に左右されることなく、事業は無事開催に至った。
また、本県在住の在日の人々が協力してくれたことも事業の大きな後押しとなった。日本に生まれ、韓国国籍を持つ彼らは、両国の文化・習慣を理解し、事業の円滑な実施に向けての橋渡し役として大いに尽力していただいた。過去の苦難の時代を乗り越え、実行委員会のメンバーとして共に手を取り合う姿を見て、当協会が進める多文化共生社会への光が見えた思いであった。
今回の事業には韓国のマスメディア17社が取材に訪れ、日韓情勢が微妙な情勢にある中、あえて実施された当事業を積極的に評価し、韓国国内で大きく報道していただいた。あるテレビ局は「私たち訪問団が移動するたびに手を振り歓迎する福島県の人々の表情の中に、韓日交流の可能性を伺うことができた」と報じた。韓国の一般市民の方々がそのような報道を目にし、日本の地方に住む一般市民の思いを少しでも理解していただければ幸いである。
福島空港にソウル路線が開設されて6年目となり、福島県と韓国は現在約2時間半で結ばれている。韓流ブームの影響もあり、韓国を訪れる県民は増え、韓国からもゴルフブームにより本県を訪れる人が増加している。このような状況下、定期便数もそれまでの週3便から、週5便に増加されることとなった。かつて「近くて遠い国」だった韓国が、今や確実に「近くて近い国」になりつつある。しかし、これを一時的なブームや、表面的な薄い交流で終わらせてはいけない。
事業終了にあたり、当実行委員会は「今回の事業で培われた韓国と福島県の人と人とのつながりや信頼を土台に、それぞれの形で自分たちの交流を継続していくことが重要」とのメッセージを県民に発信し、今回の一連の事業を締めくくった。両国間の市民の、本当の意味での心の交流と相互理解が求められるのはこれからである。
日韓友情年の今年、全国で行われる数々の交流事業から、当県でわれわれが経験したような、出会いと触れ合い、そして感動が生まれ、そこから新たな友情が芽生えることだろう。このような地方と地方間の交流、市民と市民の交流が幾重にも重なることにより、両国民間の信頼と友情の絆が一層深まり、日韓両国が1日も早く、本当に「近くて近い国」になることを心から願う次第である。
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