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多文化共生

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東日本大震災支援活動記録

在住外国人による支援活動


■クリプス・アマンダ

 

<インタビューイー紹介>
 クリプス・アマンダさん
 アメリカ合衆国出身。2009年7月に来日。
 岩手県盛岡市在住。CIRとして来日し、岩手県庁のNPO・文化国際課に配属。

 

 

東日本大震災ではどんな活動をしましたか?

 震災が起こり、まず一番にJET参加者へ連絡を取りました。手段は直接電話かける、メールを送るなどの他に、facebookやGoogle Person Finderも利用しました。1名を除き、JET参加者とは3日以内に直接連絡をとることができました。それと同時に情報収集を開始し、岩手県、岩手県国際交流協会、CIRが協力して外国人住民のための電話、インターネット、ラジオを通して情報提供を行いました。

 電話では...家族や友人、知人の安否確認、県外、海外への退避方法、通訳の依頼派遣、ボランティアの受け入れ先や宿泊先の紹介、外国メディアの対応を行いました。

 インターネットでは...交通や奨学金情報を発信する他、多言語相談や義援金受付窓口を開設しました。また、運転免許証やパスポートの更新手続きについての説明を掲載しました。

 ラジオでは...余震や津波などの注意報・警報、国内を移動するための交通情報、多言語で相談できる電話番号などの案内をNHK盛岡放送局、IBC岩手放送、FM岩手にご協力いただき、3月30日まで放送しました。

 

どんな思いで活動をしましたか? また、活動の際に難しいと感じた点、助けになったことは?

 岩手県の外国人住民は大きく分けて英語圏とアジア圏の2つのグループがあります。英語圏は年齢層が20〜30代と若く、来日目的は英会話教師や外国語指導助手、留学生などの短期間在留が特徴です。一方、アジア圏は日本人配偶者として来日した専業主婦、工場などで働く定住者、研修生など長期間在留や永住が特徴です。この2つのグループは普段から交流がなく、協力関係にありませんでした。普段から外国人住民同士のコミュニケーションができていれば、避難所などでお互いがもっと助け合うことができたのではないかと思いました。また、余震や津波情報などで混乱状態の中、原発についての誤報が流れて大混乱が起きました。正確な情報提供の必要性と、減災のための活動をもっと行っておくべきだと感じました。

 

支援活動を通じて感じたこと、気づいたことを教えてください。

 一番痛感したことは外国人住民への支援体制が不十分だということです。そして情報提供の向上とネットワークづくりが必要だと思いました。具体的に情報提供の向上とは、情報の多言語化(やさしい日本語を含む)、日本語勉強の促進、そしてインターネットの使用率を向上させることです。また、ネットワークづくりとは、外国人も日本人も参加できる交流会を定期的に行い、同じ国から来た人、同じ言語を話す人同士のつながりを促すこと、そして外国人住民が地域で活躍できる場をもっと作ることだと思いました。

 

今後はどんな活動を予定されていますか?

 減災のための対策を行っていきます。その一歩として、外国人を採用している会社に災害への準備を進めるよう啓発をするほか、外国人住民も参加できる防災訓練を行い、最寄りの避難場所を知ってもらいたいと思っています。また、多言語サポーターの育成とボランティアネットワークの仕組み作りをしていきます。岩手県はとても広い県ですので、インターネットの使用率を向上させて、インターネットでの情報提供を充実させたいと思っています。インターネットでは、ボランティアがいつどこでできるかといった情報や必要な支援物資についての情報、また、義援金の使い道なども公開していきたいと思っています。

2010年に行った外国人向けの災害訓練の様子

 

最後にこのサイトを見ている人にメッセージをお願いします。

 震災が起きて数日間、スーパーやコンビニはまだ営業していないため、岩手県庁で同僚や仲間と一緒に県庁の食堂で食事を取りました。その中には、沿岸出身の人や、近々沿岸に派遣される人もいたのに、ストレスを感じていないように笑顔で普通の話をしていました。私は、笑うのがすごく久しぶりだと感じました。それまでは怖いと思ったが、こういう小さな休憩でリラックスができて、もう一度県民のために頑張りたいなと思いました。岩手県民の粘り強さはすごいです。その笑顔に助けられました。「これが、岩手県民だ。これが岩手だ。」そういうふうに思って、心強くなりました。やぱり、周りには私を見守ってくれる人がいたからこそ、様々な支援活動ができたと思います。

 多くの日本に滞在している外国人は、サポートネットワークが非常に狭く、大きな地震のない国々から来ました。すぐに避難場所に逃げることや、どこで正しい状況を教えてもらえるか等、災害時における「当然」の行動について知らないかもしれません。大震災のときに、日本にいるALTがとても不安を感じたのは、周りの同僚や知り合いがサポートしなかったためです。当然その時は自分のことでいっぱいだし、ALTのことを考える余裕がなかったのです。それは誰のせいでもありません。しかし、これからも周りにいる外国人が安全に暮らせるために声をかけましょう。

 二度とこんな未曾有の大震災が来ないよう祈っていますが、いざというときにこの情報が少しでも役に立てば私はうれしく思っております。

 

 

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このページに関するお問い合せ先
多文化共生部多文化共生課
Tel :  03-5213-1725
Fax :  03-5213-1742
Email : tabunka@clair.or.jp
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