外国人と介護をめぐる課題

外国人看護師・介護士候補生の受入

介護・看護の担い手としての外国人

2008年8月、日本−インドネシア間の経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士候補生の第一陣を受け入れました。また、翌2009年には、日・フィリピンEPAに基づく受入れ、2014年には日・ベトナムEPAに基づく受け入れもはじまりました。

この制度は、日本の少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少など、労働問題の一環としてや、EPAや自由貿易協定(FTA)など経済問題の関連で取り上げられることが多いですが、規定の期間内に国家試験に合格し日本の資格を取得すれば、介護・看護に従事しながら、事実上永住することも可能となっており、今後、こうした医療・福祉などの現場で外国人と接することがより身近になっていくことが考えられます。

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制度の概要と現状

平成29年9月現在、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国から看護師候補者として約1,200人また介護福祉士候補者として約3,500人を受け入れ、平成28年度現在でそれぞれ約260人、約500人が資格を取得しています。

<引用文献等>
山本克也(2009)『我が国における外国人看護師・介護士の現状と課題』、季刊社会保障研究 vol44 pp.258-268
厚生労働省HP

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受入上の課題など

2008年から受入れが始まって以来、すでに4,700名以上の候補生が3か国から来日しており、すでに彼らは、日本各地で研修や就労にあたっています。
この制度に関しては、日本人の看護師・介護福祉士の労働市場に与える影響(日本の看護・介護労働市場に悪影響を及ぼさないように日本人並の待遇とされている)や、受入先の採算性などについての課題が取り上げられることがありますが、それ以外にも、外国人が看護・介護現場に従事する上で特有の課題も存在しています。

前述のとおり、候補生は、来日後日本の病院等で研修を受けながら3年以内(最高で3回受験できる)に国家試験に合格し、日本の資格を取ることを目指します。しかしながら、3年以内に日本の国家資格を取得できなければ帰国することになります。

2008年度の国家試験は、看護師資格取得のための最初の機会となり注目を集めましたが、82人の受験者全員が不合格となり、翌2009年度の試験でも、インドネシア人2名、フィリピン人2名のみの合格と、日本人の9割が合格するのに対し、EPAで受け入れているインドネシア人とフィリピン人の合格率はわずか1%と非常に少ない状況にあります。こうした現状を受け、政府は、2010年度の試験結果の発表に先立ち、2011年3月11日、看護師、介護福祉士の候補者について、滞在期間を1年間延長させることを正式に閣議決定しました。これにより、2008年に来日した第1陣は、3月25日の国家試験の結果発表で不合格なら帰国を迫られることになっていましたが、本人の意欲や今年度の試験の成績など、一定の条件を踏まえて限定ではあるものの、滞在の延長を認められることになりました。

<引用文献等>
平成23年3月11日閣議決定 『経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人及びフィリピン人看護師・介護福祉士候補者の滞在期間の延長について』

こうした現状の背景には、“言葉の壁”の存在が大きな問題としてあります。日本語、特に漢字の読み書きに苦労している場合が多く、とくに医療や介護に関する難解な専門用語についてはなおさら理解するのは難しくなります。

また、受入現場としても、日本語と看護の知識を同時に教えなくてはならず、負担が大きくなっているという声も聞かれます。
さらに、インドネシア人候補生の例でいうと、宗教上の理由から1日5回の礼拝時間と場所を提供する必要があるという点や、食材・食事の差別化(ハラル食品など)の必要性などを理由に、受入施設の選定時に、一部の施設側の過敏な反応を招いたといいます。

今後、彼らが現場で活躍を始めるにあたっては、看護・介護サービスの受け手とのコミュケーションの問題など、克服するべき課題はまだまだ多くあると思われます。
EPAの枠組みで検討が進められるなかでは、どうしても労働問題や経済的な観点からの議論が先行し、多文化共生の観点での議論は取り残されてしまうことが懸念されます。

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介護に関する新たな在留資格の創設

平成28年11月、「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が成立し、公布されました。この法律では介護の分野において、一定の専門性・技術性が認められる外国人を受け入れ、専門的・技術的分野における外国人の受け入れを促進するとともに、日本で高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した外国人留学生が、卒業後も日本で活躍できるようにするため、新たに「介護」の在留資格が創設されました。

また、平成29年11月「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行にあわせて、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。

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