外国人と医療

国・地方自治体等の対応状況を知る

医療費の問題

保険に未加入の場合、診療時の費用は全額個人負担となるため、多額の費用を請求され、医療費を支払えないケースがあります。こうした問題に対して、国・地方自治体では以下のような施策を講じています。

(1) 国の制度

厚生労働省は、平成19年に医療機関の未収金問題に関する検討会を設置し、平成20年7月に報告書をとりまとめました。この報告書をもとに、平成21年度には医療機関未収金対策支援事業が創設されました。

厚生労働省「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書」
厚生労働省 HP
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-10.html
(2) 地方自治体の取組み

地方自治体では、外国人患者が止むを得ない事情で医療費が払いきれない場合、その未収の医療費の一部を都道府県が補てんするという緊急医療制度救済制度を設けています。

厚生労働省による平成20年当時の資料によると、外国人未収金対策の取組みを独自におこなっている都道府県は東京都の他6県(茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、神奈川県、長野県)でした。

東京都 外国人未払医療費補てん事務
  • 対象となる医療機関:
    国立及び都立を除く都内の医療機関
  • 対象となる外国人:
    公的医療保険(国民健康保険、社会保険など)や公的医療扶助(行旅病人及行旅死亡人取扱法、生活保護等)の適用を受けない外国人で都内に居住しているまたは勤務している者。
  • 対象となる医療費:
    傷害及び交通事故等の不慮の傷病により緊急に治療を行なったことに伴う医療費(保険診察として認められる範囲内のもの)で、回収努力にもかかわらず未収となっているもの。慢性疾患は、特に緊急性を要した場合に限る。
  • 対象となる期間:
    入院14日以内、外来3日以内
財団法人 東京都福祉保健財団HP
http://www.fukushizaidan.jp/501gaikoku/index.html
神奈川県 救急医療機関外国籍県民対策費補助事業
  • 対象となる医療機関:
    国・県立病院は除く、一次二次及び三次救急医療機関
  • 対象となる外国人:
    行旅法の適用を受けない外国籍県民
  • 対象となる医療費:
神奈川県HP
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/776481.pdf
(3) 民間団体・NPO等の支援
無料・低額診療事業
  • 無料低額診療事業とは、社会福祉法第2条第3項及び法人税法施行規則第6条第4号にもとづき、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う事業です。これにより、経済的な理由により保険加入が困難な外国人も医療サービスを受けることも可能ですが、この制度の適用は、生活が改善するまでの一時的な措置を前提としており、無料診療の場合は、健康保険加入または、生活保護開始までの原則1ヶ月、最大3ヶ月(一部負担の全額減免と一部免除は6ヶ月)を基準に運用されています。

医療支援の取組 〜言葉の壁をなくすために〜

「心肺蘇生法」、「多発性硬化症」、「側頭葉」このような医療専門用語は、わたしたち日本人にとっても馴染みのない言葉です。在住外国人にとっては、なおさら理解しにくいことでしょう。適切な治療を受けるためには、やはり医師との最低限の必要なコミュニケーションが取れることが条件になります。日本語が十分理解できない、または話せない在住外国人にとっては、これは喫緊の課題です。日常的な日本語が出来ても、専門用語の難しさ、痛みや不安による言語力の低下などによって、医師と十分にコミュニケーションが取れなくなることが想像できます。こうした医療現場におけるコミュニケーションを円滑にするためにどのような支援ができるでしょうか。

(1) 外国語での医療情報の提供

自分の母国語が通じる医師に診察してもらえることは、やはり一番の安心です。しかし、外国語ができる医師が全ての病院にいるとは限りません。そこで、どこの病院にどの言語で対応できる医師がいるのかをインターネット上で一覧できるデータベースなどにより情報提供をしている団体があります。

外国語での医療情報の提供
外国語が通じる医師のいる病院情報
(2) 多言語コミュニケーションツール

医師と外国人の患者とのコミュニケーションを円滑にするには、通訳が必要になる場合があります。医療現場において外国人に対して適切な診療を行うために、症状や既往歴の聞き取り、診療中のやり取りの通訳を行う人のことを「医療通訳」といいます。

医療通訳は、その必要性に対する認識が高まるにつれ全国に普及してきています。しかし、医療通訳の認定や養成などの質の確保や、費用をだれが負担すべきかなど、医療通訳については多様な議論があります。

また、医療通訳は、医療用語に精通していることはもとより、場合によっては生命に関わる責任も生じることがあるため、通訳者には、非常に豊富な経験や守秘義務の厳守などが求められます。こうしたことから、地域によっては人材の確保が難しい場合もありますので、医療通訳ボランティア制度を設立している自治体や国際交流協会もあります。また、医療通訳に必要な知識を身に付けるために、「医療通訳ボランティア育成講座」を実施している事例もあります。

以下に、医療通訳の養成等に取り組む事例を紹介します。

特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ) HP
http://mickanagawa.web.fc2.com/

AMDA国際医療情報センター HP
http://amda-imic.com/

外国人のための医療支援システム研究会 HP
http://www.langrid.org/association/medical/index.html

医療通訳研究会(MEDINT)  HP
http://medint.jp/

(一財)自治体国際化協会「専門通訳ボランティア研修プログラム」
http://www.clair.or.jp/j/multiculture/tagengo/program.html

(4) 世界的な感染症流行等に関する情報提供

海外旅行が容易になったいま、世界的な感染症の大流行への対策が喫緊の課題になっています。ここ数年、「SARS」、「鳥インフルエンザ」、「新型インフルエンザ」などが世界中で流行し、日本にも上陸しました。このような大規模な感染症を予防し、かつ効果的に対処するために、外国人も含めた日本に在住している全ての人に正確な情報を速やかに提供する必要があります。200万人以上の外国人が日本に暮らしている現在、日本語のみの情報を提供するだけでは十分とは言えません。日本語が分からない人のために、多言語情報を提供することが求められます。

(一財)自治体国際化協会では、新型インフルエンザに関する多言語情報を提供しています。

<関連情報>
(一財)自治体国際化協会 HP
「新型インフルエンザに関する情報」
http://www.clair.or.jp/j/multiculture/tagengo/flu.html

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