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vol.214 『 韓国における"地域コミュニティの拠点"としての図書館 』他

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.214(2018年10月12日)
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□     『 韓国における"地域コミュニティの拠点"としての図書館 』他

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                            T O P I C S               
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【ソウル事務所】韓国における"地域コミュニティの拠点"としての図書館

【ニューヨーク事務所】ギフテッド教育はどこへゆく 
             -ニューヨーク市におけるスペシャライズド・ハイスクールを巡る議論-
 
【ロンドン事務所】ロンドンにおけるフードロス削減の取り組み

【パリ事務所】一杯の「越前そば」から考える県産品の海外販路開拓
                             -パリに飛び込んだ「Echizen Soba Togo」-

【シンガポール事務所】バティックとエコライフ
                             -インドネシアに学ぶ地域活性化のヒント-

【シンガポール事務所】南の国から-シンガポールで働くにはビザが必要なわけで-

【INFO】平成30年度地域国際化ステップアップセミナー
                  in 四国を開催します!(11/7・松山市)

【INFO】東南アジアにおける日本産米の可能性
                        -第1号 25年前のシンガポールでの日本米評価-

【INFO】福島県が挑戦する「デジタルマーケティング」によるインバウンド誘客

【INFO】海外進出セミナーのご紹介(ABCクッキング社)

【INFO】第13回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)の候補団体を募集中です!!
           -創意工夫に富んだ取組を行っている国際交流を表彰し、広く全国に紹介します-

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【ソウル事務所】韓国における"地域コミュニティの拠点"としての図書館
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図書館は単に本を借りる場所としてだけではなく、生涯学習の拠点として、ま
た、人と地域とを繋ぐコミュニティの拠点としての機能も注目されています。
日本でも、離島の古民家を修繕して活用した図書館やビジネス支援センターを
併設した図書館など、各地で多様な取り組みが行われていますが、隣国・韓国
ではどのような取り組みが行われているでしょうか。

韓国の図書館は『図書館法』に則って運営されており、同法の中で、図書資料
の公衆への提供を通して、情報利用、調査、研究、学習、教養、生涯学習など
に貢献することと定められています。大きくは国や地方公共団体が運営する公
共図書館と民間団体が運営する私立図書館に分類されますが、日本と異なり、
私立図書館を設立する場合は政府の認可が必要となります。また、特色のある
制度として「地域代表図書館」を挙げることができます。

地域代表図書館は、図書館法で「当該地域の図書館を支援・協力して、地域の
図書館の均衡発展に寄与することを目的に広域自治体によって設立された図書
館」と定義されています(一部要約)。ここでの均衡発展とは、地域内での知
識・情報格差を最小限に抑えることを意味し、この地域代表図書館は市・道内
の図書資料の収集や支援、調査を通して管轄内の図書館サービスのバランスを
取るよう努めることとされています。

また、各図書館においても、地域コミュニティの拠点として様々な取り組みが
行われています。京畿道の安養(アンヤン)市にある安養パビリオンは、遊園
地をリノベーションした韓国初の公共芸術図書館で、多様なイベントを行って
います。今年8月には小学生を対象に施設内の様々な素材を利用した2日間の
作品づくりキャンプを開催しました。慶尚南道の金海(キメ)市にある栗下
(ユルハ)図書館は体験施設を備え、子どもたちが童話の背景の中で自由に物
語を創造することができるプログラムを用意しています。

この他にも、韓国では障がい者のための本の宅配サービス「チェクナレサービ
ス」やアプリを使って本の検索や貸出ができるサービス、韓国の伝統家屋であ
る「韓屋(ハノク)」を模した図書館など、独自の取り組みが行われており、
今後のさらなる進化と地域の活性化における効果が期待されます。


                                        ソウル事務所 所長補佐 池之上

 
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【ニューヨーク事務所】ギフテッド教育はどこへゆく
             -ニューヨーク市におけるスペシャライズド・ハイスクールを巡る議論-
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米国では、一般にギフテッド(gifted)またはタレンテッド(talented)と呼
ばれる特定の学問分野等で優れた能力を持つ子どもたちに対し、その才能を伸
ばすことを目的として飛び級や飛び入学を含む特別な教育的措置が取られてい
ます。

ニューヨーク市においては、公立の小学校、高校でギフテッド・タレンテッド
の子どもたちを対象とした特別教育が提供されており、高校については、数学
や科学から音楽・演劇といった芸術まで各分野に関する高度な教育を行うスペ
シャライズド・ハイスクール(specialized high school)と呼ばれる学校が9
校設けられています。芸術分野に特化した1校を除き(※1)、これらの高校は
中学校での成績等を問わず一度の筆記試験の結果のみで入学者を選考していま
すが、現在、この入試制度が議論を呼んでいます。

本年6月、同市のデブラシオ市長は、スペシャライズド・ハイスクールの入試
制度(the Specialized High Schools Admissions Testと呼ばれる。以下、SHSAT。)
を見直す意向を示しました。背景には、多様な人種・民族が暮らすニューヨー
クならではの問題があります。2017年時点で、市内の公立高校に通う生徒のう
ち黒人及びラティーノ(※2)の子どもが占める割合は67%で、アジア系が16
%、白人が15%と続いています。一方で、スペシャライズド・ハイスクールに
通う生徒の構成を見ると、アジア系62%、白人24%、黒人・ラティーノは10%
となっており、公立高校生全体の構成と大きく乖離しています。こうした状況
に同市長は、SHSAT受験のために家庭教師をつけるなど子どもの教育に投資する
ことができない家庭にとって、SHSATは不公平な制度であるとの見解を示し、
SHSATの廃止と中学校での成績を加味する新たな入試制度を提案しています(※3)。

これに対し、7月、SHSAT存続を求める団体の支援を受けたニューヨーク州上
院議員がデブラシオ市長の提案に対抗する関係規定の改正案を州議会へ提出し
ました。同議員の地元はニューヨーク市内でも特にアジア系住民が多いクイー
ンズ区。提出された改正案では、SHSATを維持しつつ、新たに中学校でもギフテ
ッドのための特別教育を提供することなどを求めています。支持者らは、ニュ
ーヨーク市全域の中学校で成績優秀者を対象とした特別教育プログラムが提供
されていた1980年代にはスペシャライズド・ハイスクールの生徒の人種・民族
の偏向が少なかったとの調査結果を示し、同議員の提案を後押ししています。
 
ギフテッド・タレンテッドと呼ばれる子どもたちのなかには、飛び抜けた才能を
持つゆえに心理的、社会的な面などでの一般の生徒との違いなどから困難に直面
する子どもや学習障害を持つ子どももおり、米国においてギフテッドに対する教
育は障害児教育とならぶ特別支援の教育施策として捉えられています。しかし、
ニューヨーク市のスペシャライズド・ハイスクールについてはエリート校と捉え
られている側面があり、入学希望者数が多く激しい競争のなか一部で経済的負担
を伴う受験準備が行われ、コミュニティ間の差異が顕在化しています。「天賦の
才」を意味するギフテッドと多様な人種・民族間の公平さ。公教育だからこそ社
会全体とのバランスが求められる難しさを感じます。

(※1) ラガーディア高校は音楽、ダンス、演劇などそれぞれの生徒が才能を持つ
    芸術分野についてオーディションを実施し入学者を選考する。 
(※2) メキシコや中南米諸国出身者などのスペイン語を母国語とする人々。
(※3) スペシャライズド・ハイスクールの入試制度の変更には州議会の承認が必
    要となる。


                  ニューヨーク事務所 所長補佐 倉内


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【ロンドン事務所】ロンドンにおけるフードロス削減の取り組み
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9月2日~4日にかけて、ロンドンのオリンピアにてイギリス最大級のフード
フェア「SPECIALITY & FINE FOOD FAIR 2018」(※1)が開催され、ヨーロッパ
各国のほか、ブラジルや中国など世界中から700を超える出展者が集まり、大変
な賑わいを見せていました。一方で、こうした大規模なフードフェアでは大量の
フードロス(本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品)が出てしまう
恐れがあります。今回は、「SPECIALITY & FINE FOOD FAIR 2018」のパートナー
でもあり、ロンドンのフードロス削減に取り組むCity Harvest London(※2)に
ついてご紹介したいと思います。
 
政府や企業などと資源効率の改善に取り組んでいるWRAP (Waste and Resources 
Action Programme) の報告(※3)によると、英国では年間1,000万トンもの食品
廃棄物が出ていますが、そのうち60%は避けることができたものとされています。
ロンドンでは何千人もの人々が飢えに直面していると言われる一方、多くのまだ
食べられる食品がごみとして処分されてしまっています。こうした事態に対し、
City Harvest Londonは、レストラン、食品スーパー、食品メーカー、ホテル、
ケータリング業者などから廃棄される前の安全で健康に良い食品を収集し、ホー
ムレスの避難所やアルコール依存症・麻薬中毒の支援施設、アフタースクールな
ど230もの組織に提供しています。その量は週に25トンにも上り、これまでに290
万食分が提要され、金額にすると370万ポンド分に相当するとのことです。

他にも、このサービスは、食品リサイクルによる有害ガスの排出削減や食品廃棄
コストの削減といった経済面や環境面にも利益をもたらします。しかし、本当に
重要なことは、品質の高い食事をすることで、飢えた人々が尊厳を取り戻し、困
難な時期を乗り越える力を得るようになるということ、健康面だけでなく精神面
にも良い影響を及ぼすことだと彼らは考えています。

(※1) https://www.specialityandfinefoodfairs.co.uk/
(※2) http://www.cityharvest.org.uk/
(※3) http://www.wrap.org.uk/sites/files/wrap/Estimates_%20in_the_UK_Jan17.pdf


                                      ロンドン事務所 所長補佐 富田 


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【パリ事務所】一杯の「越前そば」から考える県産品の海外販路開拓
                             -パリに飛び込んだ「Echizen Soba Togo」-
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よく「海外でビジネスをするためには、現地のニーズに合わせた商品開発が必
要だ」と言われますが、日本食の世界ではどうでしょうか?

2017年8月、パリ市内に1軒のそば屋がオープンしました。

「越前そば 東郷」

パリではラーメンは非常に有名になりましたが、うどん、そばはまだまだ知名
度が高いとは言えない状況です。

福井のソウルフード「越前そば」は冷たいそばに辛い大根おろしの入っただし
をぶっかけて食べるため、知らない食べ物に抵抗がある人にとっては普通のそ
ばよりもさらに難易度が高いかもしれません。しかし、このお店は、パリの人
に福井のそば、つまり「越前そば」そのものを味わってほしいという強い思い
から、「東郷」だけでも良かった店名にわざわざ「越前そば」と銘打ちお店
をオープンさせました。

今年の8月でオープンから1年が経ち、お客さんの7割以上がフランス人、し
かもその多くが冷たいおろしそば、「越前そば」を注文しているとのことで、
各種フランスメディアでも高く評価されています。成功の秘訣について尋ねる
と「私たちは特別なことはしていません。福井の本物のそばをそのまま持って
きて、日本人のおもてなしで接客しているだけで、それを受け入れていただい
ています。」とのこと。

実は、そば粉を福井から空輸するなど、そばには徹底して本物にこだわる一方
、しっかりとフランス人向けの工夫もされています。店内には福井県産のそば
粉について説明するチラシを置きフランス人を納得させつつ、サイドメニュー
ではフランス人にも馴染みの深いインゲンマメ(haricots verts)やなす(aubergine)
などを使った和食を提供しています。価格設定もしっかりと押さえていて、フ
ランスの高級日刊紙Le Mondeは、2018年6月にパリにある最高のものを紹介し
た記事の中で「おいしい日本食レストランは高くつくが、このお店は例外!」
と高く評価しています。

来店したフランス人の中には注文した品が運ばれてくるまで「そば」というも
のが何かわかっていない人もいて、とても興味深い状況ですが、本物の県産品
が上手く受け入れられているこうした事例から、本質(福井県産のそば粉を使
った本物の越前そば)を保ちつつ、現地のニーズ(日本食、価格、馴染みやす
さ)も汲むことで日本食の海外進出にはまだまだ大きな可能性が感じられます。

皆さんの地域で味わってほしい、売り込みたい県産品は何でしょうか?そして、
その本質は何でしょうか?

・Le Monde	
https://www.lemonde.fr/m-voyage/visuel/2018/06/22/paris-le-meilleur-du-monde_5319685_4497613.html

・Echizen Soba Togo フェイスブック
https://www.facebook.com/echizensobatogo/


                                        パリ事務所 所長補佐 川畑


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【シンガポール事務所】バティックとエコライフ
                             -インドネシアに学ぶ地域活性化のヒント-
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インドネシアを訪れると、草花や鳥の模様等で彩られた美しいバティックを身
にまとった人々を行く先々で見かけます。バティックは、インドネシア・マレー
シアを代表する伝統染織品であると同時にフォーマルウェアでもあり、政治や
ビジネスの場面をはじめ、日常的に幅広く着用されています。インドネシアの
王宮で発展し、当初は高貴な身分の方しか着ることが許されなかった希少なも
のでしたが、時を経て一般にも広がり、今や国民に愛される伝統衣装になって
います。元々はインド発祥の更紗(さらさ)の文様ですが、インドネシアのバ
ティックはオリジナルの染色方法を用いることで独自の進化を遂げ、日本では
「ジャワ更紗」として知られています。2009年には、ユネスコの無形文化遺産
に認定されるほど高い技術や芸術性が認められ、非常に価値の高い染織品です。

13,000を超える島々からなるインドネシアは、多様な文化、民族、宗教の人々
が共存しており、「多様性の中の統一」が国是となっています。そのため、政
府もバティックの積極的な着用を呼びかけており、バティックはインドネシア
のアイデンティティの確立や国民に一体感を生み出すことにも一役買っている
ようです。ちなみに、金曜日はバティックを着る日となっているそうで、それ
はバティック市場の拡大を呼び込み、地場産業振興という観点からも興味深い
取組といえます。

このバティック、着用してみると大変着心地もよく、暑い南国の気候風土に合
う機能的な衣料品であるということが分かります。同様に、南国のフォーマル
ウェアとして知られているものに沖縄の「かりゆし」やハワイの「アロハシャ
ツ」などが挙げられるでしょう。いずれも、気候風土に合った機能性と快適さ
を兼ね備え、地域への愛着と誇りを育み、地場産業の振興に寄与しています。

今年、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、スーツに革靴スタイルの多くの社
会人にとって過酷な環境であったことは想像に難くありません。もし、そのた
めに必要以上に冷房の温度を下げていたとしたらどうでしょう?人にも環境に
も優しい国とは言えないのではないでしょうか。日本で一般的に着用されてい
る洋服は、もともと西洋から伝来したものです。各地域の気候風土に合った文
化的正装を提案し奨励することにより、地域や文化を愛する人材が育ち、エコ
フレンドリーで地場産業も潤うような社会が実現するかもしれません。インド
ネシアのバティックにまつわる取組から日本の自治体が学べる点が大いにあり
そうです。

                                   
                                      シンガポール事務所 次長 渡邊


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【シンガポール事務所】南の国から-シンガポールで働くにはビザが必要なわけで-
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海外で働くために避けて通れないのが就労ビザの問題です。自分の学歴や職歴、
収入額等で就労ビザが取得できるかどうかは気になるところではないでしょうか。
今回はシンガポールの就労ビザ事情をお伝えします。

【シンガポールにおける就労ビザとは】
シンガポールにおける就労ビザには、Employment Pass(EP:管理・専門職向け)、
S Pass(中技能労働者向け)、Work Permit(港湾・建設などの単純労働者向け)
などがあります。一般的には、EPを取得する必要があり、クレアシンガポール事
務所に勤務する私たちもEPを保持しています。申請の際は、まず雇用者が企業庁
(Enterprise Singapore)に従業員登録を行うとともに、公式求人サイトJOBS BANK
に求人情報を最低14日間掲載しなければなりません。その後、ようやく人材開発
省(MOM:Ministry of Manpower)へEP申請を行います。そこから承認まではさら
に3週間程度かかります。申請書類の準備や帯同家族のビザ手続きなどを含める
と最低でも7週間以上はかかることになります。

【外国人の就労ビザ取得を取り巻く現状】
現在、シンガポールの人口は約560万人ですが、そのうち定住外国人は約167万人お
り、全人口の約30%を占めています。内、EP保持者は約11%、S Pass保持者は約11
%、Work Permit保持者は約44%となっています。

近年、シンガポールでは外国人のビザ取得要件が厳しくなってきており、2017年3
月からは、申請から承認までの標準的な処理期間が1週間程度から3週間程度へ変
更されるなど、審査に時間を要しています。

2013年には、「Fair Consideration Framework(FCF)」が発表され、外国人のビザ
申請前に、シンガポール人に対して公正公平に採用活動を行うという方針のもと、
先述のJOBS BANKへの求人情報掲載が義務付けられました。

2014年からは、就労ビザ発給機関であるMOMが各企業に対して、個々に人材採用計
画へ直接介入できるようになりました。

また、外国人就労ビザ規制政策として、2016年から「ウォッチリスト」の導入が始
まり、2017年に本格化しました。ウォッチリストとは、シンガポール人の雇用、育
成に消極的な企業をリスト化する政策で、一度リスト入りすると、改善されるまで
新規EPの発行や更新が難しくなります。

以下3つの要素において弱い"Triple Weak"と判断された企業はウォッチリスト
に掲載されます。
(1)全従業員に占めるシンガポール国民及び永住権保持者(シンガポール国民等)の割合
(2)(1)が低い場合、将来的にシンガポール国民中心となるような人事面での企業努力
(3)シンガポールへの経済・社会的貢献度

同リストには、2017年2月時点で250社、10月時点で300社が載っているとのことで、
外国人の就労ビザ取得を取り巻く現状を如実に表していると言えます。

【シンガポールの雇用情勢と雇用促進政策】
シンガポールでは、シンガポール国民等の失業率が4.0~4.2%あり、ある程度の年
齢と経験を持った、経済の中核を成すはずの人々が失業しています。シンガポール
政府としては、シンガポール国民等に対する外国人の比率を一定にしておきたい
(シンガポール国民等:外国人=2:1)ようですが、シンガポール国民等の就業
者が増えないため全体も増やしていけないといった状況です。

1990年代までは外国人労働者の積極的な受け入れにより経済成長してきたシンガポ
ールですが、2010年頃から、労働生産性の向上による持続的な経済成長を目指すた
め、外国人受入政策の見直しを進めています。

2013 年1月の人口白書において、シンガポール政府は、外国人労働者の受け入れ
を規制するとともに、シンガポール人労働者のスキルを向上させ、特に専門職や管
理職の業務を中心に労働力基盤を強化する指針「Strong Singaporean Core」を発
表しました。

政府はこの指針に沿って、シンガポール人の雇用促進、外国人従業員の雇用の引き
締めと作業の効率化、高齢者再雇用支援、雇用に係る政府補助金の支給、キャリア
アップ・サポートプログラムの強化など、シンガポール人の雇用促進政策を強化さ
せています。
 
就労ビザに限らず、観光ビザや商用ビザの取得条件や申請方法は国によって様々で
す。インバウンド観光誘致や海外販路開拓により海外進出が盛んになっている昨今、
国によっては突然基準が変更になる場合もありますので、こまめに情報を確認する
など、各国のビザ事情には十分に注意する必要があります。


                                   シンガポール事務所 所長補佐 能村


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【INFO】平成30年度地域国際化ステップアップセミナー 
                 in 四国を開催します!(11/7・松山市)
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国際協力で地域活性化
~地域の強みを活かした、持続可能なまちづくりと国際協力の輪~
 SDG 11:住み続けられるまちづくり
■日時 平成30年11月7日 (水)13:00~17:20(受付開始12:30から)
■会場 COMS<松山市男女共同参画推進センター> 3階 会議室5
    (愛媛県松山市三番町6丁目4番地20)
    アクセス: http://www.coms.or.jp/access/index.htm
■主催 (一財)自治体国際化協会 市民国際プラザ
■共催 (特活)えひめグローバルネットワーク
■後援 愛媛県、松山市、(公財)愛媛国際交流協会、(公財)、松山国際交流協会、
    JICA四国、(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)
■対象 自治体・地域国際化協会・NGO/ NPO 関係者等定員50名
       (※定員となり次第受付終了)

■プログラム
<話題提供>
13:15~ 「内閣府 SDGs未来都市およびSDGsモデル事業について」
      内閣府 地方創生推進事務局 主査 大久保 淳氏
13:40~ 「四国におけるSDGs推進の取組について ~愛媛県内子町の事例~」
      公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
      アドボカシーマネージャー 堀江  由美子氏
<事例紹介>
14:15~
   事例1「えひめ・スリランカ オレンジプロジェクト
      ~愛媛県の温州みかん栽培技術をスリランカへ~」
      公益財団法人 愛媛県国際交流協会 外国人生活相談室長 大森 典子氏
14:40~
   事例2「スリランカ紛争影響地域におけるコミュニティ主体の農業・
      酪農産業の復興支援~広島県神石高原町の有機農業家と共に~」
      NPO法人ピースウィンズ・ジャパン 束村 康文氏
15:10~
   事例3「福井県大野市におけるCarrying Water Projectと東ティモール支援」
      福井県大野市 一般財団法人水への恩返し財団 事務局長 帰山 寿章氏
15:35~
   事例4「松山市発! モザンビークとつながる四国のESD
      (持続可能な開発のための教育)」
      NPO法人えひめグローバルネットワーク 代表理事 竹内 よし子氏
16:10~ <パネルディスカッション>
      ファシリテーター 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 
      アドボカシーマネージャー 堀江 由美子氏
   ※ 終了後、別会場にて会費制の懇親会を予定しています。

■詳細及び申込方法
セミナーHP: https://www.plaza-clair.jp/information/event181107.html
申込フォーム: https://goo.gl/HWz9VR
※申込フォームでのお申込みが出来ない場合は、下記メールアドレス宛てに申込フォーム
記載の必要事項をメールにてお送りください。

<申込み・問い合わせ先>
 (一財)自治体国際化協会 市民国際プラザ  担当:泉水
TEL:03-5213-1734 FAX:03-5213-1740
E-mail:international_cooperation@plaza-clair.jp

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【INFO】東南アジアにおける日本産米の可能性
                        -第1回 25年前のシンガポールでの日本米評価-
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日本食は今や全世界的ブームとなり、健康を気遣う人々に愛されています。し
かし、日本産米(海外ではなく日本で生産されたもの)の普及率はまだこれか
らといった段階ではないでしょうか。ベトナム、カリフォルニア、オーストラ
リアなどで生産される日本米の品質も年々上がってきている中、日本産米輸出
拡大市場は訪日経験者を中心とした本物志向が高まっている東南アジアにある
のではないかと考えます。今後3回に渡り、東南アジアでの日本産米の評価の
変化や今後の可能性につき、現地での取組事例も交えて紹介します。

詳しくはこちらから
http://economy.clair.or.jp/casestudy/development/3782/

<問い合わせ先>
経済交流課(今村)
Tel:03-5213-1726 Mail:keishin@clair.or.jp

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【INFO】福島県が挑戦する「デジタルマーケティング」によるインバウンド誘客
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震災・原発事故から約7年が経過しました。震災前、福島県は観光客で賑わい、
お客様は皆、四季折々の福島の魅力を味わっていました。しかしながら、震災
により国内外のお客様が激減。福島県民のプライドは傷つきました。そこで、
観光客を呼び戻すため、福島県が挑戦したのは日本最先端の「デジタルマーケ
ティング」でした。

詳しくはこちらから
http://economy.clair.or.jp/casestudy/inbound/3719/

<問い合わせ先>
経済交流課(舘)
Tel:03-5213-1726 Mail:keishin@clair.or.jp

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【INFO】海外進出セミナーのご紹介(ABCクッキング社)
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CLAIRと連携して「食を通じた地域のプロモーション・交流事業」を実施する
(株)ABC Cooking Studioから、同社が主催する海外進出セミナーについて情報
提供頂きましたので、ご紹介します。

この度、ABC Cooking Studioでは、海外展開されている皆様、これから海外進
出を検討されている皆様向けに日本にて、初めて海外進出セミナーを下記の通
り開催することとなりました。

おかげさまで、ABC Cooking Studioは海外に32スタジオ、日本を含め157スタジ
オを展開し、現在、海外の登録会員数は93,000人となりました。今回のセミナー
では、ABCの海外進出事例とともに、海外でABCに通われる会員の方の食に関する
嗜好、トレンドなどを、現地担当者より直接お話をさせていただきます。

各国担当者に直接ご相談をいただける時間も設けております。「中国での人気の
和食ってどんなメニュー?」「アジアでは外食文化と聞きますが、家で料理する
のですか?」などなど、各国のことでお聞きになりたいことがございましたら、
ぜひ当日各国の担当者にご質問ください。日頃より現地の方々のライフスタイル
や嗜好などに関心のある皆様にはぜひご参加頂きたいたいと思っております。

ご参加を心よりお待ち申し上げております。

 <ABC Cooking Studio 海外進出セミナーのご案内>
■日時
・東京会場 2018年10月15日(月)10-12時 
 ABC Cooking Studio丸の内本社 
 (東京都千代田区丸ノ内3-1-1 国際ビルB2階) 
・京都会場 2018年10月16日(火)10-12時、13-15時 
 ABC Cooking Studio京都グラウンド 
 (京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町 101 LAQUE四条烏丸3F)
■内容 
・ABCアジア会員の食に関する嗜好や各国のトレンド
 インバウンドに関する情報及び事例のご紹介
・各国担当者よりプレゼンテーション (75分)
・個別相談会 (45分)
■対象 
海外ビジネスに関わるご担当者の皆さま
■ゲストスピーカー 
一般財団法人自治体国際化協会 事務局長 橋本憲次郎様(東京のみ) 
■登壇者 
ABC Cooking Studio Worldwide Brand Ambassador 田丸玲奈 
艾宝食餐?管理(上海)有限公司 彭琳
ABC Cooking Studio Singapore 伊藤愛恵
ABC Cooking Studio Thailand 藤本真紀子
ABC Cooking Studio Worldwide Director 千先 拓志

※もし、御社内でご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひお誘いあわ
せの上、お越しいただきますようお待ち申し上げます。
※京都会場は午前午後開催いたします。ご希望のお時間をお選びください。
※招待状も添付させていただいておりますので、ぜひこちらも併せてご確認を頂
けますようお願いいたします。

出席のお申し込みは下記フォームよりお申し込みください。
https://goo.gl/forms/jFqR5fPDEdbWVtpi2

皆様のご参加、心よりお待ち申し上げます。

<お問い合わせ先>
ABC Cooking Studio 海外進出セミナー事務局
担当:田丸・藤本
seminar@abc-cooking.com.hk

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【INFO】第13回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)の候補団体を募集中です!!
       -創意工夫に富んだ取組を行っている国際交流を表彰し、広く全国に紹介します-
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本表彰は、素晴らしい取組であるにもかかわらず未だ全国に紹介されていない
ような国際交流の事例を掘り起こすことを目的に、総務省と共催で毎年開催し、
本年で第13回を迎えます。

その活動実績を広く発信することで、自治体国際交流のさらなる活性化を図り、
地域の国際化に資することを目的に実施しています。

応募は自治体だけでなく、自治体からの推薦があれば、民間団体等からもご応
募できます。

今年度募集の締切は、平成30年11月30日(金)です。

この機会に、日頃の活動の成果をふるってご応募ください。
多くのご応募をお待ちしております!!

1 主催
  総務省、一般財団法人自治体国際化協会
2 表彰対象団体
  都道府県、市区町村、地域国際化協会、国際交流協会等の民間非営利団体
3 表彰対象事業の例
  <1>経済交流
  <2>教育交流
  <3>文化・スポーツ交流
  <4>国際協力
  <5>多文化共生交流
    <6>東日本大震災復興に係る交流
    <7>その他交流

 ※その他詳細につきましては、以下のクレアHPをご参照ください。
 < https://www.clair.or.jp/j/exchange/shien/hyoushou.html >
 
<お問い合わせ先>
 一般財団法人自治体国際化協会 交流支援部交流親善課 担当:白井、齋藤
 (〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル6階)
  電話:03-5213-1723 FAX:03-5213-1742  
  メール: shimai@clair.or.jp

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 CLAIRはこんな活動をしています!
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◆JETプログラム
 小中高等学校で語学指導等を行う外国語指導助手や自治体で国際交流活動を行う
 国際交流員などの外国青年が地域と世界の架け橋として各自治体で活躍しています。
  http://jetprogramme.org/ja/

◆多文化共生
 多言語情報ツールの提供や、先進的な取組への助成などを通して、多文化共生の
  まちづくりを目指す自治体や地域国際化協会、関係団体の活動を支援します。
  https://www.clair.or.jp/j/multiculture/index.html

◆経済活動
 訪日観光客誘致推進に関するセミナーの開催をはじめ、自治体の海外プロモーション
 のための専門家派遣や自治体が気軽に出展できる物産展を海外で開催します。
  http://economy.clair.or.jp/

◆国際協力
 海外自治体職員の日本の自治体への受入、海外自治体から要請された課題に関する自
 治体の専門家の派遣、先進的な国際協力促進事業に対する助成金等により支援します。
  https://www.clair.or.jp/j/cooperation/index.html

◆自治体間交流
 姉妹(友好)都市交流に関する情報提供等をはじめ、海外自治体幹部との交流協力セミナ
  ーの実施や先進的な国際交流事業に対する助成金等により自治体間交流を支援します。
  https://www.clair.or.jp/j/exchange/index.html
 
◆活動支援・調査依頼
 7つの海外事務所のネットワークを活かし、現地訪問先へのアテンド、通訳のあっせ
 んなど自治体の支援のほか、現地でしか実施できない海外の情報収集を行います。
  https://www.clair.or.jp/j/operation/index.html

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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F
HP < https://www.clair.or.jp/ > TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741

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電話:03-5213-1722 Fax:03-5213-1741
Email:kikaku@clair.or.jp

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