地域に暮らす

地域に暮らす外国人の現状を知る

住居に関わる問題

入居差別について

外国人の入居形態としては、民間社宅、民間賃貸住宅、マンスリーマンションなど様々なものがありますが、民間賃貸住宅などでは、不動産会社や大家さんから外国人の入居が断られることがあるようです。その理由の一つには保証人の問題がありますが、最近では賃貸債務保証会社との契約により、保証人が不要となる場合が多くなってきていますし、民間賃貸住宅入居支援を行っている自治体もあります。

もう一つの問題は、外国人だからという理由で入居を断られるケースです。このような入居差別をなくすには、日ごろから地域全体で文化や習慣の違いなどに対する理解を促進していくことが大切です。

外国人集住団地について

入居差別がなく、家賃の安い公営住宅、都市機構の賃貸住宅に居住している外国人も少なくありませんが、特定の団地に数世帯が同居すると、それが呼び水となって次々と同じ出身地の外国人が増え、それと同時に日本人住民が退去することで、いわゆる「外国人集住団地」が形成されることがあります。外国人集住団地は、そのほかにもいろいろな理由で形成されます。主な外国人集住団地には、日系人、韓国人、中国人などによるものがあります。

・日系人集住団地
労働している日系ブラジル人は、多くの人が人材派遣会社の宿舎に住んでいます。これらの人々は仕事と住居がセットになっているので、転職しない限りは同じ場所に住み続けます。一方では、仕事がなくなったときに住む場所がなくなってしまう恐れがあります。金融危機を発端とした「世界同時不況」の際には、多くの日系人が住みかを失いました。
平成21年末現在、ブラジル人人口が約1万五千人で全国最多の浜松市は、積極的な外国人支援を取っています。

・韓国人集住団地
歴史的経緯などにより日本に住み続けてきた在日韓国人が多いですが、1980年代後半、韓国の海外旅行自由化を契機に新たに来日し定住しはじめた人々もいます。関東地方を中心に多くのコリア・タウンが存在しています。

・中国人集住団地
中国の改革開放によって、1980年代以降に来日した人々が多くいます。横浜や長崎が有名ですが、関東近郊や京都市南部などにも、多くの中国コミュニティーが形成されています。

<引用文献等>
川村千鶴子、近藤敦、中本博皓 編著 (2009)、『移民政策へのアプローチ』明石書店

結婚に関わる問題

国際結婚の状況

近年、国際結婚の数は増え続けており、結婚総数のうち、約20組に1組は国際結婚となっています。このうち約8割は日本人夫と外国人妻の結婚であり、国際結婚を機に日本に住む外国人の数は増えています。特に、若者の流出と農業後継者の不足に悩む農村地域では、1980年代後半から、フィリピン、タイ、韓国、中国など近隣アジア地域出身の夫人たちが急増しました。

<引用文献等>
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei09/index.html

結婚生活に関わる問題

多くの国際結婚家族は幸せな家庭を築き、子どもたちも、二つの文化を持つ人間としてのアイデンティティーを遺憾なく発揮して地域の一員として活躍していますが、なかには、子どもの出産や教育、病気など様々なことに直面した際に、言葉の問題や生活習慣の違いから戸惑いやストレスを抱えてしまう人もいます。

DVの問題

外国人花嫁の中には、日本語ができないために結婚相手とコミュニケーションがとれなかったり、日本人配偶者からの暴力などの悩みを抱えている人もいます。

特に、実家ぐるみで夫に経済的に背負われていることへの負い目や、離婚によってビザを失い、日本に滞在することができなくなることへの恐れから、夫による暴力を我慢する人も少なくないようです。こうした困難な状況からの避難場所として、NPOなどが主体となりシェルターを設置しているところもありますが、民間団体による運営だけでは財政的に厳しく、自治体などによる支援のあり方についても検討する必要があります。

浜松市では、配偶者などからの暴力(DV)防止に向けて、啓発のためのリーフレットを日本語のほか、ポルトガル語、中国語、スペイン語、英語、タガログ語、ベトナム語で作成して配布しています。

浜松市DV(配偶者等からの暴力)防止・支援基本計画
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/lifeindex/participation/together/dv/index.htm

生活情報に関わる問題

制度や生活情報の周知に関わる問題

新型インフルエンザなどへの感染予防策や、子ども手当など新制度の周知については、外国人住民についても早く情報を提供するのが望ましいことですが、「市町村のホームページが多言語で翻訳されていない」、「町内会に入っていないため自治体の広報紙が届かない」、などの理由から、外国人住民に対して生活情報提供が十分に行き届いていないこともあります。

このため、ホームページや情報誌など行政情報の多言語化への対応や、日ごろからの情報提供や情報交換の場を設けるなどの環境を整備していく必要があります。

緊急時の対応に関わる問題

想定される状況

病気や事故、災害などの緊急事態が発生した場合には、在留資格にかかわらずすべての外国人に対して迅速な対応が求められます。特に災害に関しては@防災、A発生直後、B経過後対応、など短期的なものから長期的なものまで場面に応じた支援が必要となります。

このような事態はいつ発生するかわかりませんので、日頃から行政と国際交流協会、NPOがスムーズに連携ができる体制づくりや、外国語の分かる医師のいる病院リストや避難所の多言語表示シートなどが役立ちます。また、医療機関などへ通訳派遣を行っている自治体もあります。各地の医師会が提供している医療機関検索システムの中で「外国語の対応」と検索項目としてあげているところもあります。

緊急時に役立つ各種支援ツールなど

緊急時における支援の課題

(1)医療支援における課題

外国人住民の増加に対して、様々な外国語に対応できる医療機関がまだ少ないことから、診察に支障を生じることが少なからずあります。

医師と患者の橋渡しをする通訳(医療通訳)の必要性が言われており、国際交流協会などで通訳派遣を行っているところもありますが、まだシステムとして確立されていません。医療通訳は命にかかわる大切な業務であるとともに、守秘義務、誤訳による医療過誤など、繊細かつ重責を伴う業務です。診療場面では、「診察時の説明」「病気の説明」「薬の説明」等専門的な知識とコミュニケーション能力が求められます。

このことから、医療現場におけることばの問題に取り組んでいる関係者が集まり、「医療通訳を考える全国会議」において、医療通訳のレベル向上と社会的認知をめざし議論を行い、各地で活用できる共通基準案を作成しました。

医療通訳の共通基準
2010年5月に神奈川県の多言語社会リソースかながわ及び多文化共生センターきょうとが協働で作成した素案をもとに、関係者で議論・検討を重ねて作成した医療通訳の共通基準案です。
多文化共生センターきょうとHP
http://tabunka-kyoto.jimdo.com/医療通訳の共通基準/
<引用文献等>
外国人のくらしよくある相談事例集(自治体国際化協会)

(2)災害時における課題

地震のない国から来た外国人は、防災に対する意識や災害時において避難することの必要性が理解できないことがあります。また避難所においても、文化・生活習慣の違いからトラブルが生じたり、緊急の情報を発信する際の多言語での対応など様々な課題があります。

日ごろから、行政と国際交流協会やNGOが連携して、外国人の生活課題など情報を収集していくとともに、災害に対する意識啓発が必要です。外国人住民と地域住民とのコミュニケーションが十分にできる環境づくりも必要でしょう。単独の市町村では支援に限界があることから広域的な取り組みも行われてきています。

災害時相互応援協定(外国人集住都市会議)について

また、自治体国際化協会では、災害時の情報提供に活用いただける「災害時多言語情報作成ツール」を提供しています。

自治体国際化協会「災害時多言語情報作成ツール」
http://www.clair.or.jp/j/multiculture/tagengo/tool.html

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