在住外国人の高齢化の現状を知る

在日コリアンの高齢化

歴史的背景

在住外国人の中でも、最も高齢化が進んでいるのは在日コリアンです。外国人登録者数約238万人のうち、約48万人以上が韓国・朝鮮籍で、そのうち約12万人が65歳以上の高齢者です。また在留資格でみても韓国・朝鮮籍が多くを占める特別永住者のうちほぼ3割の約11万人が高齢者です。したがって、現在の日本における外国人の高齢化を考えた際に、その中心となるのは、在日コリアンといえます。

日本に居住している在日コリアンの大半は、1910年の「日韓併合条約」による、日本の植民地支配が原因で日本に生活の拠点を築くに至った人々と、その子孫として日本に生まれ育った人々です。そして、まさに当時の歴史過程において日本へやってきた在日コリアン一世はもとより、いまでは、日本生まれの二世も高齢期を迎えています。

在日コリアンの高齢者は、仮に母国で安心して老後を送りたい、母国語の通じる施設で介護を受けたいと考えたとしても帰るあてがない場合がほとんどです。また、とくに一世の世代は、日本で生まれていないために複数の文化的な背景を持ちあわせていることにも留意が必要です。このように、在日コリアンの高齢化という問題を考えるときには、彼らが現在に至るまでの歴史的な背景を理解することが必要です。

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在日コリアンの年金「無年金問題」

在日コリアンの高齢化に伴う課題は、多くの場合「無年金問題」と関連付けて取り上げられることがあります。この問題は、在日コリアンの「障害者無年金訴訟」と「高齢者無年金訴訟」として法廷で争われ、前者は2007年、後者は2009年にそれぞれ最高裁判所で敗訴が確定しています。

高齢者年金訴訟は、外国籍を理由に老齢年金を受給できないのは不当な差別で憲法や国際人権規約に反するとして、京都府内の在日コリアン5人が国に計7500万円の賠償を求めた訴訟で、原告側は、制度の不備で在日コリアン高齢者が無年金状態で放置されてきたと主張しましたが、1、2審は「立法府の裁量権の範囲内で、憲法や国際人権規約に反するとは言えない」と退け、最高裁は、原告側の上告を棄却しました。

無年金問題は、当時、国民年金保険には、1982年の難民譲約批准まで国籍条項があったため、在日コリアンの加入はできなかったことに起因しています。さらに、難民譲約批准後、国籍条項は撤廃されても、その時点で35歳を超えていた者は25年の年金加入資格期間を満たすことができず、また、その後の1986年の年金制度改革により「カラ期間」の制度が設けられたものの、それでも特に在日コリアンの後期高齢者など、その時点で60歳を超える者にはこの「カラ期間」も認められなかったことから、年金制度から完全に排除され、無年金状態になってしまう事例が存在しています。(※2017年8月より年金資格期間が25年から10年に短縮されました)

また、厚生年金や共済組合については、在住外国人も加入することはできたのですが、在日コリアンのほとんどは、社会保険の適用を受けない自営業や零細企業に勤めざるを得なかったことや、当時は、定住・永住を前提としていなかったことなどの理由により支払いを行わなかったなど、制度として実質的な制約があったとも考えられます。こうしたことから、在日コリアン高齢者の多くは、現在でも公的年金を主な収入源とする日本人の高齢者とは異なり、経済基盤がより不安定な高齢期を過ごしています。

<引用文献等>
川村千鶴子、近藤敦、中本博皓 編著 (2009)、『移民政策へのアプローチ』明石書店

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