コラム

第45回 外務省の国際フォーラム「外国人住民への生活支援」

山脇啓造

外務省と国際移住機関(IOM)の共催で、出入国在留管理庁と自治体国際化協会が後援した外国人の受入れと社会統合のための国際フォーラム「外国人住民への生活支援―生活オリエンテーションと相談体制の在り方を中心に」が、2023年2月に開催されました。日英同時通訳が用意され、会場に約50名、オンラインで国内外から500人近い参加者となりました。筆者は第二部と第三部のモデレーターを務めました。

第一部では、山田賢司外務副大臣の開会ご挨拶の後、IOMのアントニオ・ヴィトリーノ事務局長の基調講演があり、入管庁の君塚宏在留管理支援部長から国の共生社会づくりに関する取組の講演とOECDのトーマス・リービッヒ上級行政官からOECD諸国の社会的統合に関する報告がありました。

第二部では、横浜市の橋本徹国際局長から同市のウクライナ避難民支援について、韓国移民政策研究院のチャン・ジュヨン副研究委員から韓国の社会統合プログラムについて、ドイツ移住難民庁のフェリックス・ハートマン政策アドバイザーからドイツの統合コースのオリエンテーションについて報告がありました。

そして、第三部では、「外国人住民への生活支援―生活オリエンテーションと相談体制の在り方を中心に」をテーマとするパネル討論が行われました。インドシナ難民、第三国定住難民そして条約難民への支援に取り組んできたアジア福祉教育財団難民事業本部の南部悠子主任生活相談員、外国人住民の散住地域でありながら積極的に多文化共生に取り組んで来た佐賀県国際交流協会の黒岩春地理事長、日本を代表する外国人支援団体の一つである国際活動市民中心の新居みどりコーディネーター、民間企業の立場で外国人支援に取り組むグローバルトラストネットワークス(GTN)外国人住まい事業本部のトラン・マン・ティエン・グローバル生活サポート部長をパネリストに迎え、筆者がモデレーターを務めました。

パネルディスカッションでは、最初に筆者が昨年6月に策定された外国人との共生社会のためのロードマップの重点事項の1つが日本語教育と生活オリエンテーションであり、今回のテーマが設けられたことを説明しました。その上で、まず4人のパネリストにそれぞれの活動紹介をしていただいてから、日本における生活オリエンテーションそして全国の外国人相談窓口、さらにウクライナ避難民への支援の現状について討論を行いました。その後には会場そしてオンライン視聴者からの質問にも答えていただきました。最後に筆者はモデレーターとして、以下のようなまとめのコメントを行いました。

第一に、生活オリエンテーションについて、国のプログラムが整備されている韓国やドイツなどOECD諸国と、難民向けを除くと、基本的に受入れ企業や自治体に委ねられている日本との対比が明らかになったが、日本語教育の質保証を目指した新しい法案が閣議決定された今、生活オリエンテーションについても国がより主体的に取り組みを進めることを期待したい。

第二に、生活相談については、2019年度に入管庁の交付金制度がスタートして、全国200か所を超える一元的相談窓口が設置・運営されるようになったが、各地の相談体制の充実度に格差が生じているようである。これからは、量よりも質に注目して、国として自治体を支援していく必要があるのではないか。

第三に、ウクライナ避難民への支援を契機に、外国人住民への支援と難民への支援を一体的にとらえ、多文化共生をより総合的な観点からとらえようとする機運が高まっているように思われる。国際的には移民問題と難民問題は関連する課題と認識されており、今回のように諸外国の知見を参考にすることが有益だろう。そうした意味で、外務省とIOMが20年近く前からこのフォーラムを開催してきたことは意義深い。

パネル討論終了後、外務省の安藤俊英領事局長から閉会のご挨拶があり、4時間に及んだ国際フォーラムは幕を閉じました。



外務省:在日外国人の社会統合
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page25_001886.html

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