ともに生まれる 子どもの誕生

外国人を親に持つ子どもの状況

近年、外国人を親に持つ子どもは、年2万人以上も生まれており、なかでも新宿区や港区のような都市部では、新生児のうち5人に1人は外国系の子どもたちと言われています。
 国籍別に見ると、「父日本人・母外国人」では、@中国、Aフィリピン、B韓国・朝鮮と続き、 「母日本人・父外国人」では、@韓国・朝鮮、A米国、B中国と続いています。
 多くの場合は、夫婦が協力し、期待と喜びのもとに新しい命を迎えますが、なかには夫の不協力、在留資格、孤独、費用、育児への不安など悩みを抱えている外国人妊婦もおり、こうした人たちに対しては、地域で協力して支援していくことが望ましいと考えられます。

<引用文献等>
厚生労働省「人口動態統計年報主要統計表」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/marr2.html

出産に関わる問題

母子健康手帳

母子健康手帳は「母子保健法」に基づき、妊婦からの「妊娠届」の申請により交付されるものです。母子健康手帳は妊娠初期から子どもが小学校に入学するまでの間の母子の一貫した健康記録として、妊婦健診・健康相談、乳幼児健診、予防接種のほか、病気の際にも持参することとなっており、手帳の内容は全国共通の省令様式部分と自治体による任意記載事項で構成されています。
外国人の中にはこの制度のことを知らなかったり、言葉の問題から利用方法がわからなかったりすることがあるため、近年では外国語版の母子手帳を配布している自治体が増えてきています。

○外国語版母子手帳を交付している自治体(一例)
鎌倉市
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/skenkou/b14-boshi-techo.html
茨木市
http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kurashi/kodomo/ninshin/1313996872828.html
福井市
https://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/kosodate/ninsin/p001829.html#gaikokugo

また、外国人登録のない妊婦に対する母子健康手帳の交付については、それぞれの自治体の対応によりますが、平成12年5月26日参議院国会質問での答弁書には、「外国人登録を受けていない外国人が妊娠の届出を行う場合の届出先は、居住地の市町村とすることが適当であり、当該市町村が母子健康手帳を交付することとなる」と記載されています。

母子健康法
(妊娠の届出)
第十五条  妊娠した者は、厚生労働省令で定める事項につき、速やかに、保健所を設置する市又は特別区においては保健所長を経て市長又は区長に、その他の市町村においては市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない。
(母子健康保険)
第十六条 市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない。
 外国人の医療と福祉に関する質問に対する答弁書より抜粋
(平成12年5月26日、内閣参質一四七第二六号)
  第母子保健法第十五条に定める妊娠の届出は、同法第十六条第一項に基づき母子健康手帳を交付し、妊娠期間中及び出生後に健康診査、保健指導等の行政サービスを適切に提供できるようにすることを主な目的としており、通常、短期的な滞在者であると考えられる外国人登録を受けていない外国人は、当該届出を行う必要はないものと考えている。しかしながら、外国人登録を受けていない外国人が妊娠の届出を行う場合の届出先は、居住地の市町村とすることが適当であり、当該市町村が母子健康手帳を交付することとなる。
<引用文献等>
参議院HP
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/147/touh/t147026.htm

産婦人科検診と出産

 妊娠してから分娩までのプロセスは、国によって検診方法や周産期医療、産後の習慣など、様々な違いがあります。特に分娩方法については、日本では通常は自然分娩ですが、ブラジルやフィリピンなど、日本よりも帝王切開による分娩を望む妊婦が多い国もあります。
 妊婦の精神的負担を軽減するため、出産プランは妊婦と病院の間でしっかり話し合って決めるのが望ましいことですが、現状では、特に言語や文化の違いに関連した障壁から、病院から十分なケアが行われないというケースもあります。こうした事態に対応するために、NPOと連携して、妊婦や病院に対する電話相談や医療通訳の派遣など支援を行っている団体もあります。

○医療通訳・サポート関連事業
 AMDA国際医療情報センター「電話相談」
 外国人または外国人患者を受け入れている医療機関、外国人を雇用している会社、地方行政窓口などから医療関連の相談を受けています。また、言葉の通じる医療機関の紹介や、医療福祉制度の案内を多言語で行っています。
 http://amda-imic.com/modules/activity/index.php?content_id=13

京都市ほか「医療通訳派遣事業」
 京都市、財団法人京都市国際交流協会、特定非営利活動法人多文化共生センターきょうと、4協定病院の協働で、医療通訳派遣事業を実施しています。
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000067379.html

吹田市国際交流協会「通訳同行サポート事業」
外国人の病院での診療の際に、医療通訳ボランティアが同行して支援しています。
http://suita-sifa.org/support-foreign-residents/interpreter-volunteer/

出産費用

2010年8月に厚生労働省が実施した調査では、正常分娩の場合、全国平均で47万円余の費用がかかっているという結果がでています。本人や配偶者が公的医療保険制度(健康保険)に加入している場合、出産にかかる費用には出産育児一時金が充てられますが、外国人は日本人と比較すると健康保険の未加入率が高いことから、健康保険未加入者による駆け込み分娩や医療費未払いなどの問題も生じています。

言葉や文化の違い

外国人妊婦の中には、言葉や文化の違いから、精神的に悩みを抱えるケースもあります。安心して出産を迎えるために、助産師や看護師が、外国人妊婦に対して文化的背景を考慮したケアを提供することが望ましいことですが、現在までのところ、こうした検討はまだ十分になされていません。また、医療、看護教育の中で外国人ケアに対する科目の整備などもはじまったばかりと言えるでしょう。病院と行政・国際交流協会などが連携し、助産師や看護師への異文化理解を進めていくことも有効と考えられます。

<引用文献等>
川村千鶴子、近藤敦、中本博皓 編著(2009)、『移民政策へのアプローチ』明石書店

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出産後のケアに関わる問題

乳幼児健診と予防接種

乳幼児健康診査は、母子保健法(昭和40年8月18日法律第141号)第12条及び第13条の規定により市町村が乳幼児に対して行う健康検査です。この他にも、自治体によってさらに健康検査を実施しているところもあります。

母子健康法より抜粋
(健康診査)
第十二条  市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない。
一  満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児
二  満三歳を超え満四歳に達しない幼児
2  前項の厚生労働省令は、健康増進法 (平成十四年法律第百三号)第九条第一項 に 定する健康診査等指針(第十六条第四項において単に「健康診査等指針」という。)と調和が保たれたものでなければならない。
第十三条  前条の健康診査のほか、市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。

また、予防接種には、厚生労働省が勧奨する定期接種と、任意の予防接種があり、接種する時期や間隔の調整を考えなければなりません。任意接種については、自治体によって自己負担額も異なることから、どの予防接種を選択するかについても考える必要があります。

定期予防接種
DPT(ジフテリア、百日せき、破傷風)、DT(ジフテリア、破傷風)、MR(麻しん・風しん混合)、日本脳炎、ポリオ(小児マヒ)、BCG
任意予防接種
流行性耳下腺炎、水痘、Hib(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌ワクチン

このように、乳児健康診断と予防接種は、子どもの健康を考えるととても大事なことである一方、母国ではなじみのないものもあり、スケジュール立ても含めて非常に理解が難しいものです。自治体としては、制度に対して理解してもらうため、多言語による情報提供などの支援が望まれるところです。

発育に関する相談

外国人父母の中には、子どもの発達や成長面で不安や悩みを抱えている人も多くいます。各都道府県や指定都市には、子どもの発達障害に関する相談支援や発達支援などを行う「発達障害者支援センター」が設置されていますが、外国人の子どもへの対応まで十分に行き届いていないところもあります。地域全体で支援していくため、行政や国際交流団体などとの連携が図られることが期待されます。

発達障害情報センターHP
http://www.rehab.go.jp/ddis/
発達障害者支援センター一覧(発達障害情報センターサイト内)
http://www.rehab.go.jp/ddis/相談窓口の情報/発達障害者支援センター・一覧/

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