日本で学ぶ外国人

日本語教育

外国人が日本で安定した生活を送るためには、ある程度の日本語力が不可欠です。周りの日本人とコミュニケーションが取れれば、自分の抱える問題の解決にもつながり、ひいては自立して地域社会に参画出来るようになります。
こうしたことから、地域において日本語学習の機会を提供することは、外国人のより充実した生活につながるだけではなく、地域社会にとっても外国人との交流が生まれます。ここでは、日本語教室や学習者を取り巻く現状と課題を紹介します。

日本語教室の現状

現在全国で運営されている日本語教室の多くは、ボランティアによって運営されているのが現状です。多くの場合、各地の国際交流協会や公民館等で開催され、無料か低額の授業料で勉強することができます。
授業の内容も様々で、フォーマルなカリキュラムを使って定期的に開催される教室から、インフォーマルな日常会話を中心としたクラスまで、教室によって体系は様々です。

日本語教室は、これまで地域において、外国人の生活を支援する上で非常に大きな役割を担ってきました。教室への参加を通じて、日本語の知識を身に着けることはもとより、日本語教室において、外国人が他の学習者と関係を持ち、講師との交流が生まれ、地域と接する貴重な機会としての意義にも注目が集まり、教室での交流を通じて、外国人が直面している悩み事などを共有することで問題解決につながるケースもあります。
こうしたことから、講師と学習者は同じ地域の構成員であり、対等の立場で接することが大切であるとの考えから、講師を「ランゲージ・パートナー」と呼ぶ教室が増えてきており、地域の日本語教室は、学習者の日本語力を向上させるだけではなく、地域の構成員として自立できるように総合的なサポートを提供することを目的として捉えてられています。

一方で、各地の日本語教室は、課題も抱えています。
ひとつには、日本語教室の担い手であるボランティアの高齢化です。小規模の日本語教室の多くは、一部の熱心なボランティアにより運営されていることから、この活動を継続していくためには、地域でボランティアの育成や教室の運営を支えていく仕組みづくりが必要です。
また、教室の開催時間や開催場所の制約の問題もあります。ボランティアによる自主的な運営では、日中働いていたり、子育てをしている外国人が通えない時間帯に開催されたり、広い地域のなかで教室が1つしかない、あるいは1つもないという地域もあります。現状では、こうした物理的な制約から、勉強したい、交流をしたいと考えてもそれが叶わない外国人も多くいます。

他方、自治体の中には、前述のように、日本語教室を在住外国人と地域社会の貴重な接点と捉え、教室の場をうまく活用している事例があります。例えば、教室の場で外国人向けの情報を配布したり、また、ある教室では、ごみ処理ルールに関する資料を教材として使って、日本語を教えると同時に、地域における日常生活に役立てていたりする例があります。

文化庁  『生活者としての外国人』のための日本語教育事業
日本国内の定住外国人が地域社会の中で孤立することなく生活していくために必要な日本語能力を習得し,多文化共生社会の基盤づくりに資する各地の優れた事業企画を募集・審査し,事業を委託しています。
文化庁 HP
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/seikatsusya/index.html
のしろ日本語学習会
能代市及び隣接する町村に在住する外国籍住民など日本語を第一言語(母語)としない人々に対する日本語学習支援と生活支援を行っている市民ボランティア団体です。
「のしろ日本語学習会」HP
http://njsl016.web.fc2.com/
U-biq (ゆーびっく) HP
全国のボランティア日本語教室や日本語教育について学べる大学院、日本語教師の教案などについて紹介しています。
http://u-biq.org/

日本語教育ボランティアの育成

各地の日本語教室の担い手の多くは、日本語教育に熱心なボランティアです。
日本語教育の資格を持つ人が、講師になることが望ましいかもしれませんが、多くは資格を持たないボランティアに支えられているのが現状です。
また、小規模な教室では、教室の運営から授業の実施、その他の面での生徒のケアまで、すべてひとりで担っていることもあります。彼らのような人材が、更にステップアップしていくためには、育成講座の実施や問題意識を共有する場の提供などが欠かせないと思われます。

  図 地域型で開催している日本語教室の状況(2009年11月)

区 分 機関・施設数 教 師 数 学習者数
常勤 非常勤 ボランティア 合計
地方公共団体 88 21 122 1,791 1,934 10,467
教育委員会 103 70 281 1,750 2,101 7,910
国際交流協会 265 36 362 7,118 7,516 20,402
NPO/任意団体 244 51 230 4,558 4,839 11,552
合計 700 178 995 15,217 16,390 50,331

  出典:尾崎明人 地域国際化協会連絡協議会総会講演資料(2011年5月13日)

また、教室の運営やボランティア全体をコーディネートする役割を担う人を「ボランティア・コーディネーター」といいます。ボランティア、地方自治体、地域の橋渡し役として、教室運営を円滑にする大切な役割です。
地域に根付いた日本語教室運営を継続させていくためには、ボランティアコーディネーターの育成も重要なアプローチになります。

こうしたことから、ボランティアの講師やコーディネーターを育成するプログラムについては、各地の国際交流協会などで積極的に取組みがはじまっています。

日本語ボランティア養成講座事業報告書 「ことばの会」 企画運営委員会
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/h20_shidosha_yosei/pdf/h20_yousei_aichi.pdf

日本語学習の支援

各地域で日本語教室を開催するときのポイント
1.参加者のニーズと、学習の目標(ゴール)
2.参加者の通いやすい場所、時間
3.連携できる関係団体

各地域で開催している日本語教室の情報については、自治体国際化協会でも紹介しています。

自治体国際化協会「多言語生活情報」
http://www.clair.or.jp/tagengorev/ja/k/01-3.pdf

各地域では、国際交流協会やボランティア団体が開催している日本語教室も多くあります。
自治体国際化協会・地域国際化協会情報のホームページでは、地域国際化協会の情報を掲載しています。

自治体国際化協会・地域国際化協会情報HP
http://rliea.clair.or.jp/kyoukai/index.html

地域国際化協会では、その地域の日本語教室について、「日本語教室のマップ」を作成しているところもあります。

埼玉日本語教室一覧
財団法人埼玉県国際交流協会では、埼玉県内の日本語教室を紹介しています。
財団法人埼玉県国際交流協会HP
http://www.sia1.jp/support/jmap/japanese.htm
かながわ日本語学習マップ
財団法人かながわ国際交流財団では、神奈川県内の日本語教室を紹介しています。
財団法人かながわ国際交流財団HP
http://www.kifjp.org/classroom/

また、より利用者のニーズに合った教室の運営や、より体系的な講座の実施などに向けた取り組みを行っている団体もあります。地域に学習意欲を持つ外国人はどれくらいいるのか、どういった形態で実施すれば参加しやすいのかなど、彼らのニーズを把握するために調査を行ったり、学習者のレベルに合う教材を開発したりすることで、学習者の支援をおこなっています。
また、より体系的な取り組みを進めていくためには、外国人に対する日本語教育の、「標準的なカリキュラム」の作成も、今後の課題だと言われています。

文化審議会国語分科会では、「生活者としての外国人」に対する日本語教育の体制の整備や内容の改善について審議を行っており、平成22年5月に「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」を取りまとめました。また、平成23年1月に「生活者としての外国人」に対する日本語教室の標準的なカリキュラム案及び活用のためのガイドブックを取りまとめました。
これは、各地域において「生活者としての外国人」の実情に応じた日本語教育の内容について検討し、カリキュラムや教材を作成する際に参考となるものです。それぞれの地域の状況を踏まえた上で活用ができます。

「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案及び活用のためのガイドブック
文化庁 HP
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/nihongo_curriculum/index_2.html

また、地方自治体や関係団体などにおいても、様々な取り組みを行っています。

とよた日本語学習支援システム
豊田市では、平成20年度から名古屋大学、豊田市国際交流協会、地域、企業の協力のもと、「とよた日本語学習支援システム」の構築、普及に取り組んでおり、地域コミュニティ、企業のニーズに応じて「地域に密着し交流の要素を兼ね備えた日本語教室」の開設、運営、改良の支援を行っています。
また、ここでは、日本語のeラーニング「とよた日本語eラーニング」も提供しています。
名古屋大学 とよた日本語学習支援システム HP
http://www.toyota-j.com/
外国人定着支援日本語システム検討事業(群馬県)
群馬県では、地域の実態に合った日本語指導のシステムを開発するために、新しいアプローチでの教室の運営や教材の開発など、モデル事業を実施しています。
群馬県「多文化共生推進事業」
http://www.pref.gunma.jp/07/c3610021.html
自治体国際化協会「自治体国際化フォーラム」
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_251/15_information.pdf
かながわの日本語学習支援〜現状とこれから〜  報告書
この調査は、今後の県内の日本語学習支援の方向性を検討するため、県内の日本語ボランティア教室、社会教育施設、中間支援団体など、外国人住民への学習支援を提供する主体に、各教室の現状や課題を調査し、共有しています。
財団法人かながわ国際交流財団 HP
http://kifjp.org/wp/wp-content/uploads/2014/02/research_2008.pdf
日本語教育学会「地域日本語教育人材育成プロジェクト(JIP)」
「生活者としての外国人」のための日本語学習環境づくりや、地域日本語教育に携わる専門家・コーディネーターの育成等に関するプロジェクトで、研修会の開催や日本語学習支援のあり方の提示、また教室立ち上げや運営に関する相談などを行っています。
社団法人 日本語教育学会 HP
http://www.nkg.or.jp/oshirase/JIP20110422.pdf

↑ このページの先頭へ戻る