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vol.377「みんなに届く医療のデジタル化 ―シンガポールの取り組み―」

※名刺交換をさせていただいた方にも配信しております※
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□■□  CLAIRメールマガジン vol.377(2025年11月14日)
□■□ 「みんなに届く医療のデジタル化 ―シンガポールの取り組み―」
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■目次
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【INFO】(交流親善課)第20回自治体国際交流表彰(総務大臣賞 2026年)候補団体の募集

【INFO】(ロンドン事務所)オンラインセミナー「ドイツにおける移民背景を持つ大人と子どもへのことばの教育」開催のお知らせ

≪海外事務所コラム≫

【シンガポール事務所】みんなに届く医療のデジタル化 ―シンガポールの取り組み―

【ソウル事務所】日韓交流おまつり2025 in Seoul~両手を携え、よりよい未来へ~

【シドニー事務所】宇宙への挑戦!豪州宇宙産業の動向

【北京事務所】上海市における空港間アクセスの向上

【ニューヨーク事務所】 JETプログラムの参加者の帰国について

【ロンドン事務所】歩ける都市・にぎわうまちへ:オックスフォード・ストリートの歩行者天国化計画

【パリ事務所】EUの電気自動車の未来は?

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■CLAIRからのお知らせ
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【INFO】(交流親善課)第20回自治体国際交流表彰(総務大臣賞 2026年)候補団体の 募集
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総務省国際室および当協会では、自治体国際交流表彰を実施し、日本の自治体と海外の自治体の姉妹交流をはじめとした交流活動のうち、創意と工夫に富んだ取組を行っている団体を表彰しています。

第20回自治体国際交流表彰を、11月28日(金)まで募集しておりますので、積極的に御応募いただきますようお願い申し上げます。

■申請期限
令和7年11月28日(金)

■提出方法
メールにて担当(shimai@clair.or.jp)までご提出ください。

応募方法等の詳細は、当協会HPをご確認ください。
< https://www.clair.or.jp/j/exchange/shien/hyoushou.html >

(お問い合わせ先)
交流親善課 宮原、林
TEL:03-5213-1723
E-mail: shimai@clair.or.jp

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【INFO】(ロンドン事務所)オンラインセミナー「ドイツにおける移民背景を持つ大人と子どもへのことばの教育」開催のお知らせ
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当事務所では、幅広い分野で活躍されている方々を講師に招き、欧州における「状況」「ニーズ」「考え方」などの情報をお届けしております。 
 
今回は、ドイツのテュービンゲン大学で専任講師としてご活躍されている三輪聖氏をお迎えし、ドイツの移民背景を持つ大人と子ども、それぞれに対することばの教育をテーマにご講演いただきます。 

ドイツでは、移民背景を持つ人の人口が全人口の約30%を占めています。多くの移民とともに過ごす共生社会の実現に向けてどのような取り組みが行われているのでしょうか。

本講演では、ドイツの移民政策の一つである「統合コース」の仕組みを概観し、社会全体において何が必要とされているのかを考えます。また、移民背景を持つ子どもたちに対する第二言語としてのドイツ語や出自言語の教育についても取り上げます。政治的・文化的・社会的な問題を超えて平和な人間関係を構築し、誰も排除しない、より良い社会を形成することを目指した共生の実現を一緒に考えましょう。

この機会をお見逃しなく!皆様のご参加をお待ちしております。 

日 時:2025年12月5日(金)午後6時から午後7時(日本時間)(午前9時から午前10時(英国時間)) 
配 信:ZOOM
講 師:テュービンゲン大学専任講師 三輪聖氏
申込方法:以下の登録フォームよりお申込ください。

< https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_470Z66JPQG-7Pe2CrFgH6A >
 
(<お問い合わせ先)>
(一財)自治体国際化協会ロンドン事務所 鈴木
E-Mail:mailbox@jlgc.org.uk 

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■海外事務所コラム
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【シンガポール事務所】みんなに届く医療のデジタル化 ―シンガポールの取り組み―
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シンガポール政府は、医療費の増大と高齢化の進行に対応するため、2023年から国家プロジェクト「Healthier SG」を始動しています。このプロジェクトは、従来の「治療中心の医療」から「予防中心の医療」へと転換することを目的としており、住民がかかりつけ医を登録し、医師が生活習慣や既往症に応じた個別の健康計画を策定する仕組みです。登録者は特典として、無料の健康相談や予防接種、補助対象の健康診断などを受けることができます。

この取り組みの一環として、政府は、医療のデジタル化を積極的に推進しています。Healthier SGへは、「Health Hub」(ウェブポータル兼アプリ)を通じて登録が可能であり、受診予約や検診結果、ワクチン接種履歴などを一元的に管理し、住民が日常的に自身の健康情報を確認できるようにしています。

また、健康促進庁(HPB)が住民の健康行動を促すために運営する「Healthy 365」(アプリ)では、食生活や歩数、運動データを記録し、健康行動に応じてポイントを獲得できます。このポイントは特典と交換可能です。

一方で、こうした医療のデジタル化を進めるにあたって、高齢者が取り残されないように支援する取り組みも行われています。情報通信メディア開発庁(IMDA)が実施する「Seniors Go Digital」は、高齢者がスマートフォンやオンラインサービスを安心して利用できるよう支援する全国的なプログラムです。コミュニティセンターや図書館などに政府公認のデジタル・アンバサダーが配置され、メールなどの日常的な使い方だけでなく、政府提供サービスの操作を含む相談や指導を行っています。これにより高齢者は、自ら健康記録を確認したり、オンラインで予約や情報検索を行ったりすることが可能になっています。

このように、Healthier SGの推進と Seniors Go Digitalの支援は連動しており、シンガポールでは医療のデジタル化をすべての世代が活用できる体制が整えられています。

(シンガポール事務所 所長補佐 長田)

【参考文献】
< https://www.moh.gov.sg/ >
< https://www.healthhub.sg/ >
< https://www.hpb.gov.sg/ >
< https://www.imda.gov.sg/ >

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【ソウル事務所】日韓交流おまつり2025 in Seoul~両手を携え、よりよい未来へ~
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2025年10月12日、ソウルの江南にあるCOEXで「日韓交流おまつり2025 in Seoul」が開催されました。日韓交流おまつりは、2005年、日韓国交正常化40周年「日韓友情年」を機に始まった日韓最大の草の根交流イベントです。そんな、両国の友好を深めることを目的に続いてきたこのおまつりは、今年で20周年を迎えました。さらに、今年は日韓国交正常化60周年という節目の年でもあり、例年以上に盛大に開催されました。

会場には、日本と韓国の文化や遊びを体験できるブース、自治体や企業による紹介や製品販売のブース、寿司やお菓子などの料理をふるまうブースが並びました。中央ステージでは、伝統楽器を使った演舞や阿波おどり、日韓のコスプレイヤーによるパフォーマンス、さらにはJ-popやK-popの公演も行われ、会場全体が大いに盛り上がりました。

クレアソウル事務所は自治体ブースに出展し、自治体から提供いただいたパンフレットの配布やカプセルトイ抽選会、他の自治体ブースを回って答えを探すクイズラリーを実施しました。なかでもクイズラリーは、参加者が一緒に考えたり、ブースのスタッフにヒントを求めたりするなど、交流を楽しみながら地域の魅力を知ってもらえる企画となりました。

多くの来場者にご参加いただき、各自治体の魅力を知ってもらうとともに、日韓の交流を深め、日韓交流の意義を改めて感じる機会となりました。
おまつりの様子は、開催事務局のホームページやSNSでも紹介されています。下記参考文献のURLからぜひご覧ください。

(ソウル事務所 所長補佐 阿部)

【参考文献】
日韓交流おまつりホームページ < https://omatsuri.kr/?lang=jp >
YouTube < https://www.youtube.com/@kj_omatsuri/videos >
インスタグラム < https://www.instagram.com/kj_omatsuri/ >
フェイスブック < https://www.facebook.com/kjfestivalseoul >

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【シドニー事務所】宇宙への挑戦!豪州宇宙産業の動向
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オーストラリアと聞いて「宇宙産業」をイメージする方は多くないかもしれません。確かに、オーストラリアは、2018年まで独自の宇宙機関を持たない数少ない経済協力開発機構(OECD)加盟国の一つでした。しかし、2018年に「オーストラリア宇宙庁(ASA)」を設立後、宇宙産業の振興に取り組んでおり、近年宇宙産業の動きが活発化してきています。

2024年5月、オーストラリア国籍の初の宇宙飛行士が誕生しました。また、2025年7月には、国産初の軌道ロケットの打ち上げが行われました。この打ち上げは約14秒間の飛行後に地面に墜落するという結果に終わったものの、多くのシステムが正常に機能し、大きな技術的前進であると評価されています。

さらに、2025年9月29日から10月3日の期間、世界最大級の宇宙関連国際会議である「第76回国際宇宙会議(IAC)」がシドニーで開催され、約90カ国から7,000人以上の研究者や宇宙機関関係者などが参加しました。この会議が、オーストラリアの宇宙産業のさらなる発展の契機となることが期待されています。

日本では、内閣府が策定した「宇宙産業2030」で「我が国の宇宙産業が規模を拡大していくには、新興国を中心に拡大する海外市場の成長を取り込んでいくことが不可欠」と述べられています。2025年5月には、オーストラリアの宇宙関連企業とASAの代表団が、日本の宇宙関連機関および企業とのビジネスマッチングや視察を目的に来日するなど日本との連携強化も始まっており、今後の成長が見込まれるオーストラリア宇宙産業への日本企業の参入も考えられます。これからのオーストラリアの宇宙産業の動向に注目です。

(シドニー事務所 所長補佐 桑野)

【参考文献】
< https://hansardsearch.parliament.sa.gov.au/daily/lh/2018-08-01/51?utm_source=com >
< https://www.sydney.edu.au/news-opinion/news/2024/05/10/alumna-katherine-bennell-pegg-makes-history-as-australias-first-.html >
< https://www.space.gov.au/news-and-media/first-launch-attempt-of-aussie-made-rocket?utm_source=com >
< https://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html >
< https://www.sankei.com/pressrelease/prtimes/KHMGU2CE55JJ5HMFQFDXUA2MAY/ >

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【北京事務所】上海市内二つの空港間のアクセスが向上
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日中間の往来については、2024年11月に中国入国時の短期滞在ビザが免除されたこともあり、日本の地方自治体による訪中数は増加しているものと認識しています。また、中国国内での行程について、上海を経由して飛行機や高速鉄道で地方都市を訪問するケースもあるところ、クレア北京事務所でも上海経由の行程について相談を受けることが増えています。

このような傾向に関し、今月のメールマガジンでは、2024年12月に新たに上海市内に開業した「市域機場線」について紹介したいと思います。

上海市内には、市中心部の東側にある「上海浦東空港」と、西側にある「上海虹橋空港」という2つの空港があります。市域機場線(「機場」は中国語で「空港」の意味)は、上海浦東空港から上海虹橋空港第2ターミナルを結ぶ路線で、この開業により2空港間のアクセス性は格段に向上しました。

市域機場線は、15分に1本の間隔で運行しています。これまでは、両空港間の移動には地下鉄で1時間半程度かかりましたが、市域機場線では約40分に短縮されました。乗車には、券売機での切符の購入のほか、クレジットカードによるタッチ決済やモバイル決済が可能です。

上海虹橋空港第2ターミナル駅は、高速鉄道の上海虹橋駅にも隣接しており、江蘇省や、浙江省の省都・南京市、杭州市まで最短1時間程度でアクセス可能です。また、江蘇省から内陸寄りにある安徽省の省都・合肥市にも最短2時間程度で移動できます。なお、高速鉄道の乗車には安全検査や改札口での本人確認があるため、発車時刻の40分~1時間前に駅に到着するのが一般的であり、行程を組む際には注意が必要です。

2027年7月には、上海浦東空港の近くに高速鉄道の上海東駅が開業する予定であり、市域機場線の上海東駅への接続も計画されています。上海から中国各地へのアクセス性が向上することから、日本と中国各地との時間的な距離もますます近づくものと期待されています。

(北京事務所 調査役 八木橋)

【参考文献】
< https://www.shanghai.gov.cn/nw17239/20241022/8cdd7e1c8d1543e3b17cf204be62dc58.html >
< https://www.shanghai.gov.cn/nw4411/20241226/b9c60b9318d4407f853ad524d974bad6.html >
< https://www.shanghai.gov.cn/nw4411/20250319/27822891077b41c48ec76ec485db79c4.html >
< https://ghzyj.sh.gov.cn/pd/20250616/5ca09722917146bfa058ed77748faae9.html >

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【ニューヨーク事務所】JETプログラム(語学指導等を行う外国青年誘致事業)の参加者の帰国について
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クレアニューヨーク事務所では、在ニューヨーク日本国総領事館と共催で、2025年夏に日本でのJETプログラムを終了し、米国に帰国された方を対象にキャリアフォーラム及び帰国者レセプションを開催しました。

本イベントでは、帰国後のキャリア形成を支援するために、米国の人材紹介会社や現地企業の担当者を招き、就職活動における具体的なアドバイスや最新の雇用動向について紹介が行われました。さらに、過去のJET参加者によるパネルディスカッションも行われ、実際の就職活動体験や日本での勤務経験がどのようにキャリアに活かされたかが語られ、参加者にとって大変有益な情報交換の場となりました。

また、JETプログラム帰国者へのインタビューを実施したところ、多くの方が「日本での経験は非常に貴重であり、異文化理解やリーダーシップ、柔軟な対応力など、さまざまなスキルを身につけることができた」と述べていました。中には「日本で培った経験が自分の強みとして、今後のキャリア選択に大きな自信を与えている」と語る方もおり、JETプログラムが単なる語学や教育交流にとどまらず、個々人の成長と国際的な視野の拡大に大きく寄与していることが改めて確認できました。

キャリアフォーラム終了後のレセプションでは、参加者同士が再会を喜び合い、今後のネットワークづくりにもつながる交流が活発に行われました。今回のJETプログラムへの参加を通じて、帰国者がそれぞれの地域や職場において、日米の架け橋として活躍していくことが期待されます。

(ニューヨーク事務所 所長補佐 坂倉 )

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【ロンドン事務所】歩ける都市・にぎわうまちへ:オックスフォード・ストリートの歩行者天国化計画
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ロンドン中心部のオックスフォード・ストリートでは、大規模な歩行者天国化が計画されており、2025年9月21日には、一日限定で車両の交通を遮断し、市民に将来の姿を体験してもらうイベント「This is Oxford Street」が開催されました。当日は、Orchard StreetからOxford Circusまでの区間が正午から午後8時まで車両通行止めとなり、音楽ライブや飲食・ファッションのポップアップ、歴史展示など多彩な催しが展開されました。

オックスフォード・ストリートの歩行者天国化計画は、今回のイベント区間(約1.1キロメートル)の恒久的歩行者天国化を軸とし、さらに東方面へ拡張する可能性も検討されています。

この計画の背景には、パンデミックの影響やオンラインショッピングの台頭による実店舗の売上低迷に対する危機感や、まちの再活性化に向けた期待があり、グレーター・ロンドン・オーソリティ市長は、「世界クラスのアクセスしやすい歩行者専用道路を整備することで、国際的な訪問者を引き付け、新たな投資や雇用促進の呼び水とし、長きにわたる成長と経済的繁栄を推進していく」と述べています。

今回のイベントでは、歩行者数が前週比で45%増、駅利用者も25%増を記録し、参加店舗の67%が売上増を報告する一方で、一部の政治家やタクシー業界などからは、短期的な美観の向上と引き換えに、長期的な都市機能が損なわれるおそれがあるとの懸念も聞かれます。

この取り組みは、単なる交通規制ではなく、都市空間の価値を再設計し、まちに賑わいを呼び戻す挑戦と言えます。東京高速道路(KK線)の歩行者専用空間化など、日本の地方自治体でも類似の取り組みが聞かれる今、この計画がどのように展開されるのか目が離せません。

(ロンドン事務所 所長補佐 橋本)

【参考文献】
< https://www.bbc.co.uk/news/articles/czxwen9z5l0o >
< https://www.bbc.co.uk/news/articles/c9dxxn43zg5o >
< https://www.london.gov.uk/programmes-strategies/shaping-local-spaces/high-streets/oxford-street-transformation >

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【パリ事務所】 EUの電気自動車の未来は?
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欧州連合(EU)は、2035年までにエンジン車(ICE)の新車販売を実質的に禁止する方針を掲げており、この政策は世界の自動車市場におけるEV化の流れに大きな影響を及ぼしています。これを受けて、大手自動車メーカー各社は、この潮流を見据え、フルEVへの完全シフトに向けた大規模な投資を急ピッチで進めてきました。

しかし近年、このような急速な政策推進に対しては、否定的な意見も目立つようになっています。たとえ例えば、欧州会計検査院は、新車ゼロエミッション化計画の実現性に疑念を表明しました。また、欧州自動車工業会(ACEA)などの業界団体も、充電インフラの地域間格差やEV自体の価格高騰など、さまざまな課題を理由に、現行の完全電動化目標は達成困難であるとの見解を公にしています。

こうした状況を受け、欧州委員会は、業界の要望を踏まえ、政策目標の見直しに向けた議論を進めていると報じられています。すなわち、理想と現実との間に生じたギャップを埋めるための調整が、いままさに求められているのです。

筆者自身も、フランスでレンタカーを借りた際にEVインフラの課題を実感することがありました。当初、レンタカー会社からはEVの利用を提案されましたが、目的地を伝えると、逆にエンジン車を勧められたのです。その理由は「充電スポットが十分に整備されていないため」とのことであり、これはまさに業界団体が指摘する問題の一端を裏付けるものでした。

このように、欧州のEVシフトは野心的な政策目標であるがゆえに、現実がその理想に追いついていないのが現状です。したがって、その実現に向けては、まず充電設備の抜本的な整備を進めるとともに、価格と利便性の両面から消費者がEVを選びやすい環境を整えることが不可欠です。最終的には、消費者がEVに対して安心感を持てるような社会的基盤を築くことこそが、今後のEV普及の鍵となるでしょう。

(パリ事務所 所長補佐 吉田)

【参考文献】
< https://www.acea.auto/files/Joint-ACEA-CLEPA-letter-to-President-von-der-Leyen.pdf >
< https://www.lemonde.fr/economie/article/2025/09/12/fin-des-ventes-de-voitures-thermiques-en-2035-l-union-europeenne-plus-flexible_6640672_3234.html?search-type=classic&ise_click_rank=8 >
< https://www.lesechos.fr/industrie-services/automobile/petites-voitures-utilitaires-bruxelles-lache-du-lest-aux-constructeurs-francais-sur-la-contrainte-co2-2196651 >


【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
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