CLAIR
JETプログラム 自治体の国際協力支援 国際交流の支援 CLAIR刊行物 人材の育成 自治体の海外活動支援・その他 サイトマップ HOME

自治体の海外活動支援・その他
 
 
 
 
 
自治体の海外活動支援
 海外調査活動について
2 海外事務所ごとの個別事項

Q (財)自治体国際化協会海外事務所における個別の留意事項について教えて下さい。

A
  1. ニューヨーク事務所

    1. 州・地方政府の多様性への留意

       アメリカでもカナダでも、州や自治体によって制度や施策が異なっており、一つの団体のケースが他に当てはまらない場合があることに留意する必要があります。また、名の通った自治体、特にニューヨーク市役所などの大都市への訪問を希望する人が多いのですが、現実にはあまり参考にならない場合もあり、対応する相手方が困惑するケースもあるので、どこを訪問するのがよいか事前の研究が欠かせません。

    2. 地理的広さに伴うアクセス時間への配慮

       アメリカもカナダも面積的に広大であり、州間だけではなく同一の州内の移動にも多大の時間を要することがあります。しかも、一部の大都市を除いて公共交通機関が十分に発達していないので、あらかじめ十分な時間的余裕を見込んで訪問の日程を計画する必要があります。

    3. 地方都市における目的地間の移動手段の確保

       小規模の都市においては、公共交通機関だけではなくタクシーの利用も容易でないことがあります。レンタカーを使用する予定がない場合には、あらかじめ目的地間の移動手段を確保するため、移動手段の有無について確認し、確実な準備が必要です。

    4. 通訳の費用と限界

       アメリカでもカナダでも、通訳料は、通常1日当たり(8時間)800ドルから1,000ドル(半日単位(4時間)でも、400ドルから600ドル)が必要です。その他に交通費の実費弁償分を支払わなければならないだけではなく、各種諸経費も必要となる場合がありますので、通訳の利用を希望する際には十分考慮しておかなければなりません。また、一般の通訳では、専門的な分野の通訳がほとんどできないこともありますので、専門用語等の勉強を自らしておく必要があるでしょう。


  2. ロンドン事務所

    1. 調査内容の設定

       ―調査の趣旨は、自治体を訪問し、インタビュー調査を行う上で適当か―
       イギリスの地方自治について調査をする場合には、まず、調査対象が中央政府の政策なのか地方自治体の政策なのかを理解した上で、その内容を設定する必要があります。イギリスでは、日本以上に政党政治が盛んであり、政権党の選挙公約が政府の政策となって具現されています。そして、政党の公約は、地方自治についてもかなり具体的な内容まで踏み込んで綱領として提示しています。このため、「地方分権」や「行財政政策」といった基本的なテーマでは、地方自治体で対応することが困難なことが多くあります。調査対象を十分に精査し、具体的な調査内容を設定した上で、訪問する組織の選定を行わなければなりません。
       また、イギリスと日本では、地方自治体の事務の範囲が部分的に異なっています。医療や農林水産政策のように、日本では地方自治体が行っている事務であっても、イギリスでは他の機関が所管していることがありますので、事前にイギリスの地方自治体の事務の範囲を研究しておく必要があります。

    2. 訪問目的の整理

       ―調査内容が具体化されているか―
       イギリスの地方自治体の職員の多くは、特定分野に精通したスペシャリストです。このため、制度の概論や一般的評価といった事柄には答えられないことが多く、また、調査の内容が多岐にわたる場合には、職員一人では対応できず、異なった部署の複数の職員が必要になり、訪問する相手方に過度の負担をかけるおそれがあります。こうした事情から、ホームページ等を活用して自ら文献調査をしたり、海外事務所に概要説明を依頼するなどして、事前に基礎的知識を得ておき、訪問調査はこれを補完するものとして、必要最小限にし、質問内容も個別具体的にして用意しておかなければなりません。訪問調査は、相手方の執務時間を拘束することになるため、安易な訪問は慎むべきです。単なる表敬訪問には、対応してもらえないと考えておいた方がよいでしょう。
       なお、イギリスでは、ビジネスは可能な限り電話や手紙、Eメールなどで済ませ、真に必要な場合以外は訪問を避ける傾向が強いので、訪問に当たっては、このような事情を十分に理解しておいてください。

    3. 訪問の時期及び日時の指定

       ―訪問を希望する時期及び日時は、相手方の事情を配慮しているか―
       イギリスでも、アポイントメントを取ってから訪問することが常識であり、1月以上前に申し込むように心がけてください。2週間を切った申込みは、ショート・ノーティス(short notice)だという理由で断られることが非常に多いようです。一般的に、夏と冬に長期の休暇を取る人が多いため、アポイントメントを取り付ける際には、このことを十分に考慮して早めに準備する必要があります。長期休暇の時期には、訪問を避けることが望ましいでしょう。訪問して対応してもらう時間は、1時間が通常です。相手方を長時間拘束することは避けましょう。
       なお、訪問日時については、相手方に選択の余地を与えるように依頼しなければなりません。依頼をする側が「○月○日の午後」というように一つに限定することは、厳に慎むよう心がけてください。

    4. 訪問の趣旨及び質問事項の通知

       ―訪問の目的を相手方に通知しているか―
       限られた時間の中で効率的に調査を行うため、訪問の趣旨や質問事項を相手方に事前に通知しておかなければなりません。通訳を頼む場合には、通訳者と事前に連絡を取り、質問事項に優先順位をつけるなどして、効果的な訪問調査となるように心がけてください。また、事前に通知した質問事項以外の項目について質問することは、特別な場合を除いて慎むべきです。
       なお、研修でイギリスの地方自治体を訪問する場合には、日本の海外研修のような制度はイギリスにはありませんので、なぜイギリスまで訪ねてくるのか相手方には理解できないということを踏まえた上で、研修の趣旨や目的を明確に説明することができるようにしておかなければなりません。

    5. 現地での留意事項

       ―無理のない日程を組んでいるか―
       地方自治体を訪問する場合には、アポイントメントの時間に絶対に遅れないように余裕をもってスケジュールを組むように心がけてください。特に訪問先が郊外の場合には、主要幹線の列車の速度は日本よりも速いものの、時刻表どおりに運行されていないことがあり、遅れることも多く、また、乗り継ぎがある場合には、意外に時間がかかります。ロンドン市内でさえも、思わぬ時間を要することもあります。ロンドン市内では、訪問場所は多くても1日当たり午前と午後との2箇所、その他の都市では、移動時間を考慮して1日当たり1箇所に限定することが望ましいでしょう。
       また、イギリスの治安は比較的良好ですが、トラブルに巻き込まれるおそれのある地域を避け、安全に十分に気を配って行動してください。事前に、外務省や海外事務所、旅行代理店などから最新の情報を収集しておくように心がけてください。


  3. パリ事務所

    1. 事前の調査は十分に

       フランスでは、例えば地方税の収税業務は地方自治体ではなく、国の機関が一括して行っています。また、地方自治体の議会の議長が執行機関の長を兼ね、さながら議院内閣制のような仕組みを取っており、訪問に当たって議員が対応してくれるということがまれではありません。このように日本と類似した制度や権限配分が外国にも存在するとは限りません。
       フランスの基本的な行政制度や権限の所在等については、当協会発行の「フランス地方行政のあらまし」(平成4年3月発行)によっても多くを知ることができます。

    2. 訪問先の選定に当たっては十分な配慮を

       フランスでは、保守と革新が常に政権を争っており、地方自治体においても、首長がどの政党に属しているかによって少なからず一定の政治的傾向を持っています。また、一部には移民排斥の傾向をもつ極右政党の党員が首長となっている地方自治体も存在します。訪問のテーマによっては、こうした政治的な傾向についても十分に考慮する必要がある場合があります。

    3. 難しい催促の要領

       訪問の依頼のレターについては、パリ事務所では、訪問までに1月間から2月間の余裕があるよう相手方に届くようにしています。ただ、日本と違って、最終的な返事はなかなか来ないことが多いといえます(すぐに返事が来ることもありますが、訪問の4日から1週間前に返事が来ることが普通です。)。したがって、息の長い「催促」戦術が必要となりますが、執拗な催促で相手方の心証を害することのないよう、その兼ね合いが難しいところです。パリ事務所では、レターを出した後、レターの着信を確認する電話を入れ、その後返事がない場合には、おおむね訪問の1週間から2週間前に、催促の電話を入れることにしています。

    4. 訪問者の地位や人数を忘れずに

       訪問の依頼のレターは、当然ながらフランス語で書くことが礼儀です。パリ市内などでは、英語が通じる機関もありますが、誤解を避ける意味でも、レターは相手方の母国語で作成すべきです。この際に、訪問の希望の日時(選択の幅を持たせること)や訪問の趣旨(具体的であること)が明確にされていることは当然として、訪問者の地位(肩書)や人数も忘れずに明記しなければなりません。フランスでは、地方公務員、それも非管理職の職員が海外研修をする機会はまれであり、まして遠く日本からの訪問となると(訪問を頻繁に受けている機関は別にして)、少なからず身構えるようです。どういう地位の人が、どのような目的で、何人来るといった情報は、相手方が対応者を決定したり、会議室や場合によっては昼食等を準備するために必要なものなのです。

    5. 人の数だけ仕事を分ける国

       フランスに限らず、欧米では、担当業務が細分化され、日本のようにチームで仕事をしているわけではないことは、御存知の人も多いと思います。このため、隣接分野についても話題を広げようとすると、「それは私の担当ではないので、分かりません。」という返事が返ってくることがあります。幅広く話を聞こうとすると、多くの担当者に会うか、より幅広い部門を統括する地位の高い人に会わなければならず、それに従って当然アポイントメントを取り付けることが難しくなります。質問の内容をできるだけ具体的に絞っておくことは、この点からも非常に重要です。

    6. バカンスの国

       フランスでは、夏のバカンスシーズンのほかにも、学校の休暇の時期に合わせて、家族で比較的短期のバカンスに出かけることが結構あります。バカンス等の理由で担当者が不在になるとその間はまったく話が進まず(日本のように「隣の人が代わって処理する」というような感覚は、フランスではまず考えられません。)、訪問の可否を含めて何週間も回答が来ないといったことが十分に起こり得ます。もとより、バカンスシーズンの訪問は避けることが無難ですが、訪問の依頼をする段階でも、こうした事情を十分に考慮しなければなりません。

    7. 議論好きの国民

       訪問を受け入れた相手方も、日本の情報を知り、情報を交換したいと思っていることが多いので、訪問者もその分野について要領よく説明できることが要求されます。また、双方の行政事情や問題意識等、背景の違いから、質疑応答がうまくかみ合わないこともあります。自らの問題点を十分に説明することは、こういった行き違いを避ける上でも必要です。議論好きのフランス人のことですので、一方的に説明を受けるだけではなく、不明な点はその場でためらわず質問するというのも一法です。質問することは、「あなたの話をきちんと聞いていますよ」というメッセージにもなります。

    8. 質問の内容は厳選して

       質疑応答に当たっては、多少経費がかかっても、それなりのレベルの通訳を手配した方がよいでしょう。正確・迅速に意見交換をするためには、むしろ必要な経費だと考えてください。しかし、日本人同士で話すことに比べれば、単純に考えても2倍の時間がかかります。2時間程度は、あっという間に過ぎてしまいます。優先順位をつけるなど、質問事項をあらかじめきちんと整理しておかなければなりません。

    9. 「失敗も研修のうち」は慎んで

       特に訪問が集中するパリ市近郊の訪問先を中心に、日本からの訪問団への批判を時折耳にします。訪問に当たってのテーマについて真剣に研究しようという意図が本当にあるのかと疑われるような、熱心さに欠ける例が一部に存在するためのようです。このような事情も手伝ってか、訪問が集中するパリ市近郊でのアポイントメントの取付けは、地方に比べて相当難しいのが実状です。
       また、「失敗も研修のうち」というような考え方は厳に慎まなければなりません。その失敗のために、相手方に迷惑をかけるだけではなく、それ以降の日本からの訪問に悪影響を及ぼします。これは、研修の代償としてはあまりにも大きな痛手です。派遣元自治体の国際交流担当課や研修担当課と一致協力して、訪問が双方の円滑な意見交換の場となるよう最大限の配慮を払うようにしなければなりません。

    10. 入口は狭く、中は広い

       以上のとおり、フランスでのアポイントメントの取付けは、決して容易ではありませんが、このことは、必ずしもフランスの地方自治体が訪問者に冷淡であることを意味するものではありません。アポイントメントの取付けまでに相当の労力を要する反面、(特に地方都市では)実際に訪問してみると、多くの資料を用意し、親切に説明をしてくれ、ときには昼食に招待してくれたといった先方の思わぬ歓待に感激させられたという例も少なくありません。あえて言うなら、フランスの地方自治体のアポイントメントの取付けの事情は、「入口は狭く、中は広い」と表現できるのではないでしょうか。


  4. シンガポール事務所

    • シンガポールについて

      1. 意見交換をするという意識を持って

         経済発展の著しいアセアン地域を訪問する地方公務員の数は、年々確実に増えてきています。特に、シンガポールは、その治安の良さから海外派遣研修の地に選ばれることが多いようです。  なかでも、シンガポールの港湾施設や空港、また、環境省などの公的機関が訪問先として選ばれることが多いのですが、最近は、これらの機関へのアポイントメントの取付けが難しくなってきました。「例年同じような趣旨の訪問を受けている。訪問する側での引継ぎはないのか。」「ただ話を聞きたいというのでは、こちら側にメリットがない。」などというのが、相手方の素直な意見です。  訪問の予定を立てる前に、過去に訪問した職員がいないかどうかをシンガポール事務所に問い合わせるなどして、前例があるときには、その調査内容が重複しないようにするなどの注意が必要です。  また、訪問するに当たっては、常に相手方と意見交換をするという意識を持ち、日本の情報を相手方に提供するという姿勢が望まれます。

      2. 注意事項

         シンガポールには、欧米のようなサマーバケーションの習慣はありませんが、旧正月や祝日の中には毎年日付が変わるものがあるため、注意して訪問の予定を立てなければなりません。学校には、年4回のスクールホリデーがあり、11月から12月にかけての休みが一番長くなっているので注意が必要です。
         シンガポールでは、汚職防止に関する意識が極めて高く、訪問の際の高価なお土産は、かえって相手方に迷惑をかけてしまいます。このため、お土産は基本的には不要ですが、どうしても必要であれば、相手方の負担にならない安価で心のこもった品を選ぶように心がけてください。

      3. 自分でアポイントメントを取り付ける場合

         シンガポールで自らアポイントメントを取り付ける場合には、次のような方法があります。

        • インターネットの利用

           シンガポールは、「アジアの情報通信ハブ」を目指している国だけに、国に関する情報はインターネットを通じて、世界各国から容易に入手できるよう工夫がなされています。特に、シンガポール政府のウェブサイト(http://www.gov.sg)で公開されている公的機関に関する情報は、非常に参考になります。各省庁をはじめとする公的機関の組織や事務内容に関する情報も入手可能です。また、電子メールによる質問や照会も受け付けており、アポイントメントを取り付けることもできます。

        • ファックスなどの利用

           インターネットの利用以外の方法では、日本で発行されているシンガポールに関する文献や資料を参考にして、調査目的にかなう機関を見付けることになります。その後は、アポイントメントの取付けや質問状の送付などの直接交渉になるため、できるだけ担当部局、担当者に関する情報を入手することになります。それには、年2回シンガポール国内で発行されている「Singapore Government Directory」(シンガポール情報芸術省:Ministry of Information and the Arts発行)が、役に立つ情報源になります。これは、いわゆる職員録で、各公的機関の部局ごとに、職員名及び連絡先が記載されています。日本国内では入手しにくいと思われますので、必要な場合には、シンガポール事務所に問い合わせてください。
           また、担当部署の判断がつきかねるときには、ほとんどの公的機関に配置されている広報担当官(Public Relation Officers)に、関係部局や担当者に関する照会することができます。
           次に、担当者が分かれば、実際にアポイントメントを取り付けるわけですが、その際、シンガポールではファックスが最も確実かつ迅速な方法です。ただし、その場合には必ず自署名をすることを忘れてはなりません。自署名のある文書は、ファックスであっても公文書として取り扱われるため、日本のように後日原本の送付を行う必要はありません。

        • 電話によるアポイントメントの取付け

           シンガポールの人の話す英語はかなり速く独特の言い回しがありますが、恐れずにできるだけ簡潔な言葉で要点を伝えるようにしましょう。一度、電話でアポイントメントを取り付けても、確認のため、再度レターをファックスしておく必要があります。
           シンガポールの公的機関は、旅行代理店が仲介することを嫌う傾向にあるため、できるだけ直接アポイントメントを取り付けることが望ましいといえます。やむを得ず、旅行代理店に依頼する場合には、訪問の目的を具体的に相手方に伝えてもらうようにしなければなりません。


    • シンガポール以外のアセアン諸国について

       シンガポール以外のアセアン諸国では、国によって行政システムが大きく異なっているため、事前に十分な調査が必要です。日本では地方自治体が行っている事務が、国によっては、中央政府や国の出先機関である地方行政府、また、村落共同体が行っている場合もあります。各国の行政制度等の概要については、クレアレポートなどを参考にしてください。
       これらの国々では、交通事情が相当に悪いので、十分に余裕を持った日程に心がけてください。アポイントメントの取付けは、ファックスが一般的ですが、国によっては、日本と同様に原本の送付が必要なこともあります。この際、通信事情の悪さを考慮して、ファックスや郵送するレターの受取りの確認を電話で行うことをお勧めします。※
       また、訪問にあたっては、必ずしも英語が通じるわけではありませんので、相手方の使用言語を確認するようにしてください。通訳が必要な場合もありますし、相手方の部署名や担当者名、職名などは、その言語で書かれたものを事前に入手しておいた方が便利です。案内表示に英語の併記がなかったり、英語で人に尋ねてもわからないケースなどがあるからです。

      近年のインターネットの普及により、タイなどでは電子メールのほうがファックスよりも円滑にやりとりできるようになっています。


  5. ソウル事務所

    1. 最初の連絡は国際交流担当部署へ

       広域自治体(1特別市・6広域市・9道)の国際交流担当部署には、日本語に限らず外国語ができる職員が比較的多くいます。また、外国からの来客に対しては、国際交流担当部署がまずは対応するという認識が日本より強いといえます。このことは、地方自治体に限らず、政府系機関等においても同じことがいえます。韓国語に自信があるなしにかかわらず、まずは国際交流担当部署に連絡を取ることが円滑な調査を行ううえでの第一歩となります。日本とは時差がありませんので、互いの勤務時間内に電話することは可能ですが、より正確な意思疎通のためファックスの利用をお勧めします。この際、着信確認を忘れないように心がけてください。

    2. 名刺は多めに用意する

       訪問に際して、途中で名刺がなくなってしまう人をたびたび見かけます。韓国では、予想以上に名刺を交換する機会が多いといえます。短期間の滞在でも、十分な量の名刺を持って来るようにしてください。
       また、突然思いがけないような高位の人と面会することも結構あるので、お土産の余裕も必要でしょう。

    3. 文書の活用

       会話による意思疎通がうまくいったからといって、それで十分ではありません。韓国では、わずかな時間の訪問といっても必ず文書の提出が求められます。担当者としては、外国からの来客への十分な対応を準備するに当たっては、組織内における決裁が必要不可欠であることを理解しておかなければなりません。可能な限り高位者の名前で依頼文を作成するよう心がけてください。
       また、相手方からの回答についても、文書を出してもらうよう依頼するようにしてください。

    4. 余裕ある行動予定を

       真にやむを得ない場合を除いて、あわただしい予定を組むことは慎んでください。十分な調査をするためには当然のことですが、わざわざ外国から来た人に対して、少しでもその地域や組織などの良いところを見てもらいたいと多くの韓国の人は願っています。来客に対してのもてなしを非常に重要視する傾向にあるので、せっかくの申し出を「時間がないから」と断るようなことは厳に慎むよう心がけてください。

    5. 交通事情の確認を

       韓国の政府機関のうち、行政自治部や外務部などはソウル市中心部の光化門(カンファムン)の第一政府総合庁舎にありますが、建設交通部や農林部などはソウル市郊外の果川(カチョン)の政府総合庁舎にありますので、ソウル市中心部から車で30分以上、渋滞がひどいときには1時間以上かかることを知っておいてください。ソウル市から約150キロメートルに位置する大田(デジョン)にも、一部の政府機関、研究所等が移転しています。
       また、光化門政府総合庁舎や日本大使館のある旧来からのソウル市内と五輪競技場や貿易センタービルのある新都心(江南地区)との往来には、漢江(ハンガン)にかかる橋を渡らなければならないため、渋滞により相当の時間を要することがあるので注意しておいてください。

    6. 訪問先の選定のための情報収集を十分に

       韓国の地方自治制度は、比較的日本のものに近いといわれていますが、六つの広域市の権能は、日本の政令指定都市よりもむしろ都道府県に近いことなども事前知識として必要です。また、道庁がいわば管轄外である広域市に設置されている例などもあり、広域市と道との関係などについても事前に十分調査しておかなければなりません。
       なお、訪問先の選定のための情報を収集するための機関としては、韓国文化院(東京都港区南麻布)、韓国観光公社(東京都千代田区有楽町ほか)、韓国地方自治団体国際化財団(東京都港区虎ノ門)、日韓文化交流基金(東京都港区虎ノ門)などがあります。

    7. 日本の地方自治への関心は高い

       日本の地方自治に対する韓国側の関心は極めて高く、相手方から所管事業に関する財政的措置などの制度的側面などについて相当突っ込んだ質問をされることがあります。日本の制度を事前に十分理解したうえで訪問するように心がけてください。各種資料の提供を求められることもかなり多いので、可能な限り対応できるよう準備しておかなければなりません。


  6. シドニー事務所

    1. 調査対象の行政分野がどこに属するかを事前に把握

       オーストラリアにおいては、連邦、州、地方自治体の三層構造による行政システムを理解して、調査対象の行政分野がどこに属するかを事前に把握しておかなければなりません。

      • 連邦(National Government)
        連邦憲法に規定されている権限(専属権限と共管権限)
        外交・防衛・電波管理・電話・高速道路・出入国管理・年金
      • 州(特別地域)(State Government)
        連邦が専属権限として保留している権限以外の権限
        警察・消防・救急・公立学校・公立病院・環境保全
      • 地方自治体(Local Government)
        各州政府がそれぞれ地方自治体法により付与した権限
        地方道整備・山火事対策・公衆衛生・児童保育・図書館・ごみ収集・建築確認


    2. 地域の特色、産業などの把握

       地方自治体の人口、面積などの規模や行政サービスの内容は、地域によって本当に様々です。事前に地域の特色、産業などを把握しておくことが非常に重要です(例えばシドニー市は、面積約6.18平方キロメートル、人口約1万4千人の規模で、ビジネス、商業に特化された地域であるので、平均的な地方自治体とは主要施策や事務が異なります。とりわけ、2000年の夏季オリンピックを控え、市街地整備に重点が置かれています。)。

    3. 訪問や視察に料金が課せられることもあります

       オーストラリアやニュージーランドでは、訪問や視察に対して料金が課せられることがある(1時間当たり500ドルを徴収する都市もあります。)ので、事前に十分注意しておいてください。

    4. 会計年度や祝祭日などの情報収集

       会計年度の違い(7月から翌年の6月まで)、州によって異なる祝祭日など基本的な事柄は、事前に把握しておくとともに、図書などで事前の情報収集に努めなければなりません。

       (参考となる文献)
      • 「海外調査シリーズ・オーストラリアの州別概況」(日本貿易振興会)
      • 「オーストラリアシリーズ(政治制度、移民政策など)」(勁草書房)
      • 「オーストラリアの教育」(勁草書房)
      • 「オーストラリアの政治と行政」(ぎょうせい)
      • 「目で見る世界の国々H・オーストラリア」(国土社)


    5. 訪問先の情報を収集する方法

       訪問先に関する情報を収集する方法は、インターネットが便利です。行政関係では、まず、「Australian Governmentsユ Entry Point」(http://www.nla.gov.au/oz/gov/)へのアクセスをお勧めします。ホームページを設けている州や自治体へもリンクされていますので、非常に有益です。

    6. 基本的なマナー

       オーストラリアやニュージーランドの人は、気さくで形式にとらわれないというのが一般的な印象ですが、ある程度の役職の方を訪問したい場合には、日程の調整に必要と思われる十分な期間をとって、まず、文書で訪問の目的を説明し、アポイントメントを依頼するというのが基本的なマナーです(電話でかなり詳細に説明しても、必ず文書を送付するように求められます。)。
       したがって、やむを得ず訪問予定が迫ったアポイントメントを取り付けるときは、丁重に非礼をわび、かつ、必要な情報を正確に伝えて依頼しなければ、相手方に不愉快な印象を与えかねません。
       実際に訪問すると、役職にかかわらず、実に気さくで、格式張らず、ざっくばらんに対応してくれます。ただし、一方的に質問を浴びせ、聞きたいことだけ聞くと、あわただしく立ち去るというような訪問が時折見受けられますが、オーストラリアやニュージーランドでは、コミュニケーションは、当然双方向のものという意識がありますので、このような態度は、非常に好ましくありません。相手方の事情を聞く以上、なぜそのテーマに関心を持っているのか、日本ではどのようになっているのか、話を聞いてどのような印象を持ったのか、といったようなことについて訪問者からコメントがあることを期待されているのです。
       是非とも、事前に日本の事情についても十分に研究し、通訳ともよく打ち合わせをして(このような意味でも、通訳の能力も訪問を成功させるうえでの重要な鍵になります。)、相手方も何らかの情報を得ることができるような、意見交換・情報交換に心がければ、相手方の受ける印象は格段に良くなり、おそらく一方的な質問の場合よりも、もっと踏み込んだ有益な情報を提供してもらえることでしょう。
       外国のマナーやコミュニケーションの機微などは、現地である程度長く暮らしてみなければわからないことかもしれませんので、海外事務所がこのようなコミュニケーションの橋渡しとしての役割を効果的に発揮できればと考えています。当地での調査活動にかかわるマナー等について、不明な点がありましたら、シドニー事務所に遠慮なく相談してください。


  7. 北京事務所

    1. 外事弁公室への連絡

       中国の地方政府には、対外的な交流を担当する外事弁公室(○○省人民政府外事弁公室)があり、日本で国際交流員を経験した職員をはじめとして、外国語のできる職員が比較的多くいます。
       アポイントメントの取付けに際しては、この外事弁公室の国際交流処、あるいは友好都市処を窓口として依頼する方法が最も確実であるといえます。
       訪問先に直接連絡する方法も考えられますが、面識のない日本からの場合、依頼自体受け付けてくれない可能性もありますので、できるだけ間に人を介した方が良いと思われます。
       なお、当協会北京事務所を積極的に活用していただくことも歓迎いたします。

    2. 相手方の都合に合わせた日程調整

       訪問時期、時間等の調整に当たっては、ある程度選択の幅をもたせ、一方的な依頼にならないよう注意が必要です。また、電話だけでなく、お互いがファックスを活用し正確な意志疎通ができるように努めてください。
       なお、中国では、日本と異なり昼の休憩時間が長く取られています。通常、11時半位から1時半位までの2時間程度ですが、場所によって、あるいは時期によっては3時から午後の勤務が始まる場合もあります。相手の勤務時間に合わせた連絡、訪問を行うようにしてください。

    3. 余裕のある日程

       訪問先の交通事情を考慮し、余裕のあるスケジュールを作成してください。例えば、北京市内では、主要幹線は終日渋滞の傾向にあり予想以上に移動に時間を要することがあります。
       訪問先の交通事情等を確認し、訪問時間に遅れるようなことのないよう十分に気をつけてください。  なお、相手方が予定にない日程(昼食・夕食への招待等)を入れることもありますので、柔軟に対応することも必要です。

    4. 訪問に要する経費

       相手先によっては、こちらが要望しなくても訪問地での車等の移動手段(例えば、空港からホテル、ホテルから訪問先等)を確保してくれる場合があります。しかし、無料であるとは限らず、後で請求されることもあります。また、会議室の利用も有料となる場合があります。経費を用意するなり、確認するなり、お互いが不愉快な気持ちにならないよう準備してください。

    5. お土産

       中国では、訪問先がお土産を用意していることも多く、お互いが交換し合う場合があります。また、予定にない人と面会したり、食事に招待されたりすることもありますので、安価な物でも心のこもったお土産を多めに用意しておくと安心です。
       なお、名刺についても、訪問先で切らすことのないよう余裕が必要です。


Copyright(C) 2003, CLAIR (Council of Local Authorities for International Relations), Tokyo, Japan