高校・大学に入学する

高校・大学教育における現状を知る

わたしたちにとって、「学ぶ」ということは、一生つづいていくものです。義務教育を終え、高校、専門学校、大学そして生涯学習と様々な機会があります。
そうしたなか、誰でも、初めて自らの進路を考える際には、期待とともに、戸惑いを覚えるものでしょう。とりわけ義務教育を終えた外国人の生徒が自らのその後の進路を考えるにあたっては、いくつかの壁が存在しています。日本語力の問題、文化的背景の違い、親の理解不足による問題など、様々な点において、日本人の生徒とは異なる状況にある場合があります。
日本においては、高校や大学への進学は、その後の就職など人生の選択肢に大きな影響を与えるのが現実です。どの生徒も自分に合った進路を歩めるよう、情報提供、進学アドバイス等を与えることが期待されています。
ここでは、外国人の学生を取り巻く課題や、義務教育以降の教育について説明します。

外国人と不就学の問題

1989年の入国管理法の改正以降、日系ブラジル人労働者が国内で増加し、これに伴って学齢期の同伴子女が公立学校にもブラジル人学校にも通学しないという不就学状況が問題視されてきました。日本と母国との頻繁な往来で継続的な教育の機会を得られないこと、公立学校の不十分な日本語指導、ブラジル人学校の高い月謝等が不就学状況の原因ともされ、改善が求められており、滞在が長期化する中で、学校にも行かず、職にも就けない子ども達の素行が危惧されることもありました。
日本社会への適応と生活手段の獲得は、一定以上の学歴を前提とすることから、中学校や高等学校卒業の資格を希望する生徒は多くいます。それゆえ、高等学校進学のために独力で、あるいはNPO等の何らかの支援を得て中学校卒業程度認定試験(中卒認定試験)の合格を目指す外国人が増えていると考えられます。

一方で、現実として、現在の日本全国の高校進学率は、97%を超えているのに対して、在住外国人生徒の高校進学率はこの数値を大きく下回っています。正確な統計はありませんが、およそ5割程度しか進学していないともいわれています。

進学率の低さには、様々な要因があると思われますが、その最も大きな要因は日本語力です。
生活するうえでの日常的な会話は問題なく出来ても、読み書きをはじめとした「学習言語」としての日本語力が十分ではない例が多々があります。
また、国際結婚や帰国子女が増えている中、たとえ日本国籍をもつ生徒でも、学習言語としての日本語力に課題を抱えているケースもあります。

もう一つの課題は、進学に関する保護者の認識の問題です。日本では、義務教育後の教育が、就職やその後の進路に大きく影響しているのが現状です。しかし、労働目的で来日した保護者の多くは、将来帰国することを前提としていることから、日本における子どもの教育には、それほど関心を示さない場合もあります。また、母国の状況によっては、日本とは違い、高校に進学すること自体が一般的ではないという場合もあるでしょう。
結果として、数年の予定の日本での滞在が長期化し、子どもの教育にとって最も大切な時期を棒に振るってしまう事態が少なからず生じています。
こうしたことから、日本における進学の大切さを認識してもらうためには、保護者向けの情報提供も欠かせません。保護者への理解を深めることがひとつの解決策につながります。

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中学校卒業程度認定試験(中卒認定試験)

中学校卒業程度認定試験とは、学校教育法第十八条の規定により、「病弱、発育不全その他やむを得ない事由」によって保護者が義務教育諸学校に就学させる義務を猶予又は免除された生徒に対して、中学校卒業程度の学力があるかどうかを認定するために国が行う試験で、1967年度から実施され始めました。試験の出題は日本語で行われ、試験科目は、中学校の国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の5教科です。合格した者には高等学校の入学資格が与えられます。
導入当初は、養護学校での教育もままならない病弱・虚弱の児童生徒に高等学校進学の希望を与えるための例外的措置でしたが、ここでいう「その他やむを得ない事由」とは、①少年院や児童自立支援施設等に入所し就学ができない場合、②重国籍で、将来外国籍を取得することを前提として、在日外国人学校等に就学を希望する場合、③帰国子女で、日本語の能力が養われるまでの一定期間、適当な機関で日本語の教育を受ける等の措置が講じられている場合とされており、現在では、不登校生徒児童や日本の義務教育学校を利用できない、あるいはそれ以外の外国人子女に後期中等教育機関への進学を保障する救済機能を果たしつつあります。

1999年度には、各種学校扱いで中学校卒業資格を得られないインターナショナルスクールや外国人学校の卒業者、在学者の受験も可能としたことから、日本で進学や就職を希望する外国籍の受験者が急増しました。受験者全体に占める外国籍の受験者の割合は、99年度の26.3%から2008年度は58.7%に拡大し、国籍別に見ると、08年度は韓国やブラジルなど計7カ国から受験者が集まりました。

また、2008年には文部科学省は、日本在住の外国人子女に対し、中学校入学資格の条件を緩和して、小学校卒業資格を有せずとも中学校への入学を認める方針を示しました。これは、各地で日系ブラジル人の子女等の増加を背景に、経済的事情から小学校に通学していない、あるいは外国人学校から公立中学校に進学ないし転学を希望する子どもたちに教育の機会を保障することを念頭に置いた措置です。これは、外国人のみを対象とし、インターナショナルスクール等に通学する日本人には適用されません。不況が深刻化し、保護者の授業料の不払いが原因で閉校に追い込まれているブラジル人学校も散見され、実態に即した措置といえます。

<日本の高校の受験資格>

① 外国において相当する9年間の教育を修了した者
② 文部科学大臣が指定した者
③ 中卒認定試験に合格した者
④ 個々の高校が認めた者
⑤ 文部科学大臣が認定した在外教育施設の課程を修了している者

現行の教育基本法は、高校入学に際して上記に掲げる者を高校受験資格があると定めていますので、外国で9年に満たない教育しか修了していない場合には、中認試験に合格する必要があります。

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学齢超過に関わる問題

「学齢超過」とは、日本の法律に規定されている義務教育年齢を過ぎている状態をいいます。日本では、満15歳の3月31日が義務教育を終える年齢と定められていますが、義務教育年齢のうちに来日した子どもが、母国と日本との義務教育課程の制度の違いから、学歴を超過しているにもかかわらず、義務教育をいずれの国においても修了していない、という問題が起こることがあります。

教育課程の捉え方や進級、修了認定の方針は国によって異なり、課程主義と年齢主義に分けられます。課程主義とは、ある定められた課程を習得することで、進級もしくは修了するという考え方です。課程主義を採用する国では、大枠での義務教育年齢は定められているものの、落第や飛び級により、1学年の中に異年齢の子どもが混ざって勉強することになります。一方、年齢主義とは、課程の習得度合いにかかわらず、年齢によって全員一斉に進級したり修了したりする考え方です。日本は年齢主義をとっており、6歳から15歳で一斉に義務教育を受けます。同じ年齢主義の国であっても、就学開始年齢が7歳である国もあります。

また、日本の義務教育期間は9年ですが、国によっては8年もしくはさらに短いところもあります。この場合、母国では中卒資格がある状態で来日したにもかかわらず、日本では中卒資格が認められないという問題が起こります。

こうした学歴超過などの問題には、それぞれ異なる制度の違いを理解しつつ対応について判断する必要があります。

<引用文献等>
かながわ国際交流財団「あーすぷらざ外国人教育相談報告書」
同報告書には、国別の学齢表も掲載されています
http://www.k-i-a.or.jp/kokusai/shuppan/houkoku/pdf/earthplaza_kyouikusoudan.pdf

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