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vol.379「日常の「ひと手間」を減らす工夫 ― オーストラリアに学ぶ利用者目線のデザイン」

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□■□  CLAIRメールマガジン vol.379(2025年12月12日)
□■□ 「日常の「ひと手間」を減らす工夫 ― オーストラリアに学ぶ利用者
□■□ 目線のデザイン」  
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■目次
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【INFO】(多文化共生課)担い手連携促進研修会「- 関心の輪を広げよう - 言葉や文化をこえてつながる社会へ」を開催!

【INFO】(グローバルコネクト福岡)【参加者募集中!】海外展開セミナー第6回入門講座「はじめての越境ECセミナー(東南アジア・台湾編)~Start Small, Dream Big ! 小さく、早く、簡単に!小さな挑戦から大きな飛躍を!~」

≪海外事務所コラム≫
【シドニー事務所】日常の「ひと手間」を減らす工夫 ― オーストラリアに学ぶ利用者目線のデザイン

【ソウル事務所】トラベルショー2025にてブースを出展!

【北京事務所】中国の休日カレンダーについて

【ニューヨーク事務所】地域が支えるニューヨークのハロウィン

【ロンドン事務所】英国地方自治体における都市計画人材の育成制度 

【パリ事務所】パリ老舗百貨店BHVに中国発低価格大手SHEIN出店─揺れるファッションの都

【シンガポール事務所】優秀な人材の早期確保を目指すシンガポール~政府奨学金フェアについて~

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■CLAIRからのお知らせ
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【INFO】(多文化共生課)担い手連携促進研修会「- 関心の輪を広げよう - 言葉や文化をこえてつながる社会へ」を開催!
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外国人と共に暮らす地域づくりの推進には、住民をはじめ、様々な方々の理解と参加が欠かせませんが、関心を持っていただくためには伝え方やアプローチの工夫が必要です。

本セミナーでは、佐賀県での取組事例を紹介しながら、より多くの人に関心を持ってもらうための効果的な働きかけや、参加を促すための工夫について、パネルディスカッションやグループワークを通じて一緒に考えます。
皆様のご参加をお待ちしております。

■日 時:令和8年1月13日(火)13時30分~17時00分
■場 所:佐賀県庁 新館11階 大会議室(〒840-8570 佐賀県佐賀市城内1丁目1-59)
■定 員:40名(申込多数の場合は抽選等により決定)
■対象者:自治体職員、地域国際化協会・市町村国際交流協会職員、多文化共生マネージャー、多文化共生の推進に関わるNPO等の民間団体の職員
■参加費:無料
■詳細・お申込みは下記のURLをご覧ください。(申込締切:12/16(火))
< https://forms.gle/6MttPBAJ9axt31U99 >

(お問い合わせ先)
(一財)自治体国際化協会多文化共生課(担当:片山)
Tel:03-5213-1725
E-mail:tabunka@clair.or.jp

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【INFO】(グローバルコネクト福岡)【参加者募集中】海外展開セミナー第6回入門講座「はじめての越境ECセミナー(東南アジア・台湾編)~Start Small, Dream Big ! 小さく、早く、簡単に!小さな挑戦から大きな飛躍を!~」
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越境ECの市場的には、中国、欧米等が大きいですが、各国の販売規制、関税等の法令で中小企業の新規参入は大変厳しい状況です。それに対し、東南アジア・台湾は、「人口ボーナス期」「モバイル先進市場」「国際志向の若年層」が揃った成長市場で、世界的にも越境ECの伸びが著しいエリアです。本セミナーでは、東南アジア・台湾最大級のECモール「Shopee」をメインに説明させていただきます。

【開催概要】
■日  時:2026年1月16日(金) 14:00~15:30
■開催方法:Zoomによるオンライン配信
■定  員:200名(開催日当日直前まで募集中)
■参加料金:無料(参加申込が必要です)
■主  催:グローバルコネクト福岡(福岡県商工部スタートアップ推進課海外展開支援係)
※参加申込の受付は先着順で行います。
※定員に達した場合は、期日よりも前に申込を締め切る場合があります。
■講  師:
  (株)マルコネクト 代表取締役CEO 新倉 明 氏

【参加申込方法】
当セミナーに参加をご希望の方は、グローバルコネクト福岡のホームページにてお申し込みください。定員あり・先着順ですので、お申し込みはお早目に!

※参加申込URL↓↓↓
< https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN__VCi03dhSU2lExslIChd6w >

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■海外事務所コラム
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【シドニー事務所】日常の「ひと手間」を減らす工夫 ― オーストラリアに学ぶ利用者目線のデザイン
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日常生活の中の何気ないところで、小さな計算や手間をかけていることはありませんか?駅で「あと何分で電車が来るか」を確認したり、スーパーで「どちらの商品がお得か」を考えたりといった、日本では当たり前に行っていたひと手間も、オーストラリアでは驚くほどシンプルに解決されています。

例えば、シドニーの鉄道や地下鉄では、駅の電光掲示板に「あと◯分で到着」と表示されるほか、各車両ごとの混雑状況までリアルタイムで確認できます。
日本では「◯時◯分」と到着時刻が表示され、利用者が現在時刻と照らし合わせてあと何分で電車が来るかを計算する必要がある場合が多いのではないでしょうか。

また、スーパーでは「◯%オフ」ではなく「$◯オフ」という表記が主流です。割引率ではなく、実際にいくら安くなるのかが一目で分かるため、お得さを直感的に理解できます。さらに、商品ラベルには100gあたりや1Lあたりの単価が明示されており、どの商品がより安いのかもすぐに判断できます。

こうした利用者の手間を減らす工夫は、行政サービスにも見られます。
ニューサウスウェールズ州の運転免許証の手続きでは、申請窓口のその場で視力検査と免許証の写真撮影が完了します。1つの窓口で一連の手続きをワンストップで進められる効率の良さは、日本の「書類はこちら」「写真はあちら」「視力検査は別室」といった分業型の方式とは対照的です。

もちろん、どちらが正解というわけではありません。
しかし、オーストラリアのこうした利用者の利便性を考えた仕組みづくりは、日本の行政や地域づくりにとっても示唆に富むものです。日常生活に潜むちょっとした手間を取り除くこと、それが、暮らしやすさの向上につながるのかもしれません。  
   
(シドニー事務所 所長補佐 田淵)

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【ソウル事務所】トラベルショー2025にてブースを出展!
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11月7日から9日まで、ソウル特別市で国内最大規模の旅行博覧会「トラベルショー2025」が開催され、国内外から150を超えるブースが出展しました。会場は、多くの旅行関係者や一般来場者でにぎわい、各ブースでは観光情報や特産品の紹介などが活発に行われました。

ソウル事務所もブースを出展し、各自治体のPRをするとともに、ソウル事務所のインスタグラム「トランドラン」をフォローした方を対象とした、けん玉チャレンジやガラポン抽選会を実施し、職員の派遣元のお酒やお菓子などを景品として贈呈しました。

また、ブースでは、韓国と日本各地を結ぶ直行便を示した日本地図のボードの展示やチラシを配布し、多くの来場者が韓国と日本の地方を結ぶ直行便の多さに驚いていました。来場者からは、訪日予定の地方に関するグルメ情報やおすすめの訪問先などについての質問も数多く寄せられ、韓国における日本旅行の関心の高さを肌で実感しました。

ソウル事務所では、訪日旅行への関心や意欲の高まりを契機として、今後もインスタグラム「トランドラン)」や韓国人インフルエンサーを活用した、SNSプロモーション事業を通じた日本の地方の魅力発信に努めてまいります。

(ソウル事務所 所長補佐 小藏崎)

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【北京事務所】中国の休日カレンダーについて
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中国の祝日制度では、日本とは異なり、毎年秋から冬頃に、政府が翌年の祝日スケジュールを発表します。中でも人々が最も気にかけるのは、春節や国慶節に代表される大型連休の日程です。

大型連休を設ける仕組みが始まったのは1999年。法定祝日と勤務日の振り替えを組み合わせることで、翌年の2000年には、2月の春節、5月の労働節、そして10月の国慶節の時期に7連休の「黄金周(ゴールデンウイーク)」が設定されました。その後さまざまな調整を経て、ここ数年は、労働節は5日、春節と国慶節の時期には7日以上の連休が設けられています。

このように、国が法定休暇のスケジュールを調整し、長くまとまった休暇を提供することで、国民に対し帰省や旅行を促すことができます。実際、今年10月の国慶節連休では、地域を跨いだ移動者数はのべ約24億人を超え、国内旅行に出かけた人も7億人を超えたという発表がありました。大型連休は、社会と経済を動かす、ひとつの国家的な「仕組み」となっているのです。

11月に公表された2026年の春節は、2月15日から23日にかけて9日間の連休が設定されています。春節の帰省ラッシュでは、数億人が故郷を目指す大移動が再び繰り広げられるに違いありません。

(北京事務所 所長補佐 廣瀬)

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【ニューヨーク事務所】地域が支えるニューヨークのハロウィン
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ニューヨークでは年間を通じて多彩なパレードが開催されますが、その中でも印象的なものが、ハロウィン当日に行われる「Village Halloween Parade」です。夜の街を仮装した人々が練り歩き、個性豊かなパフォーマンスを披露するこのイベントは、子どもから大人までが地域ぐるみで楽しむ祝祭として定着しています。

その舞台裏では、資金調達や巨大パペットの製作、ボランティア募集などの準備が早くから進められています。毎年およそ800人ものボランティアが運営に携わり、デザイン制作やパフォーマンス調整など、あらゆる場面で地域の力が生かされています。また、警察による警備体制や交通整理、公共交通機関との調整などを通じて、行政や公共機関も安全な運営を支えています。

こうした取組みは、地域団体との緊密な連携のもとに行われており、公式サイトやSNS等を通じて広く発信され、数百万人が集まる大規模イベントであっても、安全かつ円滑な運営が実現しています。行政が一方的に主催するのではなく、市民の活動を支える基盤を整え、市民が主体となって街を盛り上げる仕組みが、半世紀にわたりこの伝統的な祝祭を支えてきた原動力となっていると考えられます。

日本でもハロウィンや地域イベントが定着しつつありますが、安全対策の徹底に加え、市民やボランティアが主体的に企画・参加できる体制づくりは地域の活性化において欠かせません。行政と地域が力を合わせて「街ぐるみの祝祭」を支えるニューヨークの取組みは、地域の魅力と活力を高めるうえで多くの学びを与えてくれます。

(ニューヨーク事務所 所長補佐 伊藤)

【参考文献】
< https://halloween-nyc.com/ >
< https://www.nycitynewsservice.com/2023/10/31/village-of-volunteers-support-nyc-halloween-parade/ >
< https://codelibrary.amlegal.com/codes/newyorkcity/latest/NYCadmin/0-0-0-205362 >

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【ロンドン事務所】英国地方自治体における都市計画人材の育成制度 
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英国では、地方自治体で都市計画を担う人材を育てる「Pathways to Planning」というプログラムが注目を集めています。これは、2023年に始まった、大学院課程と連動した、自治体の人材育成に関する実践的な仕組みであり、地方行政の現場と学びを結びつける新しい試みとして評価されています。

このプログラムは、英国政府の資金提供を受けて Local Government Association(地方自治体協会)が実施しています。大学卒業者などを対象に、地方自治体などの公共団体で働きながら大学院の修士課程で専門知識を学ぶ機会を提供します。授業料は公費負担とされ、参加者は、勤務の一環として週1日ほど大学院の講義に出席し、修士課程の期間に合わせた雇用契約が結ばれます。

2025年10月からは、これまでの都市計画分野に加え、PlanningとSurveyingの2つのコースに拡大されて参加者の募集が始まりました。新設された2つのコースのうち、Planningは都市計画の専門職を育成するコースです。地方自治体の計画部門などで、開発管理や計画の策定、環境・交通といった空間設計に携わり、英国の都市計画士資格などを目指します。一方の Surveying は、建物や土地の価値評価、維持管理などを担う技術職を対象としています。参加者は建築調査や不動産評価などに関わり、RICS(不動産評価・建設管理などの国際的専門資格を認定する英国王立協会)の資格取得などを目指します。

住宅開発や地域再生への関心が高まるなか、「Pathways to Planning」は、若手が働きながら学ぶことで専門性を高め、公共部門の人材を継続的に確保することを目的としています。関係機関が連携してまちづくりを担う人材を育てるこの仕組みは、英国における持続的な都市計画人材育成のモデルとして今後の展開が注目されます。

(ロンドン事務所 所長補佐 鈴木)

【参考文献】
< https://www.local.gov.uk/pathways-to-planning >
< https://www.local.gov.uk/pathways-to-planning/career-planning >

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【パリ事務所】パリ老舗百貨店BHVに中国発低価格大手SHEIN出店─揺れるファッションの都
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2025年11月、パリ中心部の老舗百貨店BHVマレに、中国発の超低価格ファッションブランド「SHEIN(シーイン)」が常設店舗をオープンしました。この動きはファッション業界に波紋を広げ、フランス国内では賛否両論を呼んでいます。

SHEINといえば、オンライン販売を主力とし、極めて安価な商品展開やSNSでのマーケティング戦略により若年層を中心に人気を博してきました。しかし一方で、労働環境や環境負荷をめぐる問題がたびたび指摘されてきたブランドでもあります。

フランスでは2025年6月に、ファストファッションによる大量生産・大量廃棄を抑制するため、広告禁止、環境負荷に応じた追加負担、リユースや修理の促進、環境情報の表示強化などを盛り込んだ法案が上院で可決されました。しかし政府が同法案を欧州委員会へ通知したところ、委員会は留保付き意見を提示しました。理由は、広告全面禁止がEUの電子商取引規則やサービス自由化原則と整合しない可能性、環境ペナルティの水準が過度かつ算定根拠が不透明である点、小包への課税がEU関税同盟の規則と矛盾する可能性、そして「ファストファッション」の定義が不明確で法的安全性に欠ける点などです。これによりフランスは年末まで国内手続きを進めることができないことから、法案は発効されておらず、施行の見通しは立っていません。

こうした規制強化の議論が進行する中でのSHEINの出店は、フランス国内の緊張をさらに高める結果となっています。また最近では、少女を連想させる倫理的に不適切な人形や、フランス国内で所持が禁止されている武器に準じた商品を販売していたことが発覚し、フランス当局によりオンライン営業の一時停止措置が取られました。

SHEINの開店当日、BHVに出店していたフランスの複数のブランドが、抗議の意思を示して売場を撤退したほか、出店に反対するデモ活動が行われ、店舗内で抗議活動を行ったデモ隊を警備員が排除する場面も見られました。パリ市のイダルゴ市長は、「SHEINを迎え入れるBHVの決断を懸念している」とし、同市の「持続可能な商業を支援する方針」に反するとの見解を示しました。

フランスでは環境や倫理を重視する声が根強く、低品質かつワンシーズンで使い捨てになることが多いファストファッションを「持続不可能」とする批判が多く見られます。一方で、SHEINで購入する顧客からは「誰もが高価な服を買えるわけではない」「買える範囲で選ぶしかない」という意見もあります。特に若年層や低所得層にとって、低価格で手軽に手に入るSHEINのようなブランドは、物価上昇と貧富の差が拡大するフランスにおいて、現実的な選択肢であることも事実です。

今後、百貨店やブランドがどのように社会的責任と商業的現実のバランスをとっていくのか、伝統と革新が交差するファッションの都パリ、消費の在り方が改めて問われています。

(パリ事務所 所長補佐  福島)
 
【参考文献】
< https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06BXK0W5A001C2000000/ >
< https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05CKM0V01C25A1000000/ >
< https://www.lemonde.fr/politique/article/2025/11/05/shein-au-bhv-la-gauche-parisienne-denonce-une-faute-morale-politique-et-economique_6652329_823448.html >
< https://www.lemonde.fr/economie/article/2025/11/06/l-ouverture-du-magasin-shein-parisien-met-le-bazar-au-bhv-entre-cohue-deceptions-et-manifs-d-opposants_6652422_3234.html >
< https://www.senat.fr/travaux-parlementaires/textes-legislatifs/la-loi-en-clair/proposition-de-loi-visant━reduire-limpact-environnemental-de-lindustrie-textile.html >
< https://www.lesechos.fr/industrie-services/conso-distribution/loi-anti-fast-fashion-bruxelles-valide-les-intentions-mais-pointe-des-failles-juridiques-2189467 >
< https://alliancecommerce.org/proposition-de-loi-dite-fast-fashion-reponse-de-la-commission-europeenne-a-la-france/ >
< https://technical-regulation-information-system.ec.europa.eu/en/notification/27032 >

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【シンガポール事務所】優秀な人材の早期確保を目指すシンガポール~政府奨学金フェアについて~
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独立当初から国民の教育を極めて重視してきたシンガポールでは、学生への奨学金は、財政的支援を必要としている者への援助であると同時に、資金提供者にとって優秀な人材を早期確保する手段としての側面があります。

特に、政府が支給する奨学金の多くは「名誉ある奨学金」と見なされ、最も優秀な学生にのみ授与されます。条件なしの奨学金制度もありますが、多くは、政府奨学金を受けた学生には、卒業後4年から6年の間、政府機関で勤務する義務が課せられています。
 
数多くある奨学金制度の申請手順、卒業後の義務などを説明するため、シンガポール政府は毎年、高校卒業予定者を対象とした「政府奨学金フェア」を開催しています。2025年9月に開催された同フェアの会場では、多くの省庁や法定機関が出展し、各奨学金制度の説明に加えて、実務者による各省庁の役割、所管業務の紹介や、キャリア相談なども実施され、高校卒業予定者向けに公共サービス職の魅力がアピールされていました。
 
さらに、在シンガポール日本国大使館や中国大使館、海外の大学などによる留学説明会も行われました。シンガポールでは、ほとんどの授業が英語で行われているため、留学先としてアメリカやイギリスへの関心が最も高いようでした。一方で、日本への留学に興味を示した学生の多くは、日本の社会環境や文化に関心を持っていました。
 
政府奨学生は、政府と相談しながら幅広いコースから個人の希望する専攻分野を履修できるとされています。海外留学向け奨学金には、授業料、往復航空運賃、生活費、承認された交換留学プログラム、夏季講習などの必要な費用が含まれています。加えて、奨学生が卒業後に公務員として活躍できるよう、シンガポール政府は、休暇期間中の短期研修などさまざまな能力育成プログラムも用意しています。また、非英語圏の大学へ留学する場合には、必要に応じて、学習開始前に1年間の語学研修も支援しています。さらに、非英語圏へ留学した奨学生には、卒業後の就労義務期間が英語圏奨学生の6年間から1年短縮され、5年間の就労義務が課されます。
 
異なる言語環境で学んだ学生は、多面的な考え方や問題解決能力を身につけていることが期待され、公共サービスに多様性をもたらす観点から、政府は英語と母語以外の言語を学んだ履歴のある学生には非英語圏への留学を奨励しています。しかしながら、実際には非英語圏を選択する学生は少なく、現在日本に留学している政府奨学金受領者は少数にとどまっているとのことでした。
 
日本で奨学金というと、経済的に恵まれない学生が安心して大学に通えるようにするための金銭的援助の面に着目されがちですが、シンガポールでは、このように、政府が将来の職員を早期に確保するための取り組みとしても活用されているのです。
 
(シンガポール事務所上級調査員 チュア・フィーテン)
 
【参考文献】
< https://www.psc.gov.sg/scholarships/undergraduate-scholarships/psc-scholarships >


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