太神みどりさん コラム

留学生のチカラを活かす取り組みについて〜「留学生活躍県・大分」〜

太神(おおが) みどり(大学コンソーシアムおおいた事務局 事務局長代理)

大分県内には、約3,600人、出身国・地域は90か国を超える留学生が在住しており、人口比率では全国1位(平成27年現在)となります。その多くの留学生に対し、効果的な支援と留学生のチカラを魅力的な地域づくりに役立てる施策やプログラムを実施していくために、NPO法人 大学コンソーシアムおおいた(平成16年設立 http://www.ucon-oita.jp/)は活動しており、本記事では“留学生”に関わる取り組みについてご紹介させていただきます。

大分県では、留学生については、支援するばかりではなく、活躍してもらうことも大きなコンセプトとして掲げております。もちろん生活に必要なサポートをすることや、地域で認知し相互理解してもらうための交流プログラムなども多く実施しておりますが、同時に留学生のチカラを活かし活躍してもらい、それが地域の魅力や活力となっていくような取り組みを行っています。

写真:幼稚園を訪問して英語交流

写真:商品モニター会で活躍する留学生

写真:おおいた留学生ビジネスセンター資料

教育分野での活躍としては、国際理解教室や言語教育の講師、コミュニケーションスキルアップの場でのリーダーなど、幼稚園から大人を対象としたものまで、年間延べ200人超の留学生が活動をしています。特に若年層にとっては、こどもの頃から多国籍の人に触れていることにより、異文化理解力やコミュニケーション能力がつき、将来はグローバル人材となりダイバーシティであろう未来に対応していく人材が育つことと期待しています。

観光やビジネス分野では、通訳や翻訳をはじめ、国際取引アシスタント、多国籍モニター・マーケティングなどに活躍の場があります。

自社HPや製品パンフレット、海外からの引合いへの応答から、温泉の入り方や料理の紹介、地図などの翻訳は、大分県内各地で留学生が手掛けたものを目にします。通訳業務についても、企業の視察や取引先来日時の通訳、海外展示会への出張同行、あるいは国際会議・観光客対応・観光用動画の作成なども多国籍の留学生が関わっています。通訳や翻訳を県外の業者に外注するのではなく、大分県の地域や企業を知る人物に依頼できることは、活用者側にとってはとても有難く効果的な成果物を得られるのではないでしょうか。

ビジネス場面での活躍として、とても有効なものにソリューション型インターンシップの取り組みがあります。単に会社を体験してもらうのではなく、留学生ならではのアイデアを得るべく“課題”を出し、実際に使える企画を提案してもらうようなインターンシップです。今までに留学生の提案により、実際に海外むけ商品のブラッシュアップを図れたり、集客に繋がったりした事例が生まれています。留学生にとっても、深くビジネスの中身を研究し実利に結びつく提案をすることになりますので、就職活動の一つとして業界研究にも役立ち、何より自分の力を試し、役に立つ喜びと、何が得意で何が足りないか自己分析できるプログラムと言えます。

また、自社商品のモニターとなってもらったり、母国のマーケットについて調査してもらったり出来ることについて、地方都市にいながらにして世界の複数の国の対応ができることは、大分県内企業のビジネスにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

このような在学中からの活躍場面を重ね、大分での就職を後押ししていますし、また平成28年度から大分県は、留学生の起業のサポートとしてインキュベーション施設も設置しました。(おおいた留学生ビジネスセンター http://oibc.jp/)卒業後の大分での起業や、留学生とコラボした新しいビジネスがたくさん発生する土壌をつくりたいのです。留学生をキーにして、多くのアイデアや独創的な起業が集まれば、新しい産業が発生し、活力と国際力のある地域への好循環ができることを期待しています。

私共の大学コンソーシアムおおいた事務局では、取り組みを促進するために、日々様々なプログラムとマッチングを行っていますが、留学生は地元企業の情報を知らないことが多く、また企業は留学生のチカラの活用について躊躇したり誤解があったりするような事が多々あります。実際に会って話をしてみることで解決することも多いので、企業見学会、経済団体との交流会、在留資格の相談会や就活・起業相談やセミナーなど、とにかく出会いの場と交流の場と学びの場を多く創ることを使命の一つとしています。

留学生のチカラの活用と定住化への促進については、ハード面とソフト面の整備、そしてハブ役・コーディネーター役をする人材が必要です。

また、留学生のチカラを活用する側の意識改革がもっとも必要と言えます。外国籍の人々と一緒に働いたり、ビジネスをすることについて、もっと多くの地元企業や地域の人々がその効用と効果的な人事について、知恵と力をつけるような取り組みも考えていきたいと思います。

留学生が住みやすく、そして活躍しやすい環境を整えていくことは、ひいてはもともとの住民も日本人社員も住みやすく働きやすい社会になるといえるでしょう。最近では、留学生のサポートをしているという事は、地域づくりをしていることになる、と深く感じています。

【著者プロフィール】

都市銀行勤務やJETROでの派遣勤務を経て、2004年10月、特定非営利活動法人 大学コンソーシアムおおいた設立時から事務局入り。2009年1月から現職。大分県の留学生に対する生活支援、地域交流支援、就職支援等々、各種事業を運営・推進している。留学生の起業も支援しはじめるため、JBIA認定インキュベーションマネジャーに成りたて。