災害

災害時の支援について知る

防災に関する課題

地域防災計画

 各地方自治体では、災害対策基本法の規定に基づき、地域防災計画を作成することとされていますが、外国人住民を、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦と同列に「災害時要援護者」として記述しているにすぎない地方自治体もあります。しかし、外国人住民は言語や文化・慣習の違い、災害経験の少なさなどの点で、ほかの災害時要援護者と異なるハンディキャップを有していることから、外国人特有の災害対策が求められます。

 また、外国人住民が市町村の中の特定の地域に集中している場合に、「地域に任せておけばよい」ということにはなりません。

 地方自治体では、外国人住民が災害時要援護者とは異なる課題を有し、特定の地域だけでは解決できないケースが多く存在することを認識し、外国人住民の災害対策に関してできることやすべきことを地域防災計画において具体化しておくことが望まれます。

 2012年に総務省により行われた地方自治体に対する多文化共生に関するアンケートでは、地域防災計画の中に外国人住民を位置付けている地方自治体は6割以上あり、そのうち7割程度が地方自治体内部の関係部局間で連携をしています。このように外国人住民の位置づけを明記している自治体では、やさしい日本語や多言語による広報、避難場所や避難標識など災害に関する表示の多言語化、防災訓練・教育、通訳ボランティアの確保・派遣等の実施を予定しています。

防災ネットワークの整備

 災害時などの緊急時に、外国人住民を含む地域住民全体の生命、身体、財産を保護するため、国・地方自治体等の災害対策に多文化共生の観点を取り入れ、関係機関による連携体制(防災ネットワーク)を整備しておく必要もあります。

 また、外国人住民も「支援する側」に回ることができるよう、平時における防災教育の実施や通訳ボランティアとして育成する仕組みも必要となってきます。

 2012年のアンケートでは、政令市や県では、その多くが地域国際化協会等やNPO、民間団体などの各主体と連携し、協力を得て、各主体を有効に活用していますが、一般市町村ではそれら各主体の活用が半分程度に留まっています。

 また、東日本大震災のような大規模かつ広域的な災害を念頭に、都道府県域を超える広域連携の必要性が高まっていることを受け、平常時から顔の見える関係を築くことが重要視されています。

観光客等への支援

 外国人被災者への支援では、定住者のみならず、観光客等海外からの短期滞在者に対しても外国人住民に準じた対応が求められます。特に、短期滞在である外国人観光客は地域とのつながりが薄いことから、日ごろから市町村、都道府県、国等がホテル、旅館等の経営者、観光協会、旅行業協会等と、災害が発生した際の支援の体制について連携しておくことが望ましいと考えられます

<引用文献等>
総務省「多文化共生の推進に関する研究会報告書2007」
http://www.soumu.go.jp/kokusai/pdf/sonota_b7.pdf
総務省「多文化共生の推進に関する研究会報告書2012」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/tabunka_kenkyu/

地域における防災取り組み事例

東京都国際交流委員会「災害時の外国人支援Q&Aマニュアル」
http://www.tokyo-icc.jp/information/howto.html

地震などの災害発生時に外国人支援を行っている団体等が外国人からの様々な問い合わせに応えられるよう、想定される質問とそれに対する答えをQ&Aの形式でまとめています。

仙台国際交流協会「災害時言語ボランティア」

災害時に、外国人の被災者がいる避難所を巡回して通訳や翻訳を行うほか、市の災害対策本部が市民向けに発信する災害情報などの通訳・翻訳、また避難所などから入る外国語による問い合わせの電話の応対やサポートなどを行っています。

地域間協力事例

外国人集住都市会議「災害時相互応援協定」
http://www.shujutoshi.jp/2010/pdf/kyouteisyo.pdf

 外国人集住都市会議の会員都市間で締結している協定で、平常時における参加都市間の防災対策に関する調査研究の相互協力、また地震などによる災害が発生した場合、言語支援などが必要な外国人住民に対しての応急対策や復旧対策などの相互支援を行うこととしています。

近畿地域国際化協会連絡協議会「災害時における外国人支援ネットワーク」
http://www.kpic.or.jp/fumin/kyotei.pdf

 2007年に近畿地域の各地域国際化協会(9協会)で締結されたもので、地震等の大規模な災害の際に、ボランティア情報の共有や 災害発生時の通訳者派遣など、地方自治体の区域を超えた広域の応援協力体制を確立するための基本合意となっています。

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やさしい日本語

やさしい日本語とは

 阪神・淡路大震災後、日本語に不慣れな外国人被災者に対して、どのような手法で、できるだけ早く情報伝達を行うか、さまざまな試みが各地で展開されるようになり、「やさしい日本語」はその一つとして注目されるようになりました。「やさしい日本語」とは、それぞれの国の言語で災害情報を伝えるには翻訳に時間がかかることなどから、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすい言葉や言い回しを用いて情報を提供するというものです。弘前大学人文学社会言語研究室では、「新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル増補版」(http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/zouhomanual-top.html)や、『「やさしい日本語」作成のためのガイドライン』(http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/ejgaidorain.html)などを作成して公開しています。

 現在、さまざまな自治体やNPO、ボランティアグループなどで、防災訓練として「やさしい日本語」の講座を開催しています。また、防災以外にも日常における外国人とのコミュニケーションツールとしての活用も検討されています。

<引用文献等>
弘前大学人文学部社会言語学研究室
http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/index.html

「やさしい日本語」を活用した取り組み事例

財団法人京都府国際センター「外国籍府民向け防災ガイドブック」
http://www.kpic.or.jp/njfumin/disasterhandbook.html

外国人が、防災についてよりわかりやすく理解できるよう、9カ国語(英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピン語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語)及びやさしい日本語で解説した防災ガイドブックです。

世界コミュニティラジオ放送連盟(AMARC)日本協議会「ラジオ放送用災害時音声素材集」
http://www.tcc117.org/amarcjp/easy-japanese/

 地震、津波、洪水、地滑りが発生したとき、またはそれに備えるための情報を在住外国人や高齢者、子どもたちにわかりやすく伝えるため、191の音声素材がやさしい日本語で収録されています。ラジオ放送などで活用できます。

とんだばやし国際交流協会「どないしたん?やさしい日本語で外国人と話してみよう」(冊子)
http://www.pref.osaka.jp/kokusai/kotobanokabe/index.html

 やさしい日本語を活用し、日本人住民が言葉の壁を超えて、外国人住民とコミュニケーションをとれるようにするためのツールです。外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」について、会話形式やイラストを交えながら解説しています。

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