地域に参画する

新しい地域社会のシステムづくり

外国人も日本人と同様に、生活期間が長くなるにつれて、単身者から家族へ、結婚・出生から子どもの育児・保育・教育へ、労働者から起業家へ、と地域における役割も変容していきます。

その際に大切なことは日本人社会と断絶された別社会ではなく、共存共栄の関係をつくることです。積極的に外国人の地域社会への参加を促し、地域全体のあり方を見据えた新しい地域社会のシステムとルールづくりを行うことが必要となってきます。

<引用文献等>
川村千鶴子 編著 (1998)、『多民族共生の街・新宿の底力』明石書店

外国人の社会参画への課題

人権の問題

国際的な視点に立った人権尊重社会をつくることが大切ですが、歴史的・地理的に関係が深いアジアの近隣諸国と日本との関係や韓国・朝鮮籍の人が日本で暮らすようになった歴史的経緯など、国際社会に対する理解と認識は未だ十分とは言えない面があります。
外国人の人権を尊重し、同じ地域の一員として共に安心・快適に暮らしていける環境づくりが必要です。

外国人住民の人権の尊重(国際人権規約、人種差別撤廃条約)
国際人権規約は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」(いわゆる「国際人権A規約」)と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」(いわゆる「国際人権B規約」)と呼ばれるもの、そして「市民的政治的諸権利に関する選択議定書」(B規約の選択議定書)によって構成されています。日本は1979 年に国際人権規約A規約及びB規約を批准しています。

<引用文献等>
法務省人権擁護局
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index.html
外国人のための人権相談所(法務省)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html

キーパーソンの存在

長い間、地域に暮らしており、日本語能力も高い外国人住民は、例えば震災時などには他の外国人を「支援する側」に回ることができる貴重な人材でもありますが、地域のコミュニティーにおける外国人のキーパーソンの発掘や外国人コミュニティーとの連携などを行っている地域はまだ少ないと言えます。総務省では、そのような外国人キーパーソンに関わる具体的な施策として以下のような事例をあげています。

<「地域における多文化共生推進プラン」(2006年総務省)より抜粋>
A 外国人住民の自立と社会参画
ア.キーパーソン・ネットワーク・自助組織等の支援
外国人住民が、地域住民として主体的に地域で活動できるよう、地域の外国人コミュニティのキーパーソンとなるような人物や外国人住民のネットワーク、そして外国人住民の自助組織の支援を行うこと。
イ.外国人住民の意見を地域の施策に反映させる仕組みの導入
審議会や委員会などの会議への外国人住民の参加を促進し、地方公共団体の施策に外国人住民の意見を広く反映させる仕組みを構築すること。
ウ.外国人住民の地域社会への参画
地域の実情に応じて適切な自立支援体制を整備すると同時に、外国人住民の地域社会(自治会、商店街、PTAなど)への参画を促進すること。
エ.地域社会に貢献する外国人住民の表彰制度
外国人住民の中には、様々な形で地域社会の構成員として活躍し、地元社会に貢献している人々もいることから、そのような活動を評価し、表彰すること。

行政サービス上の課題

外国人が、日本の制度や地域のルールを理解していないために、地域住民との間で誤解やトラブルが起こることがあります。また、日本語教育に関しても、現在、多くの地域では国際交流協会やNPOなどが実施していますが、行政が主体的に行っている自治体はまだ少ないと言えます。外国人住民の活力を活かした地域づくりに向けて、住民サービスの向上と同時に、行政主導による制度理解の場の提供や、日本語教育の制度化など検討する必要もあるでしょう。

外国人の活力を活かした地域振興策

以前までは、外国人住民のコミュニティーと言えば、横浜の中華街に代表さされるような、別社会的な色合いが大きかったのですが、それに対して、近年では日本人と外国人が対等な立場で生活を営む共生社会が形成されつつあります。

(1)新宿区大久保地区

新宿区は9人に1人が外国人と言われており、特に大久保地区はアジアの若者たちの町として知られています。同地区には韓国系の料理店、居酒屋、韓国文化のショップなど、出身国のものを扱う商店やレストランなど各種のエスニックビジネスを展開する外国人起業家たちが集まっており、アジアからの観光客の一大拠点ともなっています。

しんじゅく多文化共生プラザ
多目的スペース、資料情報コーナー、日本語学習コーナー、外国人相談コーナーを設け、同スペースには東京入国管理局が運営する外国人総合相談支援センターが入っています。
公益財団法人新宿未来創造財団HP
http://www.regasu-shinjuku.or.jp/?p=352

(2)群馬県大泉町

同町は、入管法の改正により南米日系人の就労者が急増し、総人口に占める割合も15.4%(平成22年3月31日現在)と外国人比率が全国で最も高い町となりました。
町内にはブラジル本国の中産階級向けスーパーマーケットがそのまま開店するなど、さまざまなエスニック・ビジネスが展開されているほか、学校や宗教施設などもあり、このようなブラジル人集住地区は「ブラジルタウン」として知られるようになりました。
群馬県観光協会では、このような特徴を誘客の手段として「ブラジル横町街歩き日帰りの旅」を企画し、人気のツアーとなっています。また、就労している外国人の息抜きの場として開催した「大泉カルナバル(サンバまつり)」も、いまでは住民との国際交流の場となっています。

財団法人群馬県観光国際協会HP
http://gtia.jp/
大泉町観光協会HP
http://www.oizumimachi-kankoukyoukai.jp/

(3)静岡県浜松市

同市は、1970年代以降、地元企業の国際化に伴って海外からの視察や研修が増えましたが、90年代以降は、地域に多くのブラジル人コミュニティーが存在し、母国料理のレストラン、衣料・食料品店、日本語教室、コンピューター学校、通信教育、銀行、ポルトガル語による新聞社などのビジネスも展開されるようになりました。国際交流団体が主体となって、体系的に日本語教育を行っており、例えば介護現場で必要な日本語の基礎表現やコミュニケーションを学ぶとともに、介護現場での就職を支援するなど、外国人の自立支援なども積極的に行っています。

財団法人浜松国際交流協会HP
http://www.hi-hice.jp/index.php

(4)「県営いちょう団地」(神奈川県)

神奈川県いちょう団地地区には、数多くの外国籍住民が暮らしており、外国籍の住民が自治会役員として運営に参加したり、高齢化の進んだ日本人住民に代わって外国籍の若者たちが地域づくりの担い手として地域の防災や祭りに積極的に関わるなど、地域の自治活動のモデルとして注目されています。 2010年には、交流拠点となっている「多文化まちづくり工房」(横浜市)が、地域の特色を生かした国際交流活動として、国際交流基金より「地球市民賞」の表彰を受けました。

多文化まちづくり工房HP
http://tmkobo.com/

(5)「あーすフェスタかながわ」(神奈川県)

異なる国籍、文化を持つ多くの県民が、それぞれの文化や考え方をアピールするとともに、互いを理解する機会を作るため、2000年から始まったイベントです。ステージイベントや展示計画など外国籍県民、民族団体、NGO、地域住民等多くのボランティアが企画段階から開催・運営まで協働して行っているのが特徴です。

あーすフェスタかながわ実行委員会HP
https://www.earthplaza.jp/earthfesta/

(6)「のしろ日本語教室の盆踊り大会」(能代市)

ボランティアで運営している日本語学習会主催の盆踊り大会で、日本語学習者である外国人が地域の人々との接点を持ち、生きた日本語の習得を通じて将来的な自立に向けて支援することを目的として1997年からスタートしました。現在では参加者が数百人規模のイベントにまで成長し、町の人々や自治体などが積極的に参加するなど、地域に根ざした取り組みとなっています。

のしろ日本語学習会HP
http://njsl016.web.fc2.com/index.html

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