麻田友子さん コラム

外国人散在地域での「多文化共生推進プラン策定」の取り組み

麻田 友子(京丹後市国際交流協会 事務局長)

京丹後市は京都府北部に位置し、人口約56,900人のまちです。外国人市民数は、約550人(米軍関係者約160人を含む)の外国人散在地域です。国籍別に見るとフィリピン籍が112人と一番多く、次いで韓国籍86人、ベトナム籍82人です。在留資格別に見ると、永住者が126人、技能実習(1号・2号)115人となっています。また、外国人の8割が女性です。(H28.11.30時点)

私は、平成24年度に自治体国際化協会が主催する「多文化共生マネージャー養成講座」を受講しました。その当時は、こんな地方の外国人散在地域である京丹後市で、多文化共生推進プランが策定できるとは思っていませんでした。

京丹後市に住む外国人の多くが20代〜40代の女性です。子どもを育て、働き、地域の中で暮らしています。「外国人=弱者」というイメージや「多文化共生=外国人支援」ととらえられがちなため、本市のような外国人市民数が少ないまちでは多文化共生の理念や必要性が理解してもらえるのか不安を感じていました。こんな中、平成24年9月に(公財)京都府国際センターと共催で、田村太郎氏を講師に迎えて、市内で初めて“多文化共生研修会”を開催しました。

これからの地域づくりは“支援”ではなく“共に作る”という考えから、テーマは「多様性を活力に変える〜外国人住民の社会参画〜」として研修会を開催しました。

これまで取り組んだことがない分野でしたが、この取組みで協会関係者や市担当課の理解を得ることができたと思っています。

その後、毎月発行される市広報紙には、市内で活躍する外国人を紹介するコーナーを1年間(12回)掲載し、市民に在住外国人の活躍を紹介しました。この連載をきっかけに、地域公民館で運営している高齢者大学や障害者支援団体などから「外国人を講師に招いて話が聴きたい」、「多文化共生について知りたい」といった声をいただきました。その後、各団体において国際理解に向けた事業を盛んに実施してもらうなど、ますます外国人市民の活躍の場を広げていく足掛かりができました。

平成25年度には、京丹後市国際交流協会の規約に「“多文化共生社会”の実現に向けた取組みの推進」を事業項目として追加し、生活相談会の実施や本市でも増えている外国にルーツを持つ子どもへのサポート研修などの事業を実施し、活動の幅を広げていきました。

また、外国人市民も地域の一員として活躍してもらうなど“誰でも住みやすいまちづくり”を願い、協会の理事が市長に直接お会いして「多文化共生推進プラン策定」の“要望”を行いました。

その結果、平成26年度予算において「京丹後市多文化共生推進プラン」策定のための経費が予算化されました。策定作業に当たって、協会は在住外国人の状況把握(アンケートと聞き取り)や多文化共生に関する国の動きなどを担当し、市と協会の両輪で作業を進めていきました。

策定作業は、在住外国人を取り巻く環境や生活状況の現状ばかりに目がいき、思いばかりが先行してのスタートでした。しかし 「多文化共生推進プラン」を策定して、一体、私たちは何がしたいのか、行政や市民と何を共有し取組みを進めていきたいのかを突き詰めるようになりました。また、プランである以上、言葉の力がとても大切で、多くの人に理解してもらい納得してもらうための“ワード探し”が重要な作業でした。

プラン策定の市担当者と。
中央 市政策統括監兼企画総務部長(木村嘉充氏)と
右側 市企画総務部理事(川口誠彦氏)

平成26年10月に、京丹後市内に米陸軍のレーダー基地が配備され、軍人・軍属約160人が本市内に暮らし始めました。

ちょうど同じ頃に、市民へのアンケート調査を発送していましたので、街中で見かける外国人に対しての意識がどんな回答で返ってくるのか、一抹の不安もありました。

しかし、市民約1,250人からの回答結果では、約6割の人が「外国人が増えることに」に対して肯定的で、約7割の人が「行政が日本語や日本の文化を学べる支援を」、「外国の習慣やしきたりを尊重すべき」との回答でした。米軍関係者に対する不安などの意見については、意外と少なかったことは嬉しい驚きでした。

初めて策定した「多文化共生推進プラン」は平成27年3月に約10か月をかけて完成しました。今後の市内外の外国人状況などの変化に対応するため計画の期間は3年となされました。

平成29年度には、プランの見直しが行われます。プラン策定後、この3年間において、フィリピン出身者が介護福祉士の試験に合格し、フィリピン出身のママさん達が、子ども向けの英会話教室を立ち上げたり、学校のPTAの役員になるなど、外国人市民が地域で活躍している姿が多く見られます。また、米陸軍関係者も地域の祭りやイベントに参加するなど、一緒に地域活動の一端を担っています。これは、単に外国人市民の活躍だけではなく、周りの市民の理解と協力が得られてきているからこそだと思っています。

これからも、多様な背景を持つ人が活躍できる地域づくりを目指して、京丹後市国際交流協会は市行政とともに多文化共生の取組みを進めていきます。

【著者プロフィール】

麻田 友子

兵庫県豊岡市生まれ。

2008年11月から、京丹後市国際交流協会の事務局を担当。

2009年9月 当協会での日本語教室を立ち上げる。

2012年 全国市町村国文化研修所において多文化共生マネージャー養成研修を受講し、(財)自治体国際化協会から多文化共生マネージャーとして認定を受ける。

2014年 「京丹後市多文化共生推進プラン」策定の事務局に携わる。

2014年 文化庁主催の地域日本語教育コーディネーター研修を受講。

2014年 事務局長就任。

2015年 全国市町村国際文化研修所(JIAM)主催の多文化共生マネージャー養成コースの講師として「多文化共生プラン策定プロセス」を担当。

2016年4月 熊本地震で(一財)熊本市国際交流振興事業団の多言語支援センターの運営に参加。

2016年12月〜 京都府外国籍市民共生施策懇談会 委員。